goo blog サービス終了のお知らせ 

何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

内部品質監査で組織の自浄能力を高める

2006-08-11 12:14:06 | ISO9001奥が深いか浅いのか
パロマ不正改造、元社員「何度もやった」

 一酸化炭素(CO)中毒事故が相次いだパロマ工業製の瞬間湯沸かし器に関し、パロマの複数の元社員が読売新聞の取材に対し、安全装置が機能しないようにする不正改造を行っていたと証言した。

 修理を行う系列の「パロマサービスショップ」の従業員が不正改造を行っていたことは裁判記録などで判明していたが、社員の関与が明らかになったのは初めて。元社員らは「部品がない時に応急措置として行った」としているが、このうちの一人は「先輩に教えられ、何度もやった」と話しており、不正改造がパロマ内部で日常的に行われていた可能性が浮上してきた。

 不正改造は、安全装置などを制御する装置(コントロールボックス)の電気配線を付け替えるもので、排気ファンが停止してもガスが供給されるようになる。このため、電源コードがコンセントから外れるなどしてファンが止まるとCOが充満して事故につながる。 (読売新聞) - 8月11日6時59分更新


 当初は、パロマの与り知らぬところで行われていた不正改造が原因だということで押し通してきたが、いよいよパロマも知っている中で現実があるとなると、事故も「事件」に変わる、まさに人災の様相を帯びてきた。

 つくづく思うのは、ISO9001を取得して、それで運用してきたのだから、その仕組みの中でなぜ防止できなかったのか、ということだ。内部品質監査が自浄作用を持たなかったのだろうか、いえ持てないのだろうか。残念でならない。

・修理依頼や実績は、製品にとって好ましくないことだから、それが繰り返されていたのは、是正処置が適切に取られていなかった(8.5.1)
・予防処置が不十分だった(8.5.2)
・必要な処置がとれないほど、内部で情報が適当な人に伝達されていなかった(5.5.3)
・必要な処置とは、何をすべきであっって、何はすべきでないか、理解できていなかった(6.2.2)

 などが考えられるが、こうもいろいろな場面が出てくるということは、「顧客重視の組織運営が出来ていなかった(5.2)」ということではないだろうか。
 誰がその文化を作るかって、トップマネジメント以外にありえない。ISO9001をトップが推進役として、陰に日向に熱心に取り組むかどうかで、組織が大きく違ってくるのだろう。

 トップに問題があったということで思い出されるのは、東横インである。トップが利益優先で不正改造を行っていたのだ。あれと似た構造だ。パロマがどこまで利益優先かどうかはわからないが、パロマ工業の社長が辞任して、パロマの社長(=息子)が辞任しないとなると、同属経営が影響しているようにも感じられる。

 内部品質監査が事件や事故を防げないのは、まさにトップにメスが及ばないということだろう。わかっていても届かないもどかしさを感じている者は、世の中にたくさんいるのだ(自分ばかりではなかった!)。
 別の言い方をすれば、それこそISO9001の限界なのだろうか。身を投げ出しても防ごうとでもしなければ、組織は守れない。事件の身代わりになって、組織が残れば、ひいては不適切な判断をするトップをも守ってしまうことにもなり、一方で原因を抱えた者によって自らの立場を奪われるといった、割りに合わないことをするのが、内部品質監査員のようでもある。それじゃ、苦しすぎないか 

 では内部品質監査員は、そういったトップをいかに顧客重視に変えるかどうか、基本姿勢の転換を図るか、それが究極の任務のようにも思える。ちょっと悲しいかな。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ISO9001は無力なのか・・・

2006-08-03 00:43:38 | ISO9001奥が深いか浅いのか
 まさか、とは思った。自分の目を疑った。それは、太陽管財がISO9001を取得していただった。

 埼玉県ふじみ野市の市営プールで、小学校2年生の女児が流れるプールの吸水口に吸い込まれて死亡した、そのプールの管理運営をふじみ野市から請け負っていたのが、この太陽管財である。

 流水プール以外にも、学校のプールでも、吸水口に吸い込まれて児童、生徒が亡くなった事件って、これまでにもあった。吸水口に手を当ててみれば、大人ならまだしも、子供ならうっかりしていれば事故に遭う危険性があるのは、十分想定できるだろう。

 プール外壁に格子状の柵があるとはいえ、あの柵って10cm程度の間隔で二重にしておくことはできないのだろうか。二重にしたのでは、メンテナンスの手間が面倒だと思ったのだろうか。
 何らかの理由でさくが外れたら、自動的に吸水が止まるような構造にはできなかったのだろうか。フェイルセーフ的な構造は、そんなに難しくないと思うのだが。

 しかしこのビル管理サービス業の太陽管財、ISO9001を取得していたにもかかわらず、京明プランニングという下請け会社にプール管理を丸投げしていたという。
 ISO9001的には、アウトソースにあたると思われ、下請けさせるなら任せる力量を備えているといえる業者にさせるべきだった。太陽管財では、そういった管理ができていなかったのではないか。7.4の不適合か。

 ふじみ野市側も、まさか太陽管財がさらに下請けに出してしまうなどとは思っていなかったようで、太陽管財がそういう信用のおけない会社かどうか、よく吟味していなかったのではないか。せいぜい、入札により価格の安さだけで落札して、任せていたのではないか。ふじみ野市側にも、そういった落札相手の吟味不十分さはあるだろう。

 そして京明プランニング。マニュアルもあるのかどうかわからない会社、安全を守る業務にもかかわらず、現場の監視員に吸水口の構造や危険性を知らせず、バイトでプール管理をさせていたとは!

