何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

売る力

2014-01-19 12:48:27 | Book Reviews
「売る力 心をつかむ仕事術 鈴木敏文・著、文春新書939、2013年10月20日

p.7 「売る力」とは、売り手側から見れば、文字通り、モノを売る力です。しかし、裏返すと、お客様に「買ってよかった」「食べてよかった」「来てよかった」・・・・・と思ってもらえる力ではないでしょうか。

p.8 「売る力」とは、お客様から見て「買ってよかった」と思ってもらえる力である。だから、売り手は常にお客様の求めるものをかなえる「顧客代理人」でなければならない。

p.21 変わらない「視点」と新しい「ネタ」が飽きられない「普遍的な笑い」を生み出す。「漢方薬」のような持続的な姿勢を碁盤にもったうえで、「抗生物質」のような即効性のある要素を取り込んでヒット商品を生み出す。

p.25 金の食パンはおいしさが際立った商品です。だから、おいしいがゆえに飽きられる。飽きられてから次の商品を開発するのではなく、飽きられたときにすぐ次の商品を投入できるように、いまから研究に着手させたのです。

p.26 流行が一定量になると飽きて、新しいものへと移行していきます。結果、流行は長続きしない。つまり、流行に乗って商売をするということは、お客様に飽きられるものを売っている、ないしは、お客様がその商品を飽きるような状況をつくり出しているわけです。その意識をもって、どこまで流行に乗るか、どこで新しい流行に切りかえるかを見きわめることで、常に「飽きられない」商品を提供できるのです。

p.36 新しい価値を提供できるものしか売れない。そうなると、いちばん重要なのは、お客様に新しい価値を感じてもらえるよう、いかに「お客様の立場で」考えることができるかであると。

p.38 「柳の下にドジョウは二匹いるかもしれないが、二匹目のドジョウは小ぶり」

p.41-2 「現在のAという商品をA’(Aダッシュ)にする程度の開発は認めない。Aを必ず、Bなり、Cなりにしていくような革新を続けていかなければ、お客様に飽きられてしまう」
 わたしたちは、ヒットしているAという商品を見ると、つい、Aの延長上にあるようなA’を考えてしまいがちです。人間は、よい例を見ると、そのよさをとり入れようとする心理がはたらいてしまうからです。しかし、売り手から見るとAとA’は違うように見えても、お客様から見れば、同じAなのです。

p.43 競争とは自己差別化です。社会が豊かになればなるほど、「売る力」として自己差別化が求められることを忘れてはなりません。

p.43 新しいものを生み出すという意味のイノベーション(革新)には二つあって、一つはこれまで存在しなかった概念のものを生み出すことです。そして、もう一つは既存の概念のものに新しい意味をつけ加えて革新することです。

p.44-5 これまでにない組み合わせや結びつきを提案したり、提供することを、秋元さんは「予定調和を壊す」と表現します。予定調和とはもともと哲学用語で、「世界の秩序が保たれるのは神があらかじめうまく調和するよう定めたからである」とする説明だそうです。
 「小売業の魅力の本質は、予定調和を崩す新しい提案が絶えずあって、『おや、今度はどんな新しい提案があるのだろうか』とワクワクして期待をもってもらうことではないでしょうか」

p.47 マーケットはいま大きく変化している。変化に対応していく限り、市場飽和はありえない。

p.50 予定調和を壊し、お客様に「おや」と感じてもらえるような新しい提案をし続ける。秋元さんによれば、「おや」という感覚を提供するには、提案する側自身が日常生活のなかで「おや」と思うような「気づき」をもつことが重要だといいます。

p.71 「上質さ」と「手軽さ」のトレードオフを考えるとき、もう一つ、もっとも注意すべきなのは、お客様が求める「上質さ」も、「手軽さ」も、どちらも価値軸が常に変化するため、それに対応して売り手も変化していかないと、いつのまにか取り残され、不毛地帯に入ってしまうことです。

p.76 いまもっているものを失いたくない、損をしたくないという損失回避の心理が広がる。ただ、その反面、何も消費したくないわけではなく、正当な理由があれば、何か買いたいと思っている。つまり、「消費を正当化する理由」を求めている。

p.78 モノがあふれ、社会が裕福になるほど、お客様は消費を正当化できる理由や選択を納得できる理由を探し、メリハリ消費、ごほうび消費、イベント消費が増えていく。とすると、売り手に求められるのは、消費を正当化できる理由や選択を納得できる理由をお客様に提供することです。

