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min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

白川 道著『海は涸いていた』

2009-04-13 06:56:39 | 「サ行」の作家
白川 道著『海は涸いていた』 新潮社 1996.1.20第1刷1,700円+tax

オススメ度★★☆☆☆

う~~ん、かなり出遅れて読んだ作品か。発行当時(もう、13年も前か!)に読んでいればそれなりの評価をしたかも知れないのだが、今読むと、プロットの構成、人物造形の仕方、どれを取っても旧態依然とした印象を持ってしまい、更に悪いことに別にネタバレされていたわけじゃないけども容易に結末が分かってしまうという、何とも間が悪い読書となってしまった。
いわゆる“ハードボイルド的ハードボイルド”を目指した作品であるのが痛いほど伝わってくるのであるが、もうこの手の作品には食傷してしまい、残念ではあるが他の人にお勧めできる心境にはならない。
改めて読む時機を逸してしまった自分が悪いことを最後に記しておく。

伊藤 貫著『中国の「核」が世界を制す』

2009-03-16 17:29:31 | 「サ行」の作家
伊藤 貫著『中国の「核」が世界を制す』 PHP研究所 2006.3.8第1刷
1,400円+tax

オススメ度★★★★★

本書は先に読んだ北野幸伯著『隷属国家日本の岐路』<今度は中国の天領になるのか?>を更に中味を詰めた内容となっている。
我が国の親中派、嫌中派双方に是非とも読んでいただきたい一冊である。

著者伊藤貫氏は東大卒業後、米国コーネル大学にて米国政治史、国際関係論を学ばれ20年以上に渡ってワシントンに在住し米国の政治をウオッチしてこられたアナリストである。
彼の立場は日本の皆さんが好んでカテゴリー分けしたがる右でも左でもなく、稀代な“リアリスト”と言えるのではなかろうか。
本書は
第一章 日本の対中外交の座標軸
第二章 世界一の覇権国を目指す中国
第三章 中国の軍事戦略と日本の防衛
から成り立っているが、冒頭の第一章の第一節にて
外交政策の二つのパラダイム
・ 「理想主義的」なウィルソニアン・パラダイム
・ 「現実主義的」なリアリスト・パラダイム
について記述されている。
この二つのパラダイムを読み解くことが本書の原点となっており、この点を理解することで近代世界史における日本の立ち位置が明確になる。
先に読んだ小説『ウェルカム・トゥ・パールハーバー』世界の真の意味が鮮明に見えてくる。

恐らく戦後(第二次世界大戦)育ってきた我々の大半には過酷な内容と受け止められるであろう、と思われる論説である。だが、著者が突きつけた事実こそが真実であろう。
2025年前後には中国が経済的にも軍事的にもアメリカを凌駕する時代となり、そのときには我が国は「中華帝国の属領」となっていよう。
パワー・オブ・バランスを理解できない日本の国家及び国民の生き残る術は無い。

こんなことを書くと瞬時に反発を食らうと思うが、では「大国中国」に対してはおろか、かの北の国家とも言えない三流チンピラ国家にすら、日本の婦女子が拉致されても何の解決策も持たない我が国の外交というものが果たして「外交」と言えるのであろうか?この一点を捉えて考えてみれば、容易に我が国の行く末が見えてくるはず。一読をせつに願う。


佐々木譲著『ワシントン封印工作』

2009-01-03 22:47:08 | 「サ行」の作家
佐々木譲著『ワシントン封印工作』講談社 1997.12.25 1.900+tax

オススメ度★★★☆☆

同作家の第二次大戦三部作『ベルリン飛行指令』『エトロフ発緊急電』『ストックホルムの密使』の他に本作があることはずっと認識はしていたが読み残していた作品。
中古品を105円で見つけたので読んでみた。ただ単に安かったからという理由ではなく、先月67年前の真珠湾攻撃に改めて興味を抱いたからである。

