min-minの読書メモ

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米映画『アメリカン・スナイパー』

2015-02-25 08:43:50 | 映画・DVD
米国映画『アメリカン・スナイパー』

オススメ度:★★★★★


原作:クリス・カイル著『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』

監督:クリント・イーストウッド

キャスト:ブラッドリー・クーパー(クリス・カイル役)

     シエナ・ミラー(タヤ・カイル役)


イラク戦争に4度派遣された米軍シールズの狙撃手を描いた戦争映画。
2時間12分の間ほとんど緊張しっぱなしで観終わった後は本当に疲れた。
とてつもない、半端ない臨場感なのだ。この映画を観て、あのイラクの戦場に行きたいと思う奴はひとりもいないだろう。
主人公はテキサス生れのカウボーイ。9.11の同時多発テロに触発され、国を守る、という単純素朴な想いで軍に志願。志願する以上最強の軍隊と言われる海軍特殊部隊のシールズに入隊し、過酷な訓練を受けイラクへ派遣された。


狙撃手は昔から味方には救世主となるが、敵にとっては悪魔のような存在だ。したがって万一敵に捕まったら最後、間違いなく嬲り殺しにされる。
イラクの戦場は想像を絶する過酷さである。第一回派遣を終えて帰国したクリスは心を戦場に
残したまま戦場と平和な生活のギャップに悩む。
妻の制止にもかかわらず再び戦場へ向かうクリスであった。こうして4度に渡りイラクに赴き1,000日近く戦闘に加わった。
その後クリスは重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)に罹り復帰するまでに多大の時間と努力が必要であった。
何とか悪夢から脱したクリスを待っていた運命はあまりにも悲惨であった。

クリント・イーストウッド監督は戦争に関して明確に述べている、「戦争を美しく語る者を信じるな」と。
この戦争はけっして美しくなんか描かれていない。同監督の戦争への思いは最後の全く無音のエンド・ロールに現れている。このようなエンディングはかって見たことがない。

この映画を観てかのS.ハンター著「狩りのとき」のボブ・リー・スワガーを思い起こした。彼はベトナム戦争時、北ベトナム一個大隊を相手にしその進撃を阻止したスナイパー。彼はより多くの敵兵を倒したが、女、子供を対象にする必要がなかった分、今回の主人公クリス・カイルよりもメンタル的に楽であったかも知れない。だが、そんな彼も帰国後他人に会うのを避け深い山の中に籠るのであった。

9.11以降、アフガン、イラクに侵攻した米軍は今までに4,500人の戦死者と30,000人近い負傷者を出したと言われる。そして帰還兵から日々20名近い自殺者を出し続けているという。
かって米軍の要請で非戦闘地域ながら駐屯した我が自衛隊であるが、述べ4,000名の隊員の中から40名の自殺者が出たと言う。自衛隊はけっして彼ら米軍と共に地獄の戦場にいくべきではない。
彼らが起こした近代戦争に大義など何一つないのだから。

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