goo blog サービス終了のお知らせ 

min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

グレン・ミード著『すべてが罠(上下)』

2010-05-05 16:27:29 | 「マ行」の作家
グレン・ミード著『すべてが罠(上下)』[原題:Web of Deceit] 二見文庫 2005.11.25 初版 733円+tax

オススメ度:★★★☆☆


NY近郊のロングアイランドの自宅でジェニファーは嵐の夜にふとめを覚ます。
枕元には全身黒ずくめで目だし帽をかぶった男が立っていた。手には血塗られたナイフが。
あやうくレイプされかけたジェニファーはからくも逃げ出すのであったが、この夜彼女の母親は惨殺され、弟は銃弾を撃ち込まれ瀕死の重傷を負った。
この夜を境にヨーロッパへ出張した父親は行方不明となった。
こんな衝撃的なシーンからこの物語は始まる。

心身ともに傷ついたジェニファーはその後なんとか立ち直り、大学の法科を卒業し現在は弁護士になっていた。しかし、銃弾を浴びた弟はかろうじて一命はとりとめたものの脊髄にダメージを受け、言語能力も奪われ車椅子生活を強いられていた。
二年経ったある日、彼女の元に父親らしき男性の死体がアルプスの山中の氷河で発見された、という知らせが入った。
幼馴染でなにくれとなく相談に乗ってもらえる仲であるNY警察の刑事マーク・ライアンは同行を申し出たが彼女に拒まれた。
そんなマークにCIAを名乗るケルソーという男が接近し、ジェニファーの後を追え、それも彼女に知らせずに、という指示を与えた。
事情は明らかにされなかったものの、マークは彼女の安否が心配でその申し入れに乗った。
かくして舞台はスイスとイタリアの国境にまたがる氷河へと移るのだが、ここでジェニファーを待ち受けていたのは謎の暗殺者による襲撃と、想像すらしなかった事実が明らかとなる。
だが謎はさらに謎をよび、彼女には一体何を、誰を信じてよいのか皆目見当のつかない事態に陥る。
果たしてジェニファーは、そして幼馴染のマークは事件の真相を突き止めることが出来るのであろうか!
といったストーリー。

確かに国際的な謀略サスペンスとして一定の水準にあり面白いのだが、なんか重みがないというか心から楽しめない。
ひとつは主人公であるジェニファーに対し今一つ共感できないことと、最大の不満は失踪した彼女の父親に関するくだり。
書くとネタバレになってしまい明らかに出来ないのであるが、父親のディテールを描かなければどうにも納得できない内容となっている。それで★3つになってしまった。


最新の画像もっと見る

2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (バンコラン)
2010-05-10 12:31:47
グレン・ミードですか。
昔、「雪の狼」を読みました。
スターリン暗殺ものでけっこう面白かったと記憶してます。
スピード感があってスイスイ読めますが
大胆な設定である割に、
「ジャッカルの日」のような重厚感が少ない。
min-minさんの「重みがない」という評価に共感できます。
返信する
Unknown (min-min)
2010-05-15 14:49:48
やはり「雪の狼」が彼の作品の中ではベストではないでしょうか。
確かにフォーサイスのような重厚さはなくとも、あの作品では運命に翻弄される男と女のせつなさがあって胸にせまったような記憶があります。

返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。