 まさか!、と思って、事件を起こした会社のISO9001認証取得状況を検索してみるが、それにしてもパロマしかり、シンドラーしかり、東横インしかり、みな取得している。内部監査態勢はどうなんだろうか。顧客重視はどこまで徹底できているのだろうか。唖然とするばかりだ 
Comments (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クレーム軽視が事故を招いた

2006-07-22 01:08:53 | ISO9001奥が深いか浅いのか
きょう業務改善指示 欠陥放置、トヨタ社長謝罪

〈前略〉 国交省ではユーザーやディーラーから寄せられた不具合情報が社内で共有されておらずリコールの遅れにつながった恐れがあるとして、社内の連携を強化し、再発防止策の提出を求める。
 82件の不具合情報のうち国交省が特に問題視しているのは、問題の部品を改良した平成8年までに見つかった5件の折損報告。これは、ディーラーからリコールの判断材料となる「市場技術情報」としてトヨタの品質保証部に情報が上がっていた。
 だが、同部ではこのうち4件はハンドルを停止状態で目いっぱい切る「据え切り」をした状態で起きたとして、「特異なケース」とみて原因調査の対象から排除していた。 (産経新聞) - 7月21日8時2分更新

 クレームは、寄せられたほうとしては気持ちのいいものではないが、その相手が
・以前からしばしば折り合いがうまくいっていない
・スタッフと波長が合わない

 ような場合、クレーマーのような者だろうと、その相手を一種の性格異常か変わり者扱いして、相手の主張を意味のないものとしてとらえ、さらに結局は金銭目当てではないか、ゆすりが目的じゃないか、むしろ被害者はそんな「異質な者から」クレームを言われたこちらではないかと、いつのまにか迷惑を受けているのはサービス提供側であるかのように、逆転したような発想になっていることすらある。

 たくさんの相手(顧客)と接する中には、確かに本当に難癖をつけなきゃ、生きていけないように思える人がいないわけじゃない(これも既にバイアスが入った見方かもしれないが)。
 しかし相手が“少数派”の者だからと決めつけて、クレームそのものが既に意味の薄いものだと、本質を軽視・無視して、訴えは無効だなどと、改善をしなかったら、やがて大事故につながるかもしれない、ということは真摯に受け止めておかねばならないだろう。

 相手はクレーマーだ、という見切りの早い“診断”は、危険だということだ。

 副作用もそうだ。1例目は、まさか、そんなことは聞いたことがない、そうじゃないとは断定できないまでも、たぶん違うのではないかと、「特異なケース」扱いしがちなのではないだろうか。
 確かに副作用でない可能性が高い、という思いが強いのだろうが、ひょっとしたら本当に副作用かもしれない、という思いもかたや一方に置いて、常に検証する目でその後の様子にあたっていかねばならないだろう。

 その後、類似例が見られた時に、ビビビっと「以前もこういうことがあった!」と、気づいて、早期に手を打てるかどうかだろう。
 担当者が「これは怪しい」と訴えても、判断権限のあるものが、それを握り潰そうとするかもしれない。そんなセンスの者を、要職につけてはならないし、つけてしまったとしたらすぐに解くとともに、任命した者にも責任をとってもらわねばなるまい。
 1人に判断権限を持たせるのではなく、安全管理には、判断能力のある者を複数人揃えて、冷静かつ適切な判断ができるようにしておくと、組織にとっても、利用者にとっても好ましいことだろう 
Comment (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

品質管理部長のモラル

2006-07-22 00:39:19 | ISO9001奥が深いか浅いのか
不正改造周知「効果少ない」=パロマ工業部長証言-6年前、事故めぐる民事訴訟で

 北海道恵庭市で起きたパロマ工業(名古屋市)製湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故をめぐる民事訴訟で、事故原因となった不正改造の発見方法について、当時の同社品質管理部長が「利用者に知らせても効果は少ない」と証言していたことが21日、分かった。
 不正改造の危険性を伝えたのは直接取引のある販売業者のみだったといい、一般顧客への周知を軽視し、事故の続発を許した同社の姿勢が改めて浮き彫りになった。
 恵庭市の事故は1995年1月に発生。重症になった女性らが97年、同社などを相手に賠償を求め、札幌地裁に提訴した。
 2000年10月の法廷で、品質管理部長は、事故の一因とされる湯沸かし器のコントロールボックス(制御装置)の不正改造について、コンセントを抜いた際、燃焼を続けるかどうかで判断できると説明した。 (時事通信) - 7月21日8時1分更新

 パロマが相当病んでいるのは、ここ数日の報道でわかったが、品質管理部長たる者が、安全管理においてこのような判断をしていたのは、ショックだった。他の者がこのようなことを思っても、品質管理部長だけはユーザー第一の、真っ当な判断をする・できるはずだろう、と思うからだ。