1941年の米国首都ワシントンDC。日本大使館の野村大使はハル国務長官との戦争開始直前の息詰まる交渉を事態の変遷と共に続けていた。
物語の展開はこの交渉事の推移を語りながらも両陣営代表配下の男女の物語を中心に進行してゆく。ひとりはハル国務長官の部下ホルブルックという官僚と彼に見出され、日本大使館にタイピストとして送りこまれた美しき日米ハーフのミミ。
もうひとりは日本大使館に臨時雇いで入った滞米5年になる精神科医の卵、留学生の幹夫。
ホルブルックは色仕掛けでミミにスパイ活動をさせるのであるが、恋の鞘当として幹夫の存在がだんだん浮上する。

今では既に大方知れ渡っている事実であるが、小説上でもこの時期米国は日本の暗号文をほぼ解読しており、したがって日本の奇襲攻撃は事前に察知していたことが綴られる。
「最初の一発は日本に撃たせろ」というルーズベルト大統領の思惑についても語られている。もちろん12月7日から8日にかけての現地日本大使館員たちの不手際についても。
そのほか英国首相チャーチルの思惑、この時期のソ連の思惑をも織り交ぜながら当時の世界列強がいかにしたたかに自国の利益を追求していたかにも触れている。
こうした世界情勢を冷徹に回顧すると日本がいかに情報戦に稚拙であったことかが浮かび上がってくる。
特に米国の諜報網は抜きん出ており、もはや日本は戦う前に既に敗れていたと言わざるを得ない。
戦後マッカーサーが日本を12才の子供に例えてその精神性の未発達を冷笑したが、残念ながら米国にとって日本という国はその程度にあしらえる対象であった。
そして現在はどうであろうか?という思いをめぐらせる時、暗澹たる気持ちになるのは僕だけではあるまい。

本編の最大の見所は最後にミミがとった行動であろう。これは半分米国人の血が流れていなければ決して在り得ないものと思われる。時間の余裕がある方にはおすすめできる作品。

佐々木譲著『警官の血(上・下)』

2008-12-02 10:03:46 | 「サ行」の作家
佐々木譲著『警官の血(上・下)』 2007.9.25 各1,600円+tax

オススメ度★★★★☆

太平洋戦争から帰還した安城清二は昭和23年に一般公募を見て警察官となった。その息子安城民雄、そして民雄の息子和也もまた警察官となった。
親子三代に渡る警察官一家の目を通した戦後昭和史ともいえる大河小説となっている。

二つのお宮入りとなった殺人事件を気にかけながら最後は事故死とも自殺ともとれる死に方をした一代目の清二。その背中を見ながら育った民雄は迷わず父の職業を選択した。
民雄もまた駐在警官を目指したのだが公安警察にみこまれ北海道大学に進学させられそこで70年安保を目前にした学生運動の潜入スパイとなった。
極度の神経を使うスパイ活動の結果激しいPTSDに陥り、念願の父と同じ天王寺駐在所に勤務したのだが所轄管内で発生したしゃぶ中のヤクザに撃ち殺された。
民雄の子和也も結局警官の道を選んだ。大卒の警官としてやはり駐在を選ぶか迷ったが刑事の道を選んだ。時は既に平成となっていた。
和也は祖父がそして父もまた道半ばで解決できなかった二つの迷宮入り事件を解明しようとしたのだ。

優れた警官とは?男として父として警官であり続ける理由は?
作家佐々木譲は真っ向からこのテーマをかかげ骨太の物語を形成した。彼の警察小説と呼ばれる作品群の中では最高傑作ではなかろうか。
これほどの内容を持った作品を上下巻でまとめる、というにはちょっと無理があったかも知れない。途中描写の書き込みが足りないな、と感じる場面がいくつかあり、もう一巻追加しても良かったのではないかと思う。


真保裕一著『発火点』

2008-09-22 08:38:57 | 「サ行」の作家
真保裕一著『発火点』講談社文庫 2005.9.15一刷 819円+tax

オススメ度★★★☆☆

父親が殺された場合、単に病死した場合とは違い、かくも残された子供は卑屈になってしまうのだろうか。
僕も7歳の時親父が病死し、その後同級生の母親から「お父さんは何をしておられる方?」と聞かれ「死んでしまいました」と応えた時の相手のうろたえる姿が今になっても憶えている。幼心にもかえって相手が気の毒に思ったくらいだ。だが、殺されたとなると反応はやはり劇的に違ったのであろうか。

