min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

ブライアン・フリーマン著『インモラル』 

2014-10-23 09:40:55 | 「ハ行」の作家
ブライアン・フリーマン著『インモラル』 ハヤカワ文庫 2007.3.10第1刷 

おススメ度:★★★★☆

米国ミネソタ州の小さな町ダルース。この町の男であれば誰もが振り向くほどの美貌を持った女子高生レイチェルがいた。その彼女がある日忽然と姿を消した。
この一年ほど前に同じ高校の女子生徒ケリーがいなくなり、未だに消息が絶たれていることを踏まえ、警察も住民も連続殺人事件か!と騒然となった。
レイチェルの失踪事件を担当したのがダルース警察の刑事ジョナサン・ストライドと相棒のマギーであった。ストライドはケリーの失踪事件の担当者でもあった。
事件を捜査する過程で、レイチェルの家庭環境に重大な問題がある事がわかってくる。それは義父ストーナーとレイチェルの間に性的関係があったのではないか?という疑念。
その他の状況証拠を含めストーナーの自宅の家宅捜査を行った際、助手のマギーがストーナーのPCから一枚の画像を探り当てた。作中の表現を引用すると、

『雨が降っていて、彼女のあらわな肌を包み、銀色の細い流れになって彼女の身体を流れていく。その写真は、乳房についた水滴と、彼女の湿った股に走り地面に落ちていく細い水の流れを捉えていた。レイチェルは両膝を立てている。片手を両脚のあいだにはさみ、指二本が・・・・(中略)口は快感で半開きになっているが、輝くエメラルドグリーンの目は大きく開いて、カメラをしっかりと見ている』

マギーの後ろからPCを覗き込んだ男性捜査員が思わず叫んだ『ああ、この娘が死んでなきゃいいのに。この娘とやるためなら何でもくれてやる』と。
義理の父親とはいえ、自分の娘のこんな画像を何故隠し持っているのか!?心証としては義父ストーナーが殺ったものと思われた。
警察と検察はレイチェルの遺体が見つからない現状でも被疑者を有罪に持っていけると踏み、裁判に臨んだのであったが、ここで弁護側の老獪なゲール弁護士によってあわや全てが覆される場面に追い込まれる。この辺りの検察と弁護側の丁々発止のやり取りが見ものだ。
物語は陰鬱な冬のミネソタから一転し灼熱のラスベガスに舞台を移す。そして誰れしもが想像出来なかった展開となるのだが、一体あの嵐の夜、レイチェルの身に何が起こったのか?謎は最後の最後まで尾を引くのであった。
そして最終的に用意されたビッグサプライズ。あのドンデン返しの名手?ジェフリー・ディーヴァーをも驚かす結末が用意されているのだ。

無名な新人作家のデビュー作品としては異例の出来具合で、「本書には、サスペンス/スリラーを好む読者の誰しもが求める要素が備わっている」と作者が自負しているが、その通りである。
が、しかし、主人公ストライドの性的行動場面に一言。あまりにもお脳と下半身が短絡的に結合してないか!?
ま、極めてアメリカ人的と言えば言えるのだが、と苦笑せざるを得ない。僕は嫌いじゃないけどもね・・・・・


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