 でも、品質管理部長の判断が・・・というと、先日のトヨタのリコール隠しの件でも、同様のことがあったばかりだ。3代にわたって、品質管理部が機能していなかったのだ。
 自分もまがりなりにも「品質管理責任者」たるものを拝命してきて、組織が崖から落ちそうになったら、道を踏み外そうとしても、内部品質監査員とともに自分はそれを防止できるよう、機能しようと思っていたからだ。

 「利用者に知らせても効果は少ない」だなんて、知らせることに対する手間や機能と、それによって被害を防ぐことのできる人命の多さとを天秤にかけての言葉だとしたら、悲しいことだ。ユーザーもバカにされたものだが、こういう幹部がいる会社に勤めてしまった社員も哀れなことだ。
 類似の事件が再発しないためにも、過激すぎると聞こえるかもしれないが、こういう会社は生き残れないんだ、ということが社会に浸透していって欲しいと思う。幸運にも存続することが、JR西日本のように、喉元すぎて熱さを忘れた頃、事件を繰り返すことになるのではないだろうか 
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パロマに見る「安全確保はどこまでやるの?」

2006-07-19 08:54:24 | ISO9001奥が深いか浅いのか
 <不正改造>「パロマ講習会で習った」…元業者証言 苫小牧

 92年4月に札幌市で2人が死亡した事故の損害賠償訴訟で、パロマ製品の修理をする「パロマサービスショップ」を北海道苫小牧地区で経営していた元業者が、被告側弁護士に対し、「(不正改造は)パロマの講習会で教えられた」と証言していたことが、札幌高裁の裁判記録などで分かった。しかし、パロマ側は「改造を絶対に行ってはいけないと指導していた」と証言を否定し、判決はこの点に触れなかった。
 この訴訟は、遺族側がパロマと取り付け業者らを相手取って損害賠償を請求した。証言した業者は75~87年まで同ショップを経営。札幌市の事故とは無関係だったが、87年に苫小牧市で2人が死亡、3人が軽症を負った事故で、安全装置が作動しないように不正改造をしていたとして、関連証言をした。
 ◇パロマは否定
 この業者は98年2月、取り付け業者の弁護士に対し「メーカーの指導なしに、サービスショップレベルの知識でこんな改造は出来ない。パロマ札幌営業所は年に2、3回、サービスショップを集めて講習会を開催していた。(動作制御をする)コントロールボックスの故障が多かったことから、講習会で応急措置として(安全装置を作動させない)バイパスを教えられた記憶がある」と証言し、証拠提出された。
 また、不正改造を行った動機について、この業者は「パロマの(事故機の一つの)PH―101Fなどはクレームが多かった。修理にはコントロールボックスの交換が必要だったが、パロマの製造が間に合わず改造で急場をしのいでいた」とし、「パロマはこのように応急措置をしていることを苫小牧事故以前から知っていたが、何もしなかった」と指摘した。

以上 (毎日新聞) - 7月19日3時6分更新

 当初からパロマ側が修理業者の行ったことを“不正行為”だと言っていたことに、どこかひっかかるものがあったが、もしこの報道が明らかならさらに事故の原因を考えるうえで、根底が覆されることになる。

 いったい自分たちの扱っている製品を、どのようなものだと考えていたのだろうか。社会や消費者に対して、どのように位置づけていたのであろうか。

 修理?、そりゃ全くしなくてもいいとは思っていないが、
・そこまで販売側がやらなくてもいいのではないか
・そこまでやらなきゃ、いけないの?(後は修理側に任せれば、そこまでで販売側の役目は終わりじゃないのか)

 そう考えていたフシはないか。今回のパロマの報道があるから言うのではない。これは身の回りに、もっと広く存在する考え方かもしれない。ここまでやっていればいいじゃないか、と自分たちで範囲を決めていたのかもしれない。

 どこまでやるかについて、法的に決められていたのなら、その線引きで問えるが、これらは法的に決められて、やる・やらないを考えるものではない。モラルや倫理的に、自主的に具備すべきものだろう。

 とりわけ扱う製品が生命関連であればなおさらのことだ。湯沸かし器のように、万一のトラブルが一酸化炭素中毒でなくても、ガス漏れ~爆発、火災といったことも考えられ、生活への影響が大きい製品である。他人から言われてやむをえずやるようなものとは違うのではないだろうか。自らその必要性を自覚して、臨むものではないかと思う。

 どこまでやればいいのか、それは消費者の視点、時代の要請などで決まってくるのだと思う。今がそうだから、将来もそれでいいというものではない。おそらくそのハードルは、売り手側が考える高さより、はるかに高く設定され、とどまるところを知らず、つねに高くなっていくものなのだろう 
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安全対策の不作為をもたらす背景は

2006-07-19 00:22:50 | ISO9001奥が深いか浅いのか
パロマ事故、17件発生直後に把握…上層部に伝えず (読売新聞) - goo ニュース 2006.7.18
-----転載ここから
パロマ工業(名古屋市)製の瞬間湯沸かし器による死亡事故が相次いだ問題で、同社は17日、経済産業省が指摘した17件の事故すべてについて、発生直後から本社の担当部が把握していたことを認めた。
 同社の内部調査では、1990年に北海道帯広市で2人が死亡するなど、ほかに数件の事故が発生していたことも判明。事故件数は20件以上で、最初に事故を認識した時期も、従来の説明より少なくとも6年早い85年にさかのぼることになった。