本編の主人公はこの時12歳であった。彼にはもうひとつ事情があった。それは父親の殺害に自分も関与したのではなかったのか、という思いがあった。
父親を殺害したのは父の小学校か中学校時代の同級生であったのだが、ある夏の日その同級生が自殺に失敗し彼を自分の家においてあげたらと母親と共に提案したからだ。

12歳の少年敦也は今21歳となり、どうして父の友人が犯行に及んだのであるか、その真相を確かめずにおかれなくなった。
結局、事の真相を突き止めない限り今までの自分のあまりにも卑屈な人生を修正できないと感じたからだ。それほど父亡き後の9年間は悲惨な状況にあった。

本編は主人公敦也の、失われた9年間を取り戻すための真相究明のミステリーなのであるが、著者があとがきで書いている通り、
【作者の愛着と評価は別物だ。作者が過剰な思い入れを込めてしまうと、作品が窮屈になってくる面がある】
まさにその状態になってしまった感がある。

ところで最後の最後に再会した子連れの相手は一体どっちだったのであろう?
未だに釈然としないのは私ひとりであろうか。




サハラ

2008-05-19 07:57:28 | 「サ行」の作家
笹本稜平著『サハラ』徳間書店 2008.4.30初版 1600円+tax

オススメ度★★★☆☆

主人公である檜垣耀二は気がついた時には周りが一面の土漠で、墜落したヘリの残骸があり傍らにはAK47突撃銃があった。檜垣、いやこの男は自分の名前はおろか今、何故にこのような場所にいるのか皆目分からなかった。この男は全ての記憶を失って倒れていたのだ。
墜落したヘリにあったアタッシュケースにはほとんど黒コゲになったアラビア語で書かれた論文と、かろうじて名前が判読できる「檜垣耀二」名義のパスポートが入っていた。
やがて捜索の別のヘリが飛来し、それを撃ち落すベトウィン姿の男たち。彼らはポリサリオ戦線の戦士たちであった。
記憶がないまま聞くところによると、檜垣はポリサリオ戦線の招きで軍事顧問として赴任する途中、行方をくらましたらしい。
アラビア語の論文は判読できる部分から推して、西サハラにあると思われる新たな石油油田に関するものらしい。
これを檜垣はポリサリオ戦線に持ち込もうとしていたのか。ここから檜垣はポリサリオ戦線の軍事部門総司令官マンスールの全面的な助けを借り、自らの記憶を取り戻し本来の自分の任務が何であったのか必死に探ろうとする。
かっての傭兵仲間であるフランス人ピガールやパリ在住の日本人武器商人、戸崎と会うことによって、記憶を失う以前の檜垣がどのような男であったのかを知り、最近何かのミッションを密かに行う予定があったようだ。
更に調べるに従い、西サハラに眠る新たな油田をめぐって米国、CIA、ロシア、モロッコ、そして日本が絡む壮大な謀略が浮かび上がってくる。
檜垣が最も悩んだのはジュネーブかどこかにPTSDに苦しむ妻を残したままこのミッションに入ってしまった、ということが判明したことだ。
果たして檜垣は記憶を取り戻し、妻の行方を探し出すことが出来るのか?油田をめぐる陰謀とは一体何かを解明できるのであろうか?

どうも部分的な記憶喪失というのが気に食わない。今回は自白剤の投与によって引き起こされたらしいという設定であるが、どうもこの設定自体がご都合主義的に思えてならない。
本編では檜垣は自らが何者であるかを探す旅に出るのであるが、この過程で読者にも彼、檜垣ばかりではなく登場する人物たちを間接的に知らしめる手段として「記憶喪失」が利用されている。
実際、主人公を含めた登場人物及び物語の進行を理解する為には、以前に上梓された「フォックス・ストーン」や「マングースの尻尾」を読まなければ何も分からない。
記憶が戻るまでの半ば“説明”部分にページをとられ、肝心の陰謀の真相、顛末にさくべきページ数が圧縮されてしまい、妙にバランスがとれない構成となってしまったのは残念だ。
だが、陰謀の中味を知った時、よくもまぁこのような発想が出来るものだ!と感心させられるほど著者の国際感覚は研ぎ澄まされたものがある。
久方ぶりの著者の「国際謀略巨編」を楽しんでいただきたいものだ。