 ここが伝わったときに心が動くとしたら、それを簡潔に示すとよいだろう。

p.88 経験的に「いい」と思われることはみんながやるから、結局、競合になってしまい、ますます厳しい状況になる。みんなが「いい」と思うことなどやる必要はなくて、むしろ、「そんなのだめだろう」と思うようなことに意味がある。みんなが賛成することはたいてい失敗し、反対されることはなぜか成功する。

 誰もが賛同、納得して、うまくいくだろう、ということからは、たいした効果が得られない。そんなことに意味があるのかと思われることが注目されるのだろう。

p.90 「業界の常識や反対があっても、お客様のニーズに応えるためには欠かせないと判断したなら、積極的に踏み込み、当事者意識と信念をもって仕事をするように」といい続けた・・・

p.91 新しいものを生み出し、新しいことに挑戦するとき、目指すものを実現する方法がなければ、自分たちで方法を考えて道を切り開いていく。必要な条件が揃っていなければ、その条件そのものを変えていく。みんなに反対されることがたいてい成功するのは、反対された分、なんとしても実現しようとする当事者意識と信念が高まり、実現できたときにはほかにない新しい価値を生み出すことができるため、逆に成功も大きくなるのでしょう。

p.94 わたしの場合、変わらない「視点」の基本は、常に「お客様の立場で」考えることです。お客様が次はどんな新しいものを求めるか、答えはいつもお客様のなかにあり、お客様の心理のなかに潜んでいるからです。

p.96 つまり、「お客様のために」といっても、「売り手の立場で」考えたうえのことであり、そこには、過去の経験をもとにしたお客様に対する思い込みや決めつけがある。これに対し、「お客様の立場で」考えるときは、ときには、売り手としての立場や過去の経験を否定しなければなりません。

p.103 「お客様のために」と考える発想のもう一つの問題点は、「お客様のために」といいながら、自分たちのできる範囲内や、いまある仕組みの範囲内で考えたり、行っているにすぎないケースが多いことです。つまり、どこかで売り手の都合が『優先されていることが多い。一方、「お客様の立場で」考えるときは、自分たちに不都合なことでも実行しなければなりません。

p.107 自分たちにとって不都合なことでも、お客様の都合に合わせて実行する。それが「お客様の立場で」考える仕事の仕方です。コストがかかり、効率が悪くても、お客様が共感共鳴するものをつくっていけば、必ず、結果が出て、収益が確保できるようになる。売り手の都合の範囲内で「一生懸命やる」のと、お客様の都合に合わせて「正しいことをやる」のとではまったく意味が違うのです。

p.113 こうした異業種間競争の時代にあって重要なのは、「消費者起点で新たな事業連鎖を考えること」だといいます。異業種間競争の時代になると、企業内の閉じた活動の範囲内で価値を生み出そうとする従来の考え方ではなく、既存の活動範囲や自分の業界を超えて、新たな事業連鎖を生み出す動きがどんどん活発になってくる。

p.123 POSシステムについていちばん誤解されやすいのは、POSが出した売り上げランキングの結果をもとに発注するものと考えられているところです。POSが出すのは「昨日の顧客」のデータであって、「明日の顧客」のデータは出してくれません。「明日の顧客」のニーズ、明日の売れ筋は人間が仮説を立てて探るものであり、POSは基本的には仮説が正しかったかどうかを検証し、次の仮説へとつなげていくためのものなのです。

p.123 わたし(佐藤可士和さん)は「素人の目線」こそが、新しいものを引き出すうえで、すごく重要だと思います。私たちの日常生活のなかで感じた疑問から発想することが重要です。ところが、仕事をしていると、会社の都合や大義名分から考えてしまいます。

p.137-8 仕事をするときに大切なのは、自分自身を常に客観的にみることだといい続けています。自らを客観視するとは、「もう一人の自分」から自分を見ることです。「もう一人の自分」から見ると、視点が切り替わり、自分も仕事を一歩離れれば、顧客の立場になり、わがままで矛盾した心理をもっていることに気づく。感覚を鈍らせていたフィルターが外れ、自分自身、買い手としてニーズがどんどん変わっていることがわかる。

p.146 消費者の行動は理屈ではなく、心理で動く。一方、売り手はややもすると理屈で考えがちですが、忘れてはならないのは、心理の世界にいるお客様に対し、理屈の世界で接してはならないということです。

p.150-1 損と得を同じ天秤にかけず、得られる利得より、失う損失のほうをより大きく感じる心理は、わたしたち日常生活のいたるところで見られます。
 商品があった喜びより、「なかったがっかり感」のほうがずっと大きく感じる。それが続くとお客様のロイヤリティ(忠実度=継続したいと思う度合い)はすぐに失われます。