 同社は、会見した今月14日の時点で、社内で把握している事故は17件のうちの7件で、残る10件は「11日に経産省から指摘されて知った」と説明していた。ところが、同社によると、事故情報は、発生する度に警察から同社に照会があり、本社の品質管理部が関係書類を保管することになっていて、問題の17件についても、同部がすべて把握していたという。
-----転載ここまで

 そんなはず、ないんじゃないかなぁ・・・、と思っていたら案の定というべきか。どういう気持ちで、先週は謝罪をつっぱねていたのだろうか。秋田の児童殺害事件では、その親心が理解不能だが、名古屋の企業のトップもワケわからないものだ。

 知っていた>伝えた>忘れた?(軽く聞き流してしまった、軽視していた)、因果関係などないと無視した
 知っていなかった>上に伝達する途中で、うやむやにされた

 社長もいいかげんだが、パロマもISO9001を取得していたのだから、内部監査体制はいったいどうだったのだろうか。安全管理をする部門に対する内部監査や、クレーム対応などについて、見て見ぬフリをしていたのか。是正処置や予防処置はどうなっていたのか(おそらく動いていなかったに違いない)。内部監査員も、実態を知りつつ、苦々しく思い、きっと改善を勧めていたのだとは思うが、結果的には機能しきれていなかったのではないだろうか。複雑な思いだろうなぁ。

 安全装置の不正改造だなんて言いながら、老朽化による事故もあったという。安全管理体制は、ずさんすぎる。ガスを使ってお湯を沸かすのだから、不完全燃焼もあれば爆発だってありうるというのに、社内の安全管理体制の詳細は報道からは伝わって来ない。不祥事が小出しになっていることはないだろうか。

 今になって平謝りしているが、それだって打算的な計算のもとに、方向転換しているのかもしれない。企業としての危機管理もできているとは言い難い。こういう事件は、担当部署が独自で行ったとは考えにくく、おおむね組織的、早い話がトップが主犯だと思われる。事故隠しによってあらゆる信頼を失う、その見本がまた増えてしまった。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パロマ工業が謝罪しない理由

2006-07-15 09:19:49 | ISO9001奥が深いか浅いのか
「不正改造なければ…」CO中毒死、パロマ弁明に終始 (読売新聞) - goo ニュース

 パロマ工業のガス瞬間湯沸かし器の排気ファン作動不良により、15人もの人が一酸化炭素中毒で亡くなっていた。機械の不良が原因なら、製造メーカーが追求されるのは普通の成り行きかと思うが、単純にそうではないらしく、社長は「謝罪しない」姿勢を貫いている。

 この報道を知って、まさかとは思ったが調べてみると、パロマもISO9001を取得していることを知って驚いた。事故の原因は修理に問題があったからで、製造メーカー側の問題ではないという、まるでシンドラーエレベータ(ISO9001認証取得)が点検業者に問題があると矛先を変えようとしていたのと、同じ体制と理屈ではないか!
 点検を問題にしたのは、ナショナルのオイルヒーターの際にも見られた。

 この事故は昨今初めて発覚したのではなく、経済産業省も含めて10数年前から知っていたという。
 湯沸かし器の不具合が起こることを知りながら、正しく修理されなかったことを、不適切な修理などとは呼ばず、「危険な改造」とか「不正改造」などと、修理業者側が悪者であるかのように表現しているのは、この会社の体質を表しているように思われた。

 自社製造の製品に、そのような修理業者側の不行き届きがあろうとも、
・「改造」の危険性をかなり昔から把握していたのに、修理が適切に行われるようにアクションをとっていたのか
・「不正」改造というのであれば、それは業者のモラルの問題で済ませていていいのか
・安全装置が働いてすぐお湯がでなくなってしまうという製品であるにもかかわらず、修理が発生する自社品に問題がなかったのか
・適切な修理が行われにくく、もっと確実かつ容易に修理ができるよための製品改良の余地はなかったのか

 パロマは、誰を「顧客」としていたのだろうか。フツウに考えれば、自社製品を購入し、使用してくれる市民だろう。製品が適切に使用され続けていくためには、修理業者の存在も不可欠であり、内部顧客に準ずる立場でもある。今回のように矛先を向けるほどの利害関係を起こす間柄であれば、外部顧客としても位置付けて(明記してあるかは別に)おくべきではなかったかと思う。

 自社製品の不具合が発端であるにもかかわらず、「不正」改造という表現を使うところに、まるでパロマもある意味、いいがかりをつけられて困惑している“被害者”であると言わんばかりの経営者の態度に、どうか違和感を抱かざるをえない。ましてやISO9001まで取得していたのであるから、顧客重視の姿勢がもっと随所に見えてよいのだと思うが、悲しいかな、そのかけらも感じられない。

 パロマの社長は、矛先を向けられて憤りを感じると言っている。既に裁判になった時の責任追及を逃れるべく、被害補償額を最小限にしようといった責任回避的な言明に被、害者を始め、国民は憤りを感じ、同社への信頼を捨てるのではないだろうか。

