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min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

コーマック・マッカーシー著『ブラッド・メリディアン』

2010-10-24 16:25:23 | 「マ行」の作家

コーマック・マッカーシー著『ブラッド・メリディアン』(原題:Blood Meridian)早川書房発行 2009.12.25初版 2,200円+tax

マッカーシーが1985年に書いた彼の代表作とも言える書だそうだ。ならば代表作といわれる本書が何故に今の時期になって翻訳されたのか。
「血と暴力の国」が邦題「ノーカントリー」として映画化され日本でも一躍有名になった同作家の本を初めて読んだのは「ザ・ロード」であった。
本書の帯には【この衝撃度は『ザ・ロード』を超える】と書かれ、その謳い文句に惹かれ購入し読んだ。確かに“衝撃度”はかの作品を超えるのであるが、正直な読後感としては“戸惑い”しか残らなかった。
この作品をどのように理解、解釈してよいのか自分にはわからない。したがって恒例のオススメ度もつけようがない。

内容は14才の少年が飲んだくれの父親(片親である。母は少年が幼いときになくなった)の元から家出をし、ひとり荒野へ彷徨い出るところから物語は始まる。
旅の途中出会った“判事”と呼ばれる男の誘いでグラントン大尉率いるインディアン討伐隊に加わり、彼らが行く荒野は血と暴力と殺戮の修羅場と化す。
この討伐隊は私設の軍隊のようなもので、最初はインディアンの頭皮をはぎ、それを州知事に売っていたものが、やがて町を襲い、旅人から強奪する強盗集団と化していく。
グループの智謀で参謀役である前述の“判事”は何の判事かは不明であるが、二メートル近い巨人で、数ヶ国語を操り、考古学、地学、化学の知識を有し、更にはフィドルという楽器の名手であり舞踏も極めて旨いという才人である。
そんな彼が一端殺戮の場面になると容赦ない殺戮者と変貌し、女、子供を殺すことにも躊躇しない。そもそも人間を殺すことと、犬や馬を殺すことの境目すら持たない男だ。
訳者の解説によれば、彼のキャラ造形の源泉はコンラッドの『闇の奥』のクルツから取っているのでは?というが、僕なんぞ知る由もない。
単純な反戦小説ではないことが解かるものの、作者が真に表現しようとする深遠な哲学的世界は僕の理解を遥かに超えた地点にあるようだ。

“超絶技巧的文体”といわれるコンマを使わない長い一文は慣れるまでに相当苦労する。読了まで10日ほど費やしてしまった。正直、疲れる作品であった。



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