新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

夏の夜の白い幻想、カラスウリ:烏瓜 

2005-09-15 06:25:16 | 植物観察1日1題
夜7時、日の沈むのを待ちかねて、昼間散歩のとき見つけておいた烏瓜の花を見に行きました。
カラスウリ:烏瓜(ウリ科)は、太い根のあるつる性の多年草で雌雄異株、三角状円心形の葉は白い短毛があり柔らかい手触りです。何といっても特徴的なのは、夕方に開く真っ白な花で、5~6cmの花筒の上の花冠は5裂し、裂片の縁はさらに長いレース状になって垂れ下がります。
日没7時ごろに開いた花は2時間ぐらいで満開になりいくらもしないうちに縮じみはじめ夜明け前にはすっかり凋んでしまいます。
受粉の仲立ちをするのがスズメガなど夜行性蛾なので、夜目にもくっきり目立つ白い大きな花をつけ、甘い香りも放つています。暗い夜にも目立つように精一杯、白く、大きく装ったカラスウリの花は、誰でも知っている秋の真っ赤な実と違って、時間的に一般の人の目に触れにくいのですが、短い夏の夜のひとときの幻想として、ぜひ一見をお勧めします。
(今夏3種類の烏瓜に出会いました。花としては今日の烏瓜が一番綺麗ですが、7月2日掲載のモミジカラスウリ、明日掲載予定のキカラスウリもご参照ください)

濃い葉色に目立つ花、ハグロソウ:葉黒草

2005-09-14 06:59:10 | 植物観察1日1題
ハグロソウ:羽黒草(キツネノマゴ科)は、山の木陰に生える多年草。関東地方以西、四国、九州、朝鮮南部、中国に分布します。
高さ20~50cmで、対生する葉は侠卵形または広披針形で、緑が濃く透かすと針状の結晶体が見えます。羽黒草の名は、もともと濃い緑の葉が乾くと黒くなることから来ています。花は、8~10月ころ、枝の頂や葉腋から出た花柄の先にある1~2cmくらいの卵形、緑色の苞片一対に包まれ、花冠は薄い紅紫色で、長さ3cmくらい、中央まで2唇形に2裂し下部に細い花筒を作ります。枝先に次々に1個ずつつく花は小さいですが、濃い緑の葉のなかで結構目立っています。

仙人には一歩譲る、ボタンヅル:牡丹蔓 

2005-09-13 06:58:21 | 植物観察1日1題
この時期センニンソウ(昨日記載)が咲いているはずと道端を捜し歩いていると、見つけた、と思った白い花を良く見ると少し違った感じがします。
写真に撮って帰り図鑑で調べると、よく似ているものの、同じキンポウゲ科センニンソウ属でもボタンヅルでした。
葉の形がセンニンソウは全葉なのに対し、ボタンヅルは1回3出複葉なので容易に区別できます。茎が木質化するのも異なる点だそうです。
径1.5~2cmの花は、センニンソウよりやや小さく、センニンソウのほうが4枚の萼片が長くくっきり見える分だけ、綺麗さにおいて、少しだけセンニンソウに遅れをとっているようです。こんなところがセンニンソウほど人に知られていない理由かもしれません。

触れると怖いセンニンソウ:仙人草

2005-09-12 06:26:53 | 植物観察1日1題
当たりの良い河畔の土手などで、沢山の真っ白な花をつけて目立っているのはセンニンソウ:仙人草(キンポウゲ科)です。
日本、朝鮮半島南部、中国南部に自生する蔓性多年草で、夏から初秋にかけて、茎頂または葉腋に集散花序をつけ、直径2~3cmの白色の花が多数つきます。白い花びらと見えるのは4枚の萼片で、花弁はありません。
果実(ソウ果)に宿存する細長い花柱にも長い白毛が密生し、羽毛状になるのが仙人の顎鬚に似るということから仙人草の名があります。
プロトアネモニン、サポニンなどを含む有毒植物で生汁が皮膚などにつくと数分で赤く腫れ水腫になるそうですから要注意です。そのためか、ドクカズラ、ハレグサ、タムシグサウシクワズなどと、綺麗な花に似ない恐ろしげな別名があります。