 雪印の社長が「俺だって寝てないんだ!」発言にも匹敵するようにも思える。重大かつ基本的な初動ミス(リスク管理の誤り)でなければいいが。少なくとも、この社長にはISO9001の理解はおろか、社会的責任の視点も乏しいように思われる(経営者の力量不足か?) 
Comments (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

品質保証部長が守ろうとしたものは

2006-07-13 22:39:14 | ISO9001奥が深いか浅いのか
<トヨタ車事故>「対応に落ち度ない」 認識の相違鮮明に
 欠陥が見つかったのにもかかわらず、リコールなどを行わなかったとされるトヨタ自動車社員による業務上過失傷害事件。11日、熊本県警は「危険性を認識したのに放置した」として同社の歴代の品質管理担当幹部3人を書類送検したが、トヨタ側は「リコールの必要はなかったと判断した。対応に落ち度はなかった」と認識の違いを強調した。しかし、高品質と徹底したアフターサービスで「世界のトヨタ」にまで成長した同社の不祥事に、同社の車を扱う販売店には困惑が広がり、ユーザーからは誠実な対応を望む声が上がった。(毎日新聞) - 7月11日22時59分更新

 トヨタが欠陥車と知りながら、リコール件数を大幅に減らすとか、副社長まで知りながら8年間も放置していたとか、まさに虚偽の申告をしていたわけであり、歴代の「品質管理部長」という、最も安全を守ることに責任を持つべき部署の長が書類送検された。

・天下の、あのトヨタが、
・社内管理体制を自負している会社が、
・歴代の品質管理部長が、
・さらに副社長までもが、
・三菱ふそうのことを知りながらも、

 いったいどうしたことだろうか。
 何で隠していたのだろうか。部品に異常があったことを隠すということは、単にクルマの問題であったはずのところが、いつのまにか、隠していたことを隠すことになってしまったのだ。
 密かに修理を進めることで、表沙汰にならないと思ったのだろうか。ひらたくいえば、結果的にはもみ消しに走ったと言われても仕方ない状態だ。事を荒げず、内々で済ませようとしたとも受け取れる。

 最初に知った「品質管理部長」がそうしたのだろう。個人の判断か、組織的かは知らないが。それが次の「品質管理部長」に引き継がれて、さらに次の「品質管理部長」にまで申し送りされていたのだ。
 先輩の「品質管理部長」の判断を、尊重したのだろうか。その実態を知って、おかしい、本当にそれでいいのか、と疑問に思わなかったのだろうか。それとも、異論を申し立てることなど、先輩の判断を誤りと言うことにもつながり、畏れ多かったのだろうか。

 先輩を庇った。部署を庇った。過去の判断を庇った。隠したほうが、公けにするより、メリットがあると判断したかのようだ。
 三菱ふそうのことがあって、トヨタもか、などと言われるのが恐かった。経団連の会長を務める奥田さんの顔に泥を塗ることは許されなかった、愛知万博を成功させたかった、名古屋の盟主として、認めることができなかった・・・、何が真相だか知らないが、明らかなのは、そうやって身内を庇い、利益追求姿勢は崩さず、安全性は軽視、顧客は二の次にした、という厳然たる事実だけはトヨタの歴史に刻まれたことだ 
Comments (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安さ優先で入札した罪では

2006-06-14 23:31:40 | ISO9001奥が深いか浅いのか
シ社、安値落札で浸透 「辞退迫れない」自治体戸惑い 朝日新聞 2006.6.14 夕刊
-----転載ここから
東京都港区で高校生が挟まれて死亡したエレベーターの製造元・シンドラー社は、官公庁の入札で同業他社に比べて安値を提示して実績を伸ばしてきた。国内シェアは1%程度とされるが、官公庁に限ればその割合を大きく上回る。「税金を使う以上、より安い方を選ぶのは当然」としてきた自治体は、今回の事故に戸惑いを隠せない。

 東京都はシンドラー社製品の大口ユーザー。石原慎太郎知事は9日の記者会見で怒りをぶちまけた。

 「安かろう悪かろうじゃ困る」
-----転載ここまで

 税金を使う以上、より安いほうを選ぶのは当然かい? エレベータの性能や信頼性、トラブル実績など、安全性が確保されたうえで、その次の選択肢が価格ではないのかな?

 税金を言い訳にして、安さで選んでしまったがために起きたともいえるのではないか。購買先を評価するにあたり、安さがイチバンにしてしまったという、7.4.1の不適合が自治体に見られる。

 シンドラーみたいな会社が、たとえ辞退してくれなくても、評価基準がきちんとしていれば、そこではじくことだって可能だ。自治体の購買担当者は、税金のほうを向いて仕事をしているとしたら、役人のほうを向いていることではないか。そのエレベータを使う真の顧客は、住民だ。そちらを重視した判断基準を設けていれば、事故は避けられた可能性もある。

 金額面だけで入札するのは、確かに透明性の高い方法ではあるだろうが、それだけではやはり不十分だ。入札条件として、事故の記録を提出させるとか、保守テンケンやメンテナンスの基準も設けて、ハードルがクリアしたところだけ、入札ができる方式にしてはどうなのだろう 