p.153-4 人間はもともと、利得より損失のほうを大きく感じるうえ、廃棄ロスは目に見え、どのくらい損をしたか数字にもすぐ表れます。それに対し、機会ロス、つまり、得られるはずの利得は直接的には見えません。そのため、どうしても廃棄ロスばかりに目を奪われてしまいます。そして、企業ロスを恐れ、回避しようとして、消極的な発注をしてしまうのです。

p.155 大きなフェイスをとって陳列し、接客や売り方の演出でよさをアピールすれば、お客様はその自信を感じとり、「これを買っても損はしない」と納得する。
 売り手が損失回避の心理から抜け出し、挑戦意欲をもって、積極的な姿勢をとれば、買い手も損失回避の心理から抜け出して、購買意欲をそそられ、積極的に手を伸ばそうとする。

p.159 矛盾しているように見えて、一貫しているのは、選択の納得性です。
 繰り返し述べたように、お客様は何を買うのかといえば、価値を買いたいのです。価格の安さも一つの価値ではありますが、安さだけで買うわけではありません。お客様はその商品について買うべき価値があると納得できる理由を求め、自分の選択を正当化しようとします。

p.160 商品の陳列も、単品あたりの陳列量が一定以上になると、お客様の認知度が一気に高まり、心理が刺激され、購買意欲が爆発点に達して手にとるようになります。

p.162-3 商品を大量に店頭に並べるのは、一つの挑戦であり、リスクをともないます。しかし、リスクを恐れて、消極的な対応をとると、爆発点は起こせません。爆発点はリスクの向こう側にあることを忘れるべきではありません。

p.169 「積極的にお客様に近づくことが、いま何より求められている」

p.172-3 「コミュニケーションとしての接客」を最重要課題としたのは、お客様の「確認したい」という欲求に応えるためです。
 消費が飽和状態になり、現代の消費者は何を買っていいか迷っているといわれます。しかし、それは売り手側から見た見方で、「迷っている」というよりは、「確認したい」という意識が非常に強まっているように、わたしは感じます。「本当にこれはおいしいのか」「値段は高いけれど買うべき価値があるのか」「これは安いけれど本当に大丈夫なのか」とお客様は確認したい。

p.173 「確認したい」という心理をもつお客様に対しては、まず、「確認してみるだけの価値があります」と語りかけるよううな新しい商品やサービスを生み出し、提供することです。

p.178 接客の基本はコミュニケーションにあり、踏み込んで行うほど、相手からも情報が入ってくる。それが「対話」としての接客です。

p.180 相手の心理を読みながら、自分の考えを相手に示し、共感を生み出していく。それが成功に結びつくコミュニケーション能力の基本であり、「確認したい」と思うお客様への接客の原点です。

p.183 絞り込みとは別の言い方をすれば、お客様に対して「レコメンド(推奨)」することです。店舗というプラットフォームで、売り手としてレコメンドする商品を品揃えしていく。

p.185 わたしたちが商品を提供するときに忘れてはならないのは、お客様に対して選ぶ理由を提示できているかどうかです。それは「お客様の立場で」考えなければわかりません。

p.196 「伝わらないのは存在しないのと同じ」
 わたしは以前から、小売業にとって、新しいものを生み出すと同時に、新しい価値をいかにお客様に伝えていくか、コミュニケーションが非常に重要になっていると考えていました。

p.199-200 「ブランドデザインは根底に流れるフィロソフィがないとできません」
 ブランディングとは、ブランドの存在意義や本質的な価値を整理し、明確化し、的確なコミュニケーションで伝えることです。

p.201 お客様にとって「当たり前」のことを、自分たちにとって不都合であっても当たり前に実践する。

p.202 「変化に対応すれば市場飽和はありえない」

p.205 目先の百万円のために、将来の一億円を失ってはならない。

p.206 安直な方向に流れるのは、運動するとエネルギーを使うし、しないほうが楽だから、ジッとしていようと考えるのと同じ理屈です。

p.210 どうせ買うなら、いつも行きつけのセブンーイレブンで買おう。なぜかあの店のほうが買いやすいのでよってしまう。それがお客様のロイヤリティです。

p.211 お客様は期待した以上の価値を感じて初めて満足する。その期待度は一定ではなく常に増幅し、食べものならば以前は「おいしいもの」のレベルが次は「当たり前」になり、やがて、「飽きるもの」に変わる。

