新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
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ブルーの色素はリサイクル、ツユクサ:露草 

2005-09-11 06:51:29 | 植物観察1日1題
ようやく冷気が感じられるようになった晩い夏の朝、少し湿ったような道端で鮮やかな碧青色の露草が散歩する人々を迎えてくれます。ツユクサ:露草(ツユクサ科)の花は早朝に咲いて昼過ぎに凋むはかない半日花です。
外から見る限り、ブルーの二つの花弁しかないように見えますが、ツユクサ科の花は3数性で、1枚は下側にあり、無色で小さく目立ちません。
変形は雄蕊にも及んでおり、6本のうち長く伸びた2本は正常の生殖能力を持つ花粉が詰まる嚢状の葯がついていますが、下側の黄色の4本は不完全で単なる“飾り雄蕊”となっています。またツユクサには、両性花と両性花そっくりで雌蕊のない雄花の二つがあり、両性花は訪花する虫によって受粉されますが、朝も10時ごろになると雄蕊と雌蕊が基部の方向に巻いて自家受粉します。正常な他家受粉失敗時の保険をかけている結構複雑な仕掛けの草です。
ツユクサの色素で染め上げた淡いブルーの色は、昔から標色(はなだいろ)といわれています。ツユクサ(または変種のオオボウシバナ)の色素は水溶性で、今でも友禅染の下絵描きに使われるそうです。
色素を使うことからの、ツキクサ、ウツシバナ、ウツシ、アヰバナ、アヲバナなどを含め、昔から人に親しまれた花だけに、そのほかの別名、地方名も大変多いそうです。
午後、花が凋むと、青い色素は吸収されて次の花の養分に再利用されます。資源リサイクルのパイオニアです。