駿女

2008-05-16 08:04:49 | 「サ行」の作家
佐々木譲著『駿女』中央公論新社 2005.11.25初版 1900円+tax

オススメ度★★★☆☆

いわゆる“義経伝説”の変形ともいえるストーリーである。
平泉にて、藤原泰衡の裏切りによって討たれた源義経に実は隠し子がいた。義経がまだ平泉に着いて間もない頃、下女と情を通じ、懐妊させたもの。
周囲の配慮もあり、成人するまで藤原氏の家臣のひとり相馬元次郎に命じ、下女ともども糠部というヤマト族と蝦夷の混住する地へ移り住まわせた。
下女は男の子を出産し、名を八郎丸といった。彼は詳細を知らされることなく、元服が近いある日、父とその弟の娘を連れだって平泉に向かった。育ての親である相馬元次郎は初めて義経にその隠し息子である八郎丸を会わせようという計画であった。
ところが会う前日に義経は討たれたのであった。

藤原泰衡は義経並びに実の弟の首を源頼朝に差し出すことによって、恭順の意を呈し、奥州の温存を図ったのであったが、源頼朝はあくまで奥州の併合を画し、関東さらに西国から十数万の討伐軍を差し向ける。
一方、藤原泰衡は義経の隠し子の探索を配下に命じたのであった。

果たして、義経の子八郎丸は迫りくる源頼朝軍そして藤原泰衡の追求の手を逃れ、自らの数奇な運命を切り開けるのであろうか?
本編は相馬元次郎の弟の娘、由衣の視点から描いており、あくまでも従兄妹である八郎丸に付き従い男勝り(馬の調教、乗馬術に秀で、弓の名手)の活躍をする。
歴史は変えようがないのは自明の理であることから、義経の子が鎌倉に攻め上り天下を取ることはかなわないものの、最後の最後に由衣が放つ奇策は読者に大いなるカタルシスを与えてくれる。

恋する組長

2008-04-05 09:03:21 | 「サ行」の作家
笹本稜平著『恋する組長』光文社刊 2007.5.25

オススメ度 ★★★☆☆

東京近郊のS市で探偵事務所を開いている主人公の俺。女子事務員ひとりだけの典型的な日本の探偵事務所なのだが、顧客に特徴がある。
事務所の売り上げの大半を占めるのが、S市を牛耳る3つのヤクザ組織からの依頼物件であり、中でも山藤組が最大の顧客である。
若頭の近眼のマサを通して持ち込まれる山藤組組長の橋爪からの依頼内容は、大抵が奇妙で無茶苦茶なものが多いのだが、断ればS市の港の魚のエサになりかねない。

山藤組の他の2つのヤクザ組織ともちゃっかり仕事をもらう探偵であるが、ここに強烈なゴリラという渾名の地元刑事が探偵を悩ます。ゴリラはがっちりこれら地元ヤクザと通じているからだ。何かと探偵にからんでくるのだ。
探偵事務所の女子事務員もまた強烈なキャラを持っており、これらの登場人物が織りなすドタバタ喜劇とも受け取れる物語が進行する。

さて、本編はいくつかの物語を持った短編なのであるが、著者笹本稜平氏は元々骨太な長編冒険小説を上梓していた作家である。
代表作には『グリズリー』『太平洋の薔薇』『極点飛行』などがあり、国際的なスケールを持った僕のお気に入りの作家である。
その後『マングースの尻尾』などで短編を披露したのは記憶に新しい。
だが、探偵物でかつこのようなタイトルがつくと、僕なんかは穿った見方をするので「ああ、ネタ切れでこんな路線に走ろう、ってぇ魂胆か」と引いてしまう。
この作品の存在は知るものの、なかなか手を出さなかったのであるがたまたま図書館にあったので読んでみたわけだ。
結論としては、「さすが、笹本さんだ!」と認めざるを得ない?出来映えだ。
肩肘張らず、小説を純粋に楽しむにはとても満足できる作品ではないだろうか。