ブルーの色素はリサイクル、ツユクサ:露草 

2005-09-11 06:51:29 | 植物観察1日1題
ようやく冷気が感じられるようになった晩い夏の朝、少し湿ったような道端で鮮やかな碧青色の露草が散歩する人々を迎えてくれます。ツユクサ:露草(ツユクサ科)の花は早朝に咲いて昼過ぎに凋むはかない半日花です。
外から見る限り、ブルーの二つの花弁しかないように見えますが、ツユクサ科の花は3数性で、1枚は下側にあり、無色で小さく目立ちません。
変形は雄蕊にも及んでおり、6本のうち長く伸びた2本は正常の生殖能力を持つ花粉が詰まる嚢状の葯がついていますが、下側の黄色の4本は不完全で単なる“飾り雄蕊”となっています。またツユクサには、両性花と両性花そっくりで雌蕊のない雄花の二つがあり、両性花は訪花する虫によって受粉されますが、朝も10時ごろになると雄蕊と雌蕊が基部の方向に巻いて自家受粉します。正常な他家受粉失敗時の保険をかけている結構複雑な仕掛けの草です。
ツユクサの色素で染め上げた淡いブルーの色は、昔から標色(はなだいろ)といわれています。ツユクサ(または変種のオオボウシバナ)の色素は水溶性で、今でも友禅染の下絵描きに使われるそうです。
色素を使うことからの、ツキクサ、ウツシバナ、ウツシ、アヰバナ、アヲバナなどを含め、昔から人に親しまれた花だけに、そのほかの別名、地方名も大変多いそうです。
午後、花が凋むと、青い色素は吸収されて次の花の養分に再利用されます。資源リサイクルのパイオニアです。

初秋の栂池高原(7)コイチヨウラン:小一葉蘭 

2005-09-10 06:30:39 | 植物観察1日1題
木陰の落ち葉の中に小さい黄白色の花が見つかりました。卵形の根生葉を1枚だけつけるのでこの名がついたコイチヨウラン:小一葉蘭(ユリ科)です。
北海道と本州中部地方以北、四国の亜高山帯の針葉樹林内に生える高さ10~20cmの多年草です。1枚だけ根生する葉は、長さ1.5~3cm、幅1~2.5cmの広卵形です。
淡黄白色~淡黄緑色の花は、萼片、側花弁、唇弁とも5~6mmとごく小さいものです。
かなり珍しいものらしく、見つかったときはガイドさんも喜んでいました。
実際に府県によっては絶滅危惧品種に指定されているようです。
写真では名前の由来になった根生葉が落ち葉に隠れて見えていないのが残念です。
(これで初秋の八方尾根・栂池高原シリーズを終わります)

初秋の栂池高原(6)チョウジギク:丁子菊

2005-09-09 06:58:40 | 植物観察1日1題
チョウジギク:丁子菊(キク科)は、山地~亜高山帯の湿った草地に生える高さ20~70cmの多年草です。和名は、頭花が香料を取るフトモモ科の丁子の花に似ることから来ています。
茎の上部と頭花柄に白い縮毛が密生します。花期は8~10月、頭花は散房状に多数つき、頭花柄は長くて白くなっています。総苞は約1cmの筒形で総苞片は2列、黄色い小花はすべて両性の筒状花となっています。
写真は、花の数はひとつでしたが、栂池自然園の散策コースでただ1本だけ見かけたものです。白い毛が密生した長い花柄が印象的でした。

初秋の栂池高原(5)オオバタケシマラン:大葉竹縞欄

2005-09-09 06:55:26 | 植物観察1日1題
7月に淡緑色の小さい花をつけていた、オオバタケシマラン:大葉竹縞欄(ユリ科)が、早くも葉腋ごとに赤く色づいた実を吊り下げています。
北海道と本州中部地方以北の亜高山帯の林内に生える高さ0.5~1mの多年草で、葉の長さ3~10cm、幅1~1.5cmの卵形で、基部で茎を抱きます。
花柄の途中に関節がありここで捩れて下向きに花をつけていたのですが、吊り下がった赤い実も、そのまま柄の途中で90度に折れ曲がってついています。
写真は葉裏に吊り下がる果実です。
8月下旬の八方尾根は確実に秋でした。

初秋の栂池高原(4)コバイケイソウ:小梅草 

2005-09-07 06:59:10 | 植物観察1日1題
栄養の関係とかで毎年咲くわけでもないというコバイケイソウ:小梅草(ユリ科)が、今年は当たり年だったそうです。
これも北海道と本州中部地方以北の亜高山帯の林内に生える多年草で、茎の高さ0.5~1m、葉は、長さ8~15cm、葉幅2.5cmの広楕円形で、基部は鞘になっています。
6~7月、白い花を円錐状に多数つけ、頂枝に両性花、側枝に雄花がつき、頂枝で結実します。
群落をなして、一面に白い花をつけ、緑の葉とも良く調和するコバイケイソウは、地味な花色の仲間のバイケイソウより有名で、夏山の人気者です。
そのコバイケイソウも、いまは葉先も枯れ、赤茶けた花茎に黄色い果をつけて広がっています。花の盛りとは異なる一種荒涼とした秋の景色でした。

