sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:ジュリー&ジュリア

2017-08-17 | 映画


料理映画は好きなものが多い。
軽い娯楽ものでも、もうちょっと格調高いものでも、
美味しいものをおいしそうに描かれると、もうそれでなんでも許してしまう。笑

ジュリー&ジュリアは評判が良かったのに、メリル・ストリープが苦手で
見なかった映画だけど、たまたま読んでた本にこの映画のことがでてきたので
やっぱり見るか、とアマゾンで鑑賞。
脚本・監督はノーラ・エフロン。
チャーミングで好きな映画「ユー・ガット・メール」などの脚本・監督の人なので
ハズレはないとわかってたし。

しかし、メリル・ストリープは、やっぱりここでも苦手だった。。。
パリのアメリカ人なわけですが、パリにずっといても全然言葉覚えずに
どこでも英語で喋りまくる裕福な外交官夫人の役。
アメリカ人にたまにいる無自覚な傲慢さが嫌いなんですよねぇ、
この女性が愛すべきキャラなのはわかるけど。
そしてふわふわと芯のない甲高い大きな声や
鶏のようなくきくきした動きの、大げさな演技はそういう演出なんだろうけど、
なにしろ大柄でガサツな感じに、一部のアメリカ人の
自分たちが世界の中心であるかのような傍若無人なところを想像させて、
こういう、無邪気で素直で優しく親切で明るく悪気はなく
人はいいけど鈍くガサツな感じの善人というのが本当に苦手なので、
お近づきにはなりたくない。笑
でも、それを補っても余りあるいい映画で楽しんだけど。笑。

一方、ジュリーを演じるエイミ・アダムスは最近「メッセージ」
やや辛気臭くて地味で若いのか年取ってるのかわからない学者の役を
とてもうまくやってた人ですね。
でもここでは、なんともかわいい若さのある現代女性です。

ジュリアは数十年前にパリでアメリカ人向けのフランス料理の本を書き
その後テレビの料理番組などでも活躍した女性。
セレブな共和党員の家の出で、外務省で働いてた時に知り合った人と結婚し、
パリに駐在になります。
そこで、専業主婦の自分は何をしたらいいのかわからず、あれこれ迷ったあと、
料理の美味しさに感激したことから料理教室に通い、料理に目覚める。 
そして本を書くことになり、出版までの様々な試練と戦う。

ジュリーは現代(といっても10年くらい前か)の30歳前後の女性。
911後関連の問題に対する一般からの電話に対応する、
福祉関係のお役所の?コールセンターみたいなところで働いている。
やはり自分のすることを模索してた彼女は
あるときジュリアの本の料理を全部作って制覇し、その様子をブログで
発信することを思いつき、生活は生き生きするが、
一緒に住んでいる恋人(夫?)との間に亀裂も入り・・・

この二人の物語が交互に描かれますが、この二人の女性の描き方が良い。
特に現代のジュリー。
最初の方で、ジュリーが女友達5人くらいでランチに行くシーンが
とても身につまされたんです。
一見SATC風な元気で楽しい女たちに見えるけど、ジュリー以外はみんな
ばりばりのエグゼクティブやクリエイティブ最先端や経営者で、
ジュリーはコールセンターのしがない派遣社員かアルバイトか何か。
友達はみんなこれみよがしに忙しそうにして、大きな話がバンバン出て、
そういうキャリアウーマンばかりの中でジュリーは居心地が悪くてつらくなる。
華やかでリッチなキャリアウーマンたちの中で何者でもないジュリー。
このシーンのジュリーのいたたまれない気持ちはまるで自分のことのよう。
わたしの友達もみんなきらきらして素敵だからなぁ。
でもわたしの友達はこの映画の中の人たちとは全然違って、
肩書きやキャリア的なものに関係なく楽しく話せるので
居心地の悪さを感じることなんかないけど、
たとえば複数の人同士で初対面の人に自己紹介をするときに、
自分だけあまりに、なんにも、なんでもないのは、いつも少し寂しいし、みじめだ。

だからジュリーが料理とブログを見つけて生き生きと張り切りだすところは
自分のことのように応援したくなる。
でも、毎日1つ以上の、本格的フランス料理を作るんだから、そりゃ大変。
映画の中のジュリーも太ったって言ってたけど、わたしなら倍太ると思う。笑
ジュリーは結局それがブレークして、いろんないい話が舞い込み、
最後には念願の何者かになるわけなので、これは
心からしたいことがある人が、こつこつと努力して成功する話と言えるかな。
でもジュリーは自分の始めたことがそういう結果になるとは全然思わずに
なにか生活の目的というか自分を支えてくれるものを見つけて
実行して頑張っただけなんです。そういうとこもいい。
ブログというものがまだ新しかった時代の驚きもいいですね。
(実話が元になってるけど、実際のジュリーはかなり野心パリパリで
売る気満々という感じだったというのもどこかで見かけたけど)

もうひとつ好きなところは、ジュリーもジュリアも
どっちも素晴らしいパートナーがいて、いつも理解し助けてくれるところ。
仲のいい愛し合ってるカップルを見るのは本当にほっとするので
この二人の男性のパートナーへの愛情と優しさにうっとり。
「家ってどこ?」転勤続きのジュリーが聞くと、夫は
「どこであれ二人のいる場所がホームだ」と答えるのが、素敵。

ディテールもとても素敵な映画ですが、たとえば、
ジュリーが料理をし出して、バターって素晴らしいというくだりは心から同感。
糖質制限ではバターは悪者ではないので、
最近人生で初めてくらいに、バターをたっぷり食べてるけど、
バターは本当に素晴らしい。風味もコクも、おいしいなぁ。
オリーブオイルも好きだけど、バターの重く深い奥行き。ああうっとり。
(食いしん坊すぎる。。。)

この映画を見てるときに、友達とメッセージのやり取りをしてたんだけど
この映画が好きな、英語が専門のその人はなんと
ジュリーの本を最初の方、訳してみたのだそうです。
ジュリーの本は日本語には訳されてないので、と。
ええー!それ作りましょうよ!週に1つずつでも作って、制覇しましょうよ!
と思わず叫んでしまったけど、それぞれ一人暮らしなので、
交代でも本格的なフランス料理を毎週作るのは難しいということに。
きっと太るしねぇ。。。
でも楽しいだろうけどなぁ。笑

ちょっと手のかかる、きちんとした料理を作ってみたくなる映画でした。
予告編見ただけでも気持ちが上がります。

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