穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

村上訳のチャンドラー「ロンググッドバイ」

2021-04-16 08:25:18 | チャンドラー

 自分でもちょっとしつこいというかトリヴィアルなんだが、前回の内容をもうすこし詳しくというが例示的に触れる。

1:いいな、と思う余計な追加

具体的にページをあげておく。村上はハヤカワ文庫のページ、LGBはVintage版のページである。

村上・・10p 「・・トイレのしつけはできているから、おおむね」

Vintage・・5p(He’s housebrokenーーmore or less)

原文にはトイレのしつけ云々はない。だが村上の補足訳は面白い。

2:あきらかな日本語の誤り

村上・・560p 「一路当地に向かっているはずだ。」

Vintage・・(He’s on his way to Nevada....)

当地というと自分のいる土地、つまりLAということだろう。Nevadaなら「むこう」「あちら」などというべきだろう。しかもこの繰り返しのフレーズは原文にはない。あきらかに日本語が間違っている。

次回は回収しない伏線を読む

*訂正 上記1は間違っていたようです。昨日本屋で清水訳のLGBの回答箇所を立ち読みしたら、村上と同じように「トイレのしつけ云々」と訳してあるので、おやまちがえたのかなと調べました。housebrokenと言うのは「赤ん坊やペットが排便などのしつけがなされている」という意味がアメリカ英語ではあるらしい。

英語(イギリス英語)ではhousetrainedと言うらしい。この言葉なら私も間違えなかったのでしょうが。チャンドラーはイギリスで教育を受けたがアメリカ口語で小説を書いたそうですからこの言葉を使ったのでしょう。

どうしてhousetrainedがhousebrokenになったのか。経緯はどうなんでしょうね。どうもスラング臭いけどどうなのかな。

もっともbreakには動物を慣らすという意味がある。私の辞書では第十二番目の語釈にある。以上言い訳おわり。

 


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