初秋の栂池高原(3)(ミヤマ?)トリカブト:(深山?)鳥兜 

2005-09-06 06:54:27 | 植物観察1日1題
山を歩いていて、この花の名を聞くと、あまり植物に関心の無い人でも一様に強い関心を持ち、冗談のひとつも出てきます。以前世間を騒がせた“ロス疑惑”や類似の事件が影響しているようです。
猛毒を持つので知られるトリカブト:鳥兜(キンポウゲ科)は、それでなくても濃紺で独特の形の花を持つことで、秋の野山では目立つ花です。
鳥兜の花でもっとも特徴的なのは、いかにも5個の花弁のように見えるのは実は萼片で、本当の花弁は萼片の中に隠れていて見えません。一番上の萼片は兜状の独特の形をしており名前の由来になっています。
基部に隠れている蘂の集団のところを押すと、頂萼片に隠れている2個の花弁が見えます(下の写真右端)。この花弁も独特の形をもち、密を分泌する器官になっています。
異種間での交雑がおきやすく、分類が複雑で、同定が難しい種のひとつです。
アルカロイドを含み猛毒を持つものが多く、根は勿論、茎や葉にも注意です。それでも減毒した根は烏頭(うず)または炮附子といって漢方に用いられます。毒にも薬にもの好例です。

初秋の栂池高原(2)オヤマリンドウ:御山竜胆 

2005-09-05 06:50:08 | 植物観察1日1題
雨の中、少し赤みを帯びた青紫色の竜胆が一様に蕾をつけているように見えました。
でもガイドさんの話では、これはオヤマリンドウ:御山竜胆(リンドウ科)といって日が当らないと花が開かず、仮に条件が良くて、花が開いても完全には開かず蕾のように見えるそうです。本州の中部地方以北の亜高山帯~高山帯の草地や低木林の林縁に生える多年草で草丈20~60cmです。
花の先端は5裂し、副片は短く、茎頂部の葉腋に1~7個つきます。この日は、開いた花こそ見ることが出来ませんでしたが、雨の中、それはそれでよきものかなと思ったりしました。

初秋の栂池高原(1)オニシオガマ:鬼塩竃

2005-09-04 06:25:43 | 植物観察1日1題
(8月23日、激しい雨の中、栂池自然園を歩きました。前日訪れた八方尾根とは、高度はほぼ同じでも、地形や地質の違いから植生の様は大きく変わっています。しばらくは初秋の栂池高原の草木の便りをお届けします。)
水辺にオニシオガマ:鬼塩竃(ゴマノハグサ科)が咲いています。
本州中部以北の日本海側に近い山地帯~亜高山帯のやや湿ったところに生える多年草で、
花は桃色で茎の先にまばらにつきます。花冠は長さ3.5~4cm、上唇は舟形でやや湾曲します。下唇は3裂し長片は円形です
全体に白い毛が多く、葉は羽状に全劣し、裂片はさらに羽状に深裂しふちに鋭い鋸歯があります。実はこの特徴ある葉が、和名の“塩竃”の由来となったそうで、葉まで美しい(ハマデウツクシイ→浜で美しい)というのですが、かなり苦しいこじつけのようです。
高山植物には、シオガマの仲間は多く、色や形もさまざまで、山歩きの人の目を楽しませてくれます。

初秋の八方尾根(7)クモマミミナグサ:雲間耳菜草 

2005-09-03 06:23:43 | 植物観察1日1題
八方池の近く流紋岩の砂礫地の此処かしこにクモマミミナグサ:雲間耳菜草(ナデシコ科)の白い小さい花が雨に打たれて震えていました。
枝の先に3~15個ほどつく花は、直径1.5cmぐらいでやや丸みをおび、花弁の先が深く2裂しているため10弁に見えます。
葉が動物の耳に似ていることから耳菜草の名があるとされています。
北アルプス北部の砂礫地にだけ生える特殊植物だそうで、花形からも、名前からも覚えやすい高山植物のひとつです。

初秋の八方尾根(6)ハクサンシャジン:白山沙参

2005-09-02 07:04:09 | 植物観察1日1題
雨に濡れて小さい釣鐘形の花から水滴が滴り落ちています。
ハクサンシャジン:白山沙参(キキョウ科)は、別名タカネツリガネニンジンと呼ばれ、山野に生えるツリガネニンジンの高山形です。名の“沙参”はツリガネニンジンの、またはその根の生薬名です。漢方の沙参は、去痰、解熱に薬効があります。
茎の高さ30~60cmで、釣鐘型の花を2~3段に数個ずつ輪生します。花は淡紫色が主ですが、濃い紫から、紅や白に近いものまで変化が多いのも特徴です。
風に揺れる紫の釣鐘型のハクサンシャジンも、秋の高原を代表する花のひとつといえるでしょう。