何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

OD錠やD錠の無意味な使われ方

2005-07-11 21:50:21 | くすり雑感
 昨今、「・・・・・OD錠」や「・・・・・D錠」が流行だ。要は、口腔内崩壊錠で、嚥下困難な人や、錠剤が大きくて飲み込みにくい人や、のどにつかえてしまう人のために容易された特殊な剤形だ。
 どうやっても飲める人には、これまでと同じ錠剤で、何ら困ることはない。

 錠剤が大きいか小さいか、飲みやすいか飲みにくいか、そんなのは個人差に過ぎず、直径何ミリを越えれば飲みにくい、なんていうのは、統計的にそういう人が多いか少ないかだけのことだ。極端な話、どんなに小さくても粉薬じゃなきゃダメな人もいるくらいだから。

 しかしすべての薬がOD錠として製剤化できるかといったら、向かないものもある。苦味の強いものは不向き。すぐ口の中で溶けてしまえば、苦いだけ。だからそもそも裸錠からフィルムコート錠が生まれたのだ。また湿気に弱いものもOD錠には向かない。湿気を含んで、飲む前に崩れてしまい、扱いにくくなるからだ。

 OD錠やD錠も、そういうメリットが享受できる人にだけ使われるのならいいが、ネコも杓子もみな処方がOD化している向きがある。これはヘンではないか。5種類の処方のうち、2種類だけOD錠で、あとはOD化できないものや、カプセルだったらどうするのか。意味がないではないか。

 もともとOD錠でなくてもいい人にOD錠が処方されていて、それだけの理由で薬局では在庫ナシの扱いになることすらある。意味もなく、OD錠の処方を書く医者にも困ったものだ。そういう時は疑義照会せざるをえないが、たいてい「その程度のことで電話してくるな」と嫌味を言われる。

 OD錠やD錠は、一見、一部のニーズに応えているにすぎず、それをきちんと使い分けさせないのは、製薬メーカーのエゴだろう。「大は小を兼ねる」かのように、何でも処方をOD化されたら迷惑なだけだ。OD錠が製剤の基本ではなく、フツウ錠があくまでも製剤の基本なはず。OD錠は特殊製剤ではないのか。
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