百田尚樹著『海賊とよばれた男 下』講談社 2012.7.11 第一刷 1600円+tax
オススメ度 ★★★★★
下巻のハイライトは何と言っても自前のタンカー日章丸によるイランからの原油買い付け強行であろう。
戦後、GHQの配給統制に耐え、石油の輸入自由化を切に望んだ鐡造の前に立ちはだかったのは石油メジャーのセブンシスターズであった。
彼らは日本の石油業界のほとんどを傘下に収め(株式の半数以上を入手し外資系子会社化を図った)唯一の独立系民族資本会社である国岡商店の外油輸入を阻んだのだ。
そこで鐡造は彼らの全世界規模のネットワークから外れたイランの原油入手を狙ったのであった。しかし英国は英国のアングロ・イラニアンがイラン政府によって同社の所有した石油施設を国有化されたことに抗議し、イラン産原油の所有権を主張し国際裁判にかけていた。
この間イランの原油をタンカーで運び出そうとしたイタリアのタンカーは英国海軍によって拿捕され積み荷の原油は没収されるという事件が起きていた。
国岡商店のタンカーがイランの原油を持ち出そうとすればイタリアと同じ目にあうことが予想された。
しかし鐡造は自社のタンカーをペルシャ湾に向けたのだ。この間の鐡造の戦略と読みは見事と言えた。セブンシスターズの妨害をはねのけ、英国海軍を向こうに回し見事に裏をかいた鐡造の快挙は日本国民の喝采を浴び世界を驚愕させた。
こんサムライがまだ日本にいたとは!と世界の耳目を一身に集めた鐡造であったが、彼は自社の為のみに行ったのではなく日本の将来の為を思って成し遂げた。このことは特筆すべき事である。
20代の学生の時、秋田で出合った石油に魅せられ、以来70年間を石油に捧げた国岡鐡造という稀有な巨人の英雄的人生を綴った本書は、今混迷の中にある現代日本人の多くの方々に読んで欲しい作品である。本書は百田氏の『永遠の0』と並んで彼の金字塔作品となったことを確信する。
オススメ度 ★★★★★
下巻のハイライトは何と言っても自前のタンカー日章丸によるイランからの原油買い付け強行であろう。
戦後、GHQの配給統制に耐え、石油の輸入自由化を切に望んだ鐡造の前に立ちはだかったのは石油メジャーのセブンシスターズであった。
彼らは日本の石油業界のほとんどを傘下に収め(株式の半数以上を入手し外資系子会社化を図った)唯一の独立系民族資本会社である国岡商店の外油輸入を阻んだのだ。
そこで鐡造は彼らの全世界規模のネットワークから外れたイランの原油入手を狙ったのであった。しかし英国は英国のアングロ・イラニアンがイラン政府によって同社の所有した石油施設を国有化されたことに抗議し、イラン産原油の所有権を主張し国際裁判にかけていた。
この間イランの原油をタンカーで運び出そうとしたイタリアのタンカーは英国海軍によって拿捕され積み荷の原油は没収されるという事件が起きていた。
国岡商店のタンカーがイランの原油を持ち出そうとすればイタリアと同じ目にあうことが予想された。
しかし鐡造は自社のタンカーをペルシャ湾に向けたのだ。この間の鐡造の戦略と読みは見事と言えた。セブンシスターズの妨害をはねのけ、英国海軍を向こうに回し見事に裏をかいた鐡造の快挙は日本国民の喝采を浴び世界を驚愕させた。
こんサムライがまだ日本にいたとは!と世界の耳目を一身に集めた鐡造であったが、彼は自社の為のみに行ったのではなく日本の将来の為を思って成し遂げた。このことは特筆すべき事である。
20代の学生の時、秋田で出合った石油に魅せられ、以来70年間を石油に捧げた国岡鐡造という稀有な巨人の英雄的人生を綴った本書は、今混迷の中にある現代日本人の多くの方々に読んで欲しい作品である。本書は百田氏の『永遠の0』と並んで彼の金字塔作品となったことを確信する。
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