sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

ピアノが年30万台売れてた時代のことなど

2013-12-14 | 音楽
朝日新聞の日曜版についてくる別冊?のGLOBEが、かなり好きなんですけど、
先日のはピアノの特集だった。
えっと、言っときますけどピアノというのは電子ピアノのことじゃありませんよ。
電子ピアノも100万円くらい出せばかなりよさそうなんだけど、
普通にみかけるもののほとんどはキーボードと呼びたい。

この前、映画祭のイベントで、音響の人が、
駐車場からシアターまでピアノ運びたいから人手がほしい、と言うので
一瞬ビックリした。
だってピアノって、自家用車に積めませんからね。
ピアノ運ぶのは業者に頼んで、設置後調律も必要ですからね。
うちのシアターにピアノ置く強度があるのかどうかもわかんないし。

もちろんそれは、ピアノではなくキーボードで
小型の台車でがらがら運べるもので
調律も必要ないものだったわけですけどね。
音楽やってる人も、クラシックの人以外は、
電子ピアノを、ただピアノというので、いちいちひっかかってしまう。

「パリ左岸のピアノ工房」と言うすごくすごく素晴らしい本を読んだらきっと、
電子ピアノを、ただピアノと呼んだりなんかできなくなると思う。
ちなみに、ピアノで世界的に有名なところは
スタインウェイもベーゼンドルファーもベヒシュタインも、
そしてもちろん徹底した手作りの超高級ファツィオリも、
電子ピアノは作ってませんからね。

そういえばファツィオリ社のことを初めて知ったのもこの本だった。
いつか見てみたい、聴いてみたいなぁ。
スタインウェイやヤマハが年間数千台規模でグランドピアノを生産するのに、
ファツィオリは120台。
木材の乾燥からピアノの完成まで3年かかる。
これはこの前、映画で見たシュタイデル社のやり方に近いですね。
映画「世界一美しい本を作る男シュタイデルとの旅」の感想


自分がピアノを買う時にも、この本が参考になった。
ベヒシュタインやベーゼンドルファーにも惹かれたけど、
見つけるのが難しいし高いし、しかもデリケートで
日本の気候の下で、いい状態が保つのは難しい。
どっちにしろ中古ピアノを探すつもりだったので、
古いヨーロッパ楽器は難しすぎた。
神戸の方にある、中古スタインウェイのオーバーホールをしている工房を見つけ
そこで小さなスタインウェイを買ったんだけど、
中古の小型のアップライトでも、
ヤマハの新品のベビーグランドの買える値段だったので、悩んだなぁ。
ベビーグランドでも、さすがにグランドピアノ。わたしには十分素敵だった。
でも結局、その頃はまだ家族が同居してたし、
公団にグランドを置くのもなぁと言う気持ちもあって、
音の控えめな小型アップライトに決めました。
自分にはこれが似合ってるとは、思う。
でも一人暮らしになった今なら、ヤマハのベビーグランド買ったかもなぁ・・・。


秋に、アメリカ人投資家がスタインウェイを買収したニュースがあった。
ジョン・ポールソン。リーマンショックを見越して、売リ続け
さらに富豪になった人です。
この買収で、スタインウェイが変わってしまうという心配は的外れのようです。
スタインウェイはそれまでにもすでに何度も売り買いされてきているので、
今更スタインウェイが変わってしまうとかいうのはおかしいらしい。

72年、85年、そして95年と、スタインウェイ社は売り買いされてきたけど、
今年、このあり余るほどお金のある敏腕投資家が、
斜陽にも見えるピアノ業界へ500億円もの投資をしたというのは、
むしろ希望の持てることかもしれない。
投資対象としてならいくらでも他にありそうなものなのに、
難しいピアノ業界へ投資したと言うことは
そこに情熱や愛着を期待できるかも・・・。

米国のピアノ販売台数ピークは1909年の36万台、