べんりや日記

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引き寄せ金物 長岡和島小学校

2008-07-14 13:35:51 | 長岡の紹介


久々の雨。ようやく本格的な梅雨か?
時々雷と共に激しい雨が降ります。局所的な豪雨の予感。
昨日は、7・13水害から3年目の慰霊祭が中之島、三条にて行われました。
中越地震によって影が薄くなってしまいましたが、あの年は、水害、地震と天変地異が相次いだ年です。

災害は、忘れた頃にやってくる・・

特に、この時期は雨による土砂災害が懸念されます。
岩手・宮城内陸地震の震災ダムの周辺でも、土砂災害への厳重な注意が必要でしょう。
激震区の一刻も早い復旧をお祈りします。

さて、先週の長岡公共建築物の見学の感想を述べておきましょう。
昨日の「越後に生きる家を作る会」の見学ツアーの模様は、又の機会に・・
(そうやって、先送りにして忘れ去られた話題は数知れず・・)


写真は、和島小学校の土台部分ですが、他の構造材もこのような金物の納まりになっていました。
ボルトを外側から差込み、内側でナットを締め付ける「引き寄せ金物」です。

この金物の利点は、将来、ナットが緩んでも、外壁を解体することなく内側で締め直すことが可能なことです。
欠点は、見た目が金物が露出してしまうということで、これは目立たさなくする工夫が必要。
壁の中に入れ込むと、締め付けの段階で壁を壊す必要があります。
やっぱり露出か・・・

金物を使う場合、どうしても木が痩せるので、締め直す作業が必要です。
100年、200年の間には何度かの中規模地震と、2回程度の大規模地震を受けるわけですから、その都度、金物が木に食い込む。
緩んだ金物のまま、次の横荷重を受けると必要強度が得られません。

内側から、容易に締め直す工夫がされていれば、金物を使った場合でも、長期の耐久性が期待できます。
これは、伝統構法の場合、クサビや栓が緩んでも、打ち直してやればよいという考え方の応用です。
常に、昔の考え方に戻れば、解決策は自ずと出てくる・・

和島小学校も、そのような考え方で作られていた・・(のかな?)
構造的に合理性を持たせた設計は自然とデザインも洗練されます。

「益田先生」との出会い、見学で学んだことが活かされる。
木造公共建築物の草分け的存在である増田先生の作品の「形」だけ真似しても、構造が伴わなければ、片手落ちです。
本当に建物のことを考え、そして構造の美しさを表現するとき、見た人は感動を覚えます。

公共建築物の耐久性を考えれば、市民の財産となるわけですから、長岡市民としては投資のやりがいがあります。税金を納めているものとして・・


          建て方の模様


      建て方をしている「管理棟」の内部


      外部工事の進む「高学年棟」の内部

いくつかの木造棟の集合で学校が形成される設計です。
総額は12億円。坪80万円。
地元杉材をふんだんに使っています。


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コメント (2)
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