みちのくの山野草

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岩手 佐々木由太郎

2020-09-13 12:00:00 | 甚次郎と賢治
〈『追悼 義農松田甚次郎先生』(吉田六太郎編)、吉田矩彦氏所蔵〉

 では今回も、岩手からの「追悼」、
   岩手県紫波郡乙部村 佐々木 由太郎
噫々農民道に生き我々青年を長く著書に又塾經營に於て指導下さつた松田甚次郎先生私は先生が未だ生きて日本の農村を守つて下さるやうな氣がします 八月六日の新聞程否定したい氣持の新聞はありませんでした 先生の病歿はこれ程私を愕然とせしめたものはありません 私は昭和十五年頃より先生の著書を拝讀させていただきましたその度私に多くの感銘を與へて下さつたのです 其の後私は入塾を許して戴くことのみ念願いたして居りましたが都合がつかづに居るうち先生の病歿ほんとうに残念です この上は皇国農民として些かなりとも先生の大精神を著書を通じ顕現させて戴きたいと思ひます
             〈『追悼 義農松田甚次郎先生』(吉田六太郎編)より〉
からである。
 さて、「昭和十五年頃より先生の著書」ということであれば、
昭和13年5月18日  「土に叫ぶ」出版
昭和16年1月1日  「村塾建設の記」出版
昭和17年12月15日 「続 土に叫ぶ」出版
だから、佐々木が初めて読んだ本は「土に叫ぶ」であり、まずはその「土に叫ぶ」で初めて感銘を受け、その後の二著書からも引き続いて感銘を受けていたに違いない。
 そこで今までの「追悼」を振り返ってみれば、実に、
   川上治雄
   島貫太吉
   太田良元治
   倉本彦五郎
   中澤省三
   平山常太郎
   池谷武夫
   栁澤素介
   黒田清
   佐藤直衛
   沼倉精一
   丸山助吉
らがその中で「土に叫ぶ」の本や「土に叫ぶ」の劇に関して言及し、高く評価していた。
 したがって、松田甚次郎の「土に叫ぶ」等は当時の多くの人々、とりわけ農業に携わっている人達から高く評価されていたことは疑いようがない。そして、それは単なるベストセラーではなく、当時農業恐慌等でとりわけ苦しんでいた農民たちに救いの手を差し伸べ、彼等の未来に光明をともしてくれる存在だったに違いない。

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の三部作から成る。
             
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