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エレベータは縦の鉄道

2006-06-13 21:52:02 | ISO9001奥が深いか浅いのか
原因はブレーキ?安全装置? 特定へ資料分析 警視庁 (朝日新聞) - goo ニュース

 シンドラーエレベータは、事故によって一気に知名度が上がった。事故以来、エレベータに乗るたびに、どこの会社のエレベータか確認するクセがついたが、幸い?同社のものにはお目にかからない。また同社のものでなくても、エレベータで異常らしきものがあると聞くと、ドキッとする。やはり、安全あってのエレベータなのだろう。

 シンドラー社は今回の人身事故に対し、メンテナンスに問題があり、それは他社が行っていたので自社には関係ない、と言っているようであるが、もしこれが車だったら、ディーラーが車検をせず、民間工場が行っていたから、製造メーカーの問題ではない、と言っているようなもので、とても通用するとは思えない。プリンターなどの場合、純正トナーを使わないとトラブルが起きても保証しないと言っているが、それはトナーで売上げを伸ばそうとする魂胆によるものだろう。

 さて、シンドラー社。なんとISO9001を取得していた! 今回の事件で、事故の原因は確定していないものの、推測の範囲内で、いったいどこに不適合があるのか、考えてみたい。
 まず対応のまずさ。シンドラー社のエレベータを知らなかった者にまで、評判を落とした。誰を「顧客」と考えているのかどうか(エレベータの利用者だろうけど)、顧客とのコミュニケーションができていないのか(7.2.3)。
 機械上の設計不良があったとしたら、設計開発の不適合(7.3)。
 全国各地から同様のクレームや事故も報告されていたというから、それを知っていて対策がとられないのなら不適合の管理(8.3)。
 メンテナンス会社が、同社のエレベータのことをよく知らされていなくて、保守が適切にできないでいたのなら、教育研修の不備か(6.2.2)。
 社内で問題がわかっていたのに、いつまでも対策がとられていないようだと、内部のしかるべき部署に情報が届いていないのではないか(5.5.3)。
 売上げや利益優先で、金儲けに走っていたことが原因なら、経営者の不適合(5.1)。

 格安に売り込んで、日本での市場を拡大しようとしていたというから、売上げは強く意識していたことだろう。その一方、安全も同時に提供できる態勢だったのだろうか。契約がとれて、建物に設置すればそれで一件落着と思っていたことはないだろうか。

内部監査脳を鍛える

Comment (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

内部監査員は顧客の代理の視点で

2006-05-21 12:19:09 | ISO9001奥が深いか浅いのか
 一昨日、内部品質監査(ISO9001の8.2.2に相当する内部監査)に行く。チェックリストを用意し、インタビューし、気づいた点を指摘して、今後の改善の一助にしてもらう。先方と話をする中で、被監査側も「けっしてこの様子はこのままでいいとは言えない」と思い、自分たちの不十分さを自覚すれば、指摘もすんなりと受け入れてもらえる。

 監査なんて、受ける側にすれば喜んで行うようなものではない。監査員は何かあれば指摘するわけだし、褒めることもあるとはいえ、褒めるために来るのが第一義ではないからだ。しかも同じ組織の「内部」の者が来るわけだし、結果は報告される・・・、監査さえないければ見つからないものも、白日のもとにさらされてしまう・・・、歓迎されないわけだ。

 しかし監査をスタートするにあたり、「あら探しじゃないよ、よりよい活動をするための見直しの機会だよ」などと伝えて開始するから、余計、タテマエと本音の違いのように、さもきれいごとを言っているようにしか受けとめてもらえない可能性も大きい。

 ところで労働組合は、会社に争点を投げかけ、交渉して、どこまで譲歩を勝ち取れるか戦うためにあるか、社員を守るためにあるかのようにとらえる向きがある。お互い、対立関係にあるようだ。しかし、社員側が気持ち良く働ける環境が得られれば、会社にとってプラスになるので、団交の場を戦場と捉えず、検討の場と捉えて、むしろ会社側から逆提案をするという考えもあるという(『鈴木敏文に学ぶ「大きな仕事」ができる人、できない人』国友隆一・著、PHP研究所)。

 内部品質監査もコレだ!、と思った。内部品質監査員とは会社側に立つ人間であって、会社の論理に向けて修正を図る調査員のように思われているのではないか。そう思われているから、ときに一夜漬けで繕ったような様子が見られたり、キレイ事でかわそうとするような返答を平気でしてくるのではないか。

 内部品質監査員は、同じ組織内の者と言えども、「顧客の代理」なのではないかと思う。だから、監査はよりよい活動を進めるための検討の機会になる。

 顧客重視が組織の柱となっていれば、この考えはより受け入れられやすくなるだろう。現場が顧客重視なのに、組織本体が売り手指向だったら、監査によって相反する考えを押し付けられると思うから、監査員は招かれざる客のようになってしまう。

 内部監査には、態勢、仕組み、手順などとの適合性を監査する役割もあって、それとのズレは指摘事項になるのだが、態勢、仕組みなども顧客志向で構築されていれば、監査による指摘も現場にとって納得のいくものになるだろう。

