何かをすれば何かが変わる

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エレベータは縦の鉄道

2006-06-13 21:52:02 | ISO9001奥が深いか浅いのか
原因はブレーキ?安全装置? 特定へ資料分析 警視庁 (朝日新聞) - goo ニュース

 シンドラーエレベータは、事故によって一気に知名度が上がった。事故以来、エレベータに乗るたびに、どこの会社のエレベータか確認するクセがついたが、幸い?同社のものにはお目にかからない。また同社のものでなくても、エレベータで異常らしきものがあると聞くと、ドキッとする。やはり、安全あってのエレベータなのだろう。

 シンドラー社は今回の人身事故に対し、メンテナンスに問題があり、それは他社が行っていたので自社には関係ない、と言っているようであるが、もしこれが車だったら、ディーラーが車検をせず、民間工場が行っていたから、製造メーカーの問題ではない、と言っているようなもので、とても通用するとは思えない。プリンターなどの場合、純正トナーを使わないとトラブルが起きても保証しないと言っているが、それはトナーで売上げを伸ばそうとする魂胆によるものだろう。

 さて、シンドラー社。なんとISO9001を取得していた! 今回の事件で、事故の原因は確定していないものの、推測の範囲内で、いったいどこに不適合があるのか、考えてみたい。
 まず対応のまずさ。シンドラー社のエレベータを知らなかった者にまで、評判を落とした。誰を「顧客」と考えているのかどうか(エレベータの利用者だろうけど)、顧客とのコミュニケーションができていないのか(7.2.3)。
 機械上の設計不良があったとしたら、設計開発の不適合(7.3)。
 全国各地から同様のクレームや事故も報告されていたというから、それを知っていて対策がとられないのなら不適合の管理(8.3)。
 メンテナンス会社が、同社のエレベータのことをよく知らされていなくて、保守が適切にできないでいたのなら、教育研修の不備か(6.2.2)。
 社内で問題がわかっていたのに、いつまでも対策がとられていないようだと、内部のしかるべき部署に情報が届いていないのではないか(5.5.3)。
 売上げや利益優先で、金儲けに走っていたことが原因なら、経営者の不適合(5.1)。

 格安に売り込んで、日本での市場を拡大しようとしていたというから、売上げは強く意識していたことだろう。その一方、安全も同時に提供できる態勢だったのだろうか。契約がとれて、建物に設置すればそれで一件落着と思っていたことはないだろうか。

内部監査脳を鍛える


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1 Comments

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事故から浮かび上がる体質 (お疲れ)
2006-06-14 08:36:35
不具合情報は社外秘 エレベーター業界は密室体質(読売新聞 2006.6.14)

-----転載ここから

 東京都港区の高層住宅で都立高校2年の男子生徒(16)がエレベーターに挟まれて死亡した事故では、過去のトラブル情報が製造元のシンドラーエレベータ(江東区)から保守管理会社に引き継がれていなかったが、現状では情報引き継ぎを義務付ける法令などはないのが実態だ。



 またエレベーターメーカーが系列外の管理会社に情報を出し渋るという業界の「悪弊」も背景にはある。



 このため国土交通省は、エレベーターのトラブル情報の引き継ぎや情報開示など、新たなルール作りを進める方針を固めた。



 「メーカーは不具合情報を決して、系列以外の管理会社に漏らさない」。メーカーの系列には属さない、都内の独立系保守管理会社の社長はそう明かす。

-----転載ここまで



 とすれば、保守管理会社が適切なメンテナンスを行うことはできず、アウトソース先との互恵関係ができていなかった、ということだ。顧客からすれば、シンドラーも保守管理会社もエレベータの供給先なので、5.5.3の不適合のようである。

 都合の悪いことを隠していることは、顧客へのトラブル防止につながらないことで、顧客重視になっていなかった、5.2、いや5.1の不適合ではないだろうか。

 安全第一じゃないのでは? 安全第一であるべき会社が利益優先であるなんて 
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