min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

矢作俊彦著『引(エンジン)』

2011-11-22 00:22:45 | 「ヤ行」の作家
矢作俊彦著『引(エンジン)』新潮社 2011.5.30 第1刷 1,600円+tax
おススメ度:★★★★☆

発行元の新潮社による本作品の紹介記事によるとこんな具合になる↓

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それは最悪最凶のファム・ファタール!

高級外車窃盗団を追う築地署の刑事・游二(りゅうじ)の前に、その女は立ちふさがった。ティファニーのショウウインドーに.30カービン弾をぶちこみ、消えた女。魔に取り憑かれたかのように、彼は女を追い始める。宝石店襲撃、刑事殺し、高級車炎上、ビル爆破……息もつかせぬ緊迫の展開。著者渾身の傑作! 銃弾で描いた狂恋。

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「銃弾で描いた狂恋」?っていうのがウケた。なるほど主人公のりゅうじとその女との関係は狂恋なのかも知れない。
なんたって二人は警視庁刑事と正体不明の東洋系外国人凶手(暗殺者)という間柄ながら互いに惹かれあう。
そんな彼らのセックスは異様に描かれる。特にオンナがオトコを犯す?場面は壮絶に刺激的だ。

ストーリーを的確にまとめて書くというのは本作の場合なかなか難しい。書く矢先からネタバレになってしまう恐れがあるような気がするのだ。
本編に登場する女暗殺者のイメージとしては映画『ニキータ』に出てくる女暗殺者の100倍くらい凶暴で、殺しに関しては全く躊躇することなく実行する。
それでいて極めてしなやかな肢体と美貌を持つ蠱惑的暗殺者である。彼女の雇い主は最後まで明らかにされないし、彼女の任務の真の目的も謎のままだ。
全編を通し、ミステリ・サスペンス調であり、テイストは完全にハード・ボイルドだ。凝った文章は時々読み返さないと意味が伝わらない表現が出てくる。

作者矢作俊彦氏については今更紹介するまでもないが、個人的にはあまり著作を読んでいない。数年前の『傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを』と『ららら科学の子』くらいしか記憶がない。小説よりもむしろコミックの『気分はもう戦争』の原作者のイメージのほうが強いかも知れない。
この僕と同年代(実際一つ違いか)の作者の、一体どこにこのようなアナーキィなパワーが潜んでいるのか不思議な作家である。
この作家が描く破壊と殺戮が充満するアナーキィな世界が僕にはカタルシスを与えてくれる。



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