 今後、監査員が集まる場がとれれば、問いかけていこうと思った 

内部監査脳を鍛える
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

JQAに賠償命令

2006-04-22 08:53:49 | ISO9001奥が深いか浅いのか
 日本品質保証機構(JQA)に、認証指導誤りで7400万賠償命令という記事で、ちょっと驚いた。毎日新聞 2006.4.22
-----転載ここから
商品やサービスがISO(国際標準化機構)やJIS(日本工業規格)などに適合しているかどうか審査・認証する経済産業省主管の財団法人・日本品質保証機構が、商品規格認証の指導を誤り約7400万円の賠償を命じられる判決が21日、東京地裁であった。裁判長は「適切な指導助言をする契約上の義務を怠った」と指摘。
-----転載ここまで

 何のことかよくわからなかったが、このようなことだった。
性能認証機関の過失認定 7400万円賠償命じる (共同通信) - goo ニュース
-----転載ここから
三菱重工業(東京)が発電機などをカナダで販売するため、財団法人日本品質保証機構(JQA)に機械の性能認証などの指導を受けたところ、カナダ側から不適合とされたとして、約1億3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。

藤下健裁判長は「JQAの担当者は発電機などがカナダの規格を満たしていなかったのに指摘しなかった」と過失を認定し、JQAに約7400万円の支払いを命じた。

判決によると、三菱重工業は発電機や溶接機の輸出を計画。JQAが1998年に製品を試験し、カナダの規格に適合していると判断したため、製品を輸出した。ところが2000年2月、カナダのオンタリオ州当局に規格不適合を指摘され、販売や輸出を停止せざるを得なかった。
-----転載ここまで

 ISOに関する業務のみならず、もっと広い部分にJQAは係っているのであって、中には、長い活動のうちには、想定外のことが起こることもあるのだろうが、なんせ、かたや一方で品質管理を積極的に進めているところでもあるのだから、「アリの一穴も漏らさない」でいて欲しかった。

 JQAによって審査を受けている認証登録機関の不祥事に、JQAが関与した組織が目立ったが(ヒューザー、三菱ふそう、東横イン)、JQAのせいではないとはいえ、われわれのあずかりしらぬところで、何かよからぬことの前触れでなければいいと祈る 




Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゼロ戦は負けるべくして負けた

2006-03-08 23:13:26 | ISO9001奥が深いか浅いのか
 NHKその時歴史が動いた「ゼロ戦設計者は見た悲劇~マリアナ沖海戦への道~

昭和19(1944)年6月19日

ゼロ戦、マリアナ沖海戦で壊滅的な被害を受ける
 太平洋戦争の戦局を支え続けた零式艦上戦闘機、ゼロ戦。開戦当初、アメリカ軍戦闘機をも圧倒したゼロ戦は、戦前日本の技術力の結晶だった。しかし、昭和19年、空前の航空決戦となったマリアナ沖海戦において、壊滅的な打撃を受ける。

 なぜ、ゼロ戦は敗北したのか?設計者が残した開発記録から、ゼロ戦を窮地に追い込んだ欠陥の正体と日本海軍の組織的問題を読み解いていく。真珠湾攻撃から戦争末期の特攻まで、日本と運命を共にしたゼロ戦の悲劇を見つめる。

 ゼロ戦は、当時世界最高の戦闘機と期待されていたが、機体には欠陥があり、それがやがて歴史が動いたとされる敗北につながる。戦争への勝ち負けがどうのこうのではない。勝っていればよかったのか、そういう問題ではない。

 機体の欠陥とは、機械的、技術的なものであるが、なぜそれを生じてしまったのか、というと、そこには遠因があり、起こるべくして起こったというのである(つまり避けることが十分できたとも言える)。いつしか戦闘機として世界と戦うレベルではないところまで落ちてしまった。

 それはゼロ戦の性能を高めていくうえで、開発にあたった技術者の意見に耳を貸さず、戦闘に破れた際のパイロットの意見を聞かず、人命を大事にせず、精神論でひたすら攻撃精神だけを鼓舞し続けたところにある。そんな海軍の組織運営こそ、ゼロ戦を敗北に導き、尊い命を犠牲にしてしまった真の原因であったのだ。

 戦時中だから、内部コミュニケーションの不良は言うまでもない。権力者になると、自分の判断に酔って、真実を見失うのは、今でも身の回りで見られることで、人間の性か。「性」と言う言い方で許しているのではない。腐っているとしか言いようがない。

 失敗に学ばない。学ぼうとさえしない。無理な進路を訂正しない・・・、まるで不適合を無視して、是正処置はおろか、予防処置すらとろうとしなかったので、原因が解決しなければ、不適合を繰り返すのは明白なこと。

 技術者、開発者にしてみれば、パイロットは顧客かもしれない。しかし、機体を軽くすることにこだわり続け、操縦席や燃料タンク周辺の防備をしない。あくまでも攻撃重視。人命を尊重しない顧客軽視は、日本の文化ではないかとさえ言う。うーん、今も身辺であるなぁ・・・。優秀なパイロットが次々に戦死して減る中、若い経験も浅いパイロットが、その欠陥を抱えたままのゼロ戦を操縦する。機体も不良なら、運転の力量も不十分と言わざるをえなかった。

