水素エネルギーを日本の将来のエネルギー供給の主力にして行くには、多くの技術革新が必要である。
余剰電力を蓄える手段として、電力で水素を製造する設備は現状でも可能だが、さらに変換効率の優れた方策は研究開発されるだろう。
水素エネルギーを安全で安価に貯蔵する方法も、現状よりも改善されることで、
日本の技術が世界の先端を進むコトが期待される。
優れた技術が、水素エネルギー活用で実用化すれば、大きな輸出産業になる。
ところで、日本の水素エネルギー社会への技術開発は、どの様な段階にあるか、読者も含めて国民に大多数は、知らないのが現実であろう。
2月26日(木)朝日新聞(朝刊11面)に、次の様な記事が掲載されていた。
《風力で水素 必要なとき燃料電池で発電》
「風力発電の電力で水素をつくって貯蔵する。 そんな取組が長崎県の五島列島で動き出す。 大規模にためられない電気の代わりに水素として貯蔵し、必要な時にこの水素を使って燃料電池で発電する。 電力の地産地消につながる試みだ。」
「環境省が3月から五島市の椛島沖1㌔で運転中の洋上風力発電で実験を始める。 今は海底ケーブルで九州電力の送電網につないでいるが、離島で送電網の容量が小さく、発電能力の3割しか電気を流せない。 この余剰電力で島内の水を電気分解して水素をつくる。」
この記事は11面の左下の片隅に、小さいスペースで掲載されている。
新聞関係者の認識では、水素社会への技術挑戦は、現在の段階では、「ホンのオマケ」程度の挑戦でしかない、とのレベルであろう。
しかも、エネルギーの国家戦略を担う、「経済産業省」の事業ではなく、よそもの「環境省」の事業である。
日本政府の中枢の安倍政権は、この様な将来展望に沿った「技術挑戦課題」の意義や重要性について、理解がほとんどできない。
その理解不足は、「再生可能電力の接続保留問題」を引き起こし、欧米先進国に対する大幅な遅れを生みだしている。
日本の民間企業は、資金の内部留保も十分にあり、挑戦課題を浮き彫りにすれば、新技術への果敢な挑戦は、確実に成果を生みだす筈である。
しかし、この様な『民間企業の内部の蓄積された能力』を、存分に発揮させる『政策的意図』が欠落しているので、民間企業は大胆な研究投資が出来ない。(続)