蛇足:この作家も最近「警察物」に走っているようだが、みなさん、あまりにも傾向が同じ、というのはなんか嫌だなぁ・・・

中原の虹

2008-03-10 17:44:21 | 「サ行」の作家
浅田次郎著『中原の虹 第1巻~第4巻』講談社 各1,680+tax

オススメ度★★★★☆

ご存知の通り同作家の『蒼穹の昴』の続編である。これを読まずに本編に入ることはほぼ無謀?であろう。また感想を全巻まとめてしようというのも無謀であるのかも知れない。

のっけから満州のシャーマンの老婆が登場し、その婆さんを背負って逃げる青年が張作霖とは!そしてこの占いの婆さんって前に出てきた婆さんだ!いきなり読者を驚かすのは浅田氏の真骨頂か。
この張作霖と、更に春児の2番目の兄・春雷(張作霖が一千元で買った)を軸に物語りが進行するのか?と思いきや、この清朝末期の動乱期に登場する主なる歴史上の人物が続々と登場する。
加えて清朝を築いた女真族の始祖たちの物語が時空を超えて織り混ざり、読む方もなかなかと忙しい。
物語は一応歴史的事実に沿って進行するのだが、読み手側もこの辺りの歴史的背景をある程度把握しておかないと歴史と著者のフィクションが激しくからまり、著者に翻弄される結果となりかねない。
ストーリーの展開を逐一ご紹介するつもりはないのだが、一番印象的なのは登場する歴史上の人物の中で「張作霖」と「西太后」の人物造形が今まで世間一般で伝えられるそれと全く異なる描かれ方がしていること、だろう。
張作霖ってこんなにイカした馬賊だったのかしらん?西太后ってこんなに素敵なおばあちゃんだったの?
どこをどのように調べるとこのようなキャラクターを作ることが出来るのか?凡庸な私の頭では全く理解出来ないのであって、まさに浅田次郎マジックを見る思いがする。
第4巻で離ればなれになった春児、春雷、りん、それぞれの再会のクライマックスが感動を呼ぶのであるが、全体としては袁世凱やその他の人物描写にあまりにも時間を割き過ぎて肝心の張作霖とその一党が中原になだれ込む様(越過長城)が描かれなかったのは残念でならない。
時代背景をもう少し先まで広げてほしかった、ということ。せめて張作霖が国民党軍に敗れ奉天近くで爆殺されるあたりまで描いてほしかった。
再度強調したいが、この作品を読むためには清朝や満州に関わるそれなりの歴史の知識が必要と思われる。特に作品中で重要な事件となる「戊戌の政変」は調べておいたほうが良いかも。

笑う警官

2007-07-26 06:34:46 | 「サ行」の作家
佐々木譲著『笑う警官』ハルキ文庫 2007.5.18  686円+tax

★★★☆☆

H16年12月に刊行された「うたう警官」の文庫化。
かって、東京での“囮捜査”に北海道警からその任務に選抜された佐伯と津久井。その津久井が同僚の婦人警官殺害の嫌疑をかけられ、見付け次第「射殺しても良い」という事実上の「部内射殺命令」が出たのだ。
かっての“囮捜査”で命をかけて任務についた佐伯は津久井の無実を信じて疑わなかった。
事案は所轄の大通署から道警本部に移され、手出しを禁じられた佐伯は密かに同志を集い、極秘の捜査を始めた。
本部は何故かくも早急に津久井に対し射殺命令を出したのか?その背後には道警の一連の不祥事がからんでいることは間違いない。
与えられた時間は24時間。刻々とせまるタイムリミットを前に津久井の無実を信じる佐伯とその仲間たちの懸命な捜査が開始された。

佐々木譲氏が新たに挑む新分野「警察小説」。出来栄えはなかなかのもの。本編のほかに何冊かこの「警察小説」を上梓しており、また機会を得たら読んでみたい。

ところでこの文庫化に伴う題名の変更であるが「笑う警官」より当初の「うたう警官」がよいのでは?