 5.5.3、8.3、8.5.2、8.5.3、5.2、8.2.1、6.2.2、うーん挙げればきりのないほどの不適合があるではないか。こうもあちこちの不適合なると、やはり根本は5.1、経営者の責任しか、根本原因はありえなくなってくる。海軍の体質こそ、最大の欠陥だった。

 もう60年以上前の話ではあるが、構造は今もそっくりな会社があることに、不気味な思いがする 



Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「現場の声を聞く」ということ

2006-03-03 13:54:41 | ISO9001奥が深いか浅いのか
 今朝の朝日新聞にあった、私の視点『日航再建、経営陣は現場の声を聞け』、現職の国際線機長&組合副委員長の投稿記事。

 要旨は、運行トラブルの多さを改善すべく国交省に回答した内容が、その後も守られず、規制緩和による整備外注によるコスト削減がモチベーション低下に拍車をかけ、現場の声を聞く姿勢が全くみられない、といったもの。

 同日の社説『病んだ組織に明日はない』によると、「6月に就任する西松遥新社長は、再建策を発表する席で「組織間のパイプが詰まり、社員は内向き。率先して現場に足を運び、企業文化を変える」と語った」となっている。

 5.5.3の不適合のようにも見えるが、問われているのは5.6のマネジメントレビューからのアウトプット、5.2の顧客重視、7.2.1でコンプライアンスやなどだろうが、まとめていえば、経営者の責任である。

 社員の声を聞く、ということを、どう捉えているのだろう。聞く、そして言われたことを(無条件降伏のように)すべて受け入れて実施する、反論は許されない、そんなイメージなのだろうか。

 投稿記事は、それ以前に、国交省に経営サイドが回答した内容や、判決で確定したことでさえ遵守しようとしないから、見るにみかねてのことであり、おそらく水面下には数え切れない事例があるに違いない。

 時間の問題でトップが交代する。社員が求めたトップ交代の意味合いは、人が変わることであり、企業文化が変わることだ。もはや説明のできないところまできているのかもしれないが、社内にその必要性を適切に説明せず、相変わらず提言を無視した指示が継続している。トップが考える説明は、本音を抜いているか、核心を避けているから、最低限の満足すら与えていない説明でしかないのだと思う。そして、強権発動・・・。

 JALの職員でなくても、不安や心配がしばらく消えることがなさそうだ 

ISO9001の事例が満載

Comments (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ISO9001は事件発生に無力か

2006-01-30 11:31:57 | ISO9001奥が深いか浅いのか
 東横インの社長がマスコミを前に60km制限における「67~8km走行」の認識を示すところを見るにつけ、苦々しく思う。
 この東横イン、ISO9001を取得していた。 ISO9001を取得しているにもかかわらず、なぜ平気で不正改造が行われてしまったのか。ISO9001は、高い審査料を払っているにもかかわらず、審査段階で指摘がなされていなかったのか、未然防止ができなかったのか、そんな批判が身の回りある。

 ヒューザーも、三菱ふそうも、ISO9001を取得していた。いったい何なのか。

 ISO9001は、品質保証の規格じゃないよ、品質管理の規格だ、といわれるかもしれない。製品保証ではなく、工程管理だよ、そういうことなのかもしれない。しかし、これは一般の者にはよくわからないところだ。工程が適正であるかどうかを審査しているのではないか、それによって生産されるものもそれなりの品質が確保されたものではないのか、と思うからだ。

 審査機関は、いずれもJQAだ。JQAは何と応えるのだろう。JQAに審査を受けている企業の管理責任者は、社内でのそのような声の矢面に立たされていることはないだろうか。

 法令違反だから、7.2.1で問えるのかもしれない。しかし、何といっても、採算優先、利益優先で条例に背いてエントランスを計画的に改築し、身体障害者向けの部屋を改造し、駐車場を潰したのだから、それは5.2顧客重視の不適合であり、5.1経営者の責任の不適合に他ならないと思う。

 審査機関は、これから顧客重視の姿勢が随所に見られるか、社会と共存して、社会が納得のいく活動をしているのかどうか、そこを強く審査していって欲しいと思う。利益重視、売上げ優先だったら、きつく指摘をしていただきたい。

 ところで、気になるのは、東横インで行われているはずの、内部(品質)監査だ。法令違反といっても、すべての法的側面を審査機関がチェックできない。それなりの専門家による外部審査をクリアしているかどうかにゆだねるだろう。

 内部品質監査で、不正改造を知っていたのかどうか、チェックしていたのかどうか、むしろそこが問われるような気がするのだが、どうだろうか。東横インは23施設で不正が見つかっているといる。埋めてしまった駐車場を、ロビーにしてしまったエントランスを、いまさら条例に適合するよう、改善指摘を出せなかった・・・、出しにくいと思う。あまりにも大掛かりなものだから。また経営陣の判断をズバリ批判するものだから。

 経営者が意図的にコンプライアンスに違反したら、顧客を軽視して売上げ指向に走ったら、ISO9001はもはや抑止力の限界を超える。
 それだけに、トップマネジメントこそ、誰よりも顧客重視で取り組み、ISO9001を最大限に機能させてこそ、このようなトラブルを防止できるのだろう。使えば使うほど、事件防止につながるISO9001ということなのだろう。

内部監査脳を鍛える

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする