湊かなえ著『告白』双葉文庫 2010.4.11 第1刷 619円+tax
おススメ度:★★★★☆
我が娘を殺された中学の女教師の「愛美は死にました。このクラスの生徒に殺されたのです」という生徒を前にした衝撃的な「告白」からこの物語は始まる。
次に殺した側の生徒、その母親、クラスの学級委員、それぞれのモノローグを通して事件の真相が語られる、というやや特殊な形態をとった小説である。
我が子を殺された母親が選んだのは、犯人を警察の手に渡すことなく、直接彼らに復讐する、それも手のこんだ最も効果的な手段をもって復讐することであり、その衝撃的結末は読者の中で賛否両論が巻き起こったことは想像に難くない。
我が子を殺されてその復讐を自らの手で行った小説で記憶に残るのは東野圭吾著『さまよう刃』である。
この小説の場合、殺された我が子の父親の復讐は、相手を直裁に暴力的な手段をもって行われたのであるが、本編の女教師は直接的暴力に訴えるのではなく徹底的な心理作戦でもって犯人の少年を追い込む。
いずれのケースも警察沙汰にすれば、“未成年犯罪者”は「少年法」という極めて過剰に保護された法律により、実質的な刑罰を受けずに再び社会に戻されることが予測された。
「更正」など望むべくもなく、場合によっては2、3年で社会復帰を果たし、再び同様な犯罪が他の人々に行われることは明々白々であることが分かった場合、あなたは一体どうするであろうか?
本編は中島哲也監督、松たか子主演により映画化され大ヒットした。
映画を先に観てその原作を読む、というケースは自分にとって稀なことであるが、今原作を読んでみて思うのはほとんど映画を観ての感想と違和感がなかったことだ。これは極めて珍しいことである。
それほどかの映画の出来栄えが素晴らしかった!ということだろう。特に松たか子演ずる教師森口裕子は恐ろしかった。改めて松たか子の演技力に瞠目する作品であった。
本編は昨今頻発する“少年犯罪”に対し、未成年である一点をもって過剰なまでに彼らを保護する立場を取る「司法」と一部マスコミおよび世論に対する強烈なアンチテーゼではなかろうか。
おススメ度:★★★★☆
我が娘を殺された中学の女教師の「愛美は死にました。このクラスの生徒に殺されたのです」という生徒を前にした衝撃的な「告白」からこの物語は始まる。
次に殺した側の生徒、その母親、クラスの学級委員、それぞれのモノローグを通して事件の真相が語られる、というやや特殊な形態をとった小説である。
我が子を殺された母親が選んだのは、犯人を警察の手に渡すことなく、直接彼らに復讐する、それも手のこんだ最も効果的な手段をもって復讐することであり、その衝撃的結末は読者の中で賛否両論が巻き起こったことは想像に難くない。
我が子を殺されてその復讐を自らの手で行った小説で記憶に残るのは東野圭吾著『さまよう刃』である。
この小説の場合、殺された我が子の父親の復讐は、相手を直裁に暴力的な手段をもって行われたのであるが、本編の女教師は直接的暴力に訴えるのではなく徹底的な心理作戦でもって犯人の少年を追い込む。
いずれのケースも警察沙汰にすれば、“未成年犯罪者”は「少年法」という極めて過剰に保護された法律により、実質的な刑罰を受けずに再び社会に戻されることが予測された。
「更正」など望むべくもなく、場合によっては2、3年で社会復帰を果たし、再び同様な犯罪が他の人々に行われることは明々白々であることが分かった場合、あなたは一体どうするであろうか?
本編は中島哲也監督、松たか子主演により映画化され大ヒットした。
映画を先に観てその原作を読む、というケースは自分にとって稀なことであるが、今原作を読んでみて思うのはほとんど映画を観ての感想と違和感がなかったことだ。これは極めて珍しいことである。
それほどかの映画の出来栄えが素晴らしかった!ということだろう。特に松たか子演ずる教師森口裕子は恐ろしかった。改めて松たか子の演技力に瞠目する作品であった。
本編は昨今頻発する“少年犯罪”に対し、未成年である一点をもって過剰なまでに彼らを保護する立場を取る「司法」と一部マスコミおよび世論に対する強烈なアンチテーゼではなかろうか。