p.212 「お客様にどんなに喜んでいただけた成功事例があったとしても、それと同じことをしたのでは、二度目はお客様にはさほど喜んでいただけません。ですから、手を替え、品を替えて、お客様の期待を上回るサービスを提供し続けることが重要です。それにチャレンジし続けなければ、成長はありません。わたしは『エレベーション』という言葉が好きで、自分を高めるために生き、自分が高まるから世のなかにもいろいろな貢献ができるのだと考えています」

p.213 つまり、売り手側が変わり続けることで、お客様には変わらず満足してもらえる。逆にいえば、お客様に「変わらずにおいしい」と思ってもらうために、自分たちが変わっていくのです。

p.214 自分たちが変化していく際に、わたしたちが常に心がけなければならないのは、常に何かをプラスオン(付加)し続けることです。

p.217-8 早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成さんは、過去の成功体験が「よいパラダイム」として人や組織に染み込んでいると、変化に直面したとき、その成功体験が足を縛られてしまうことを「成功の復讐」と呼んでいます。
 過去の思い込みでマーケットを見ていると、本当の現実が見えず、現実を見たいように変えてしまう可能性があるという話でした。

p.218 変化に対応できない人は、変化を見ようとしないわけでも、見ることができないわけでもありません。見ようとしても変化が見えないのです。過去の経験がつくり出したフィルターがいつも目にかかっていて、フィルターを通すとマーケットの変化が消えてしまうのです。一生懸命やってもずれうのは当然です。

p.219 「成功の復讐」にはまらないためにはどうすればいいのでしょうか。過去の経験に縛られると、思考や感覚にフィルターがかかってしまう。とすれば、発想の方法を逆転させるしかありません。一歩先の「未来の可能性」や「あるべき姿」を描き、そこから振り返って、過去や現在を問い直し、やるべきことに踏み出していくことです。

p.221 過去の経験の延長線上で考えると、「これまでこうだったのだからこれからもこれでいいだろう」と、積極性の乏しい冷めた意識になりがちです。一方、未来から発想すると、「こうありたい」「こうあるべきだ」という思いが前面に出るため、主体的な意識になります。

p.226 情報が氾濫する現代社会にあって、ややもすると、「常に最先端の情報をとらなければならない」とか、「情報の流れに取り残されてはならない」といった気負いをもってしまいがちです。結果、逆に情報に振り回され、本当に必要な情報がとれていなかったりする。あるいは、日々多くの情報に接しながら、過去の経験や常識にとらわれた固定観念や思い込みがあるため、本当に重要な情報を見逃したりします。

p.229 誰にとっての「当たり前」なのかを常に考えること、「あるべき姿」の軸がブレないこと、そして、「当たり前」のことを当たり前に、しかし、徹底して実行していることです。自分の都合の範囲内での「当たり前」ではなく、相手にとって「当たり前」のことを愚直なまでに積み上げていくのです。

p.232 お客様にとって「当たり前」のことを当たり前に徹底して実行し、積み重ねていくと、あるとき爆発点に達し、非凡化する。

p.233 頭を白紙にして、どちらがいいだろうと素直に考えて、「当たり前」のことをやる。それだけです。
 ただ、決断の仕方はシンプルでも、お客様にとって「当たり前」のことは、売り手にとっては不都合である場合も多く、実行は困難がともなうことも少なくありません。それでも、大切なのは目の前の課題に対し、その都度、一歩踏み込んで挑戦し、一つ一つ片づけていくことです。

p.235-6 「運というものは誰にも平等に訪れているものですが、日ごろからの圧倒的な努力があって初めてその運がつかみとれるのだと思います」

p.241-2 ビジネスは、能力や努力だけでなく、運にも左右されます。その運は偶然の部分がかなりあります。しかし、過去の経験や既存の常識を超えた挑戦や努力をすることで、普通に行動していたらめぐりあえないような幸運も引き寄せることができるのです。
 世の中を見渡すと、大きな成功をなし遂げた人たちはたいてい、「運がよかった」といいます。それは単に幸運に恵まれたというよりは、幸運を呼び寄せるような挑戦や努力を行っていたのではないでしょうか。

p.243 一歩踏み込んで挑戦すれば、リスクも高くなりますが、努力を重ねれば、幸運と出あう確率も高くなります。幸運は挑戦して努力するものにのみ訪れるのです。

p.244 毎日が瀬戸際だと思い、真剣勝負で仕事をしようとするからでしょう。

p.245 自分にいいわけをするくらいなら、懸命にやったほうがいい。失敗したらそれはやむを得ないと覚悟はしながらも、恐れることなくやれるだけのことはやったほうがいい。自分の能力いっぱいの力をつくす。もし転んだら反省してまた挑戦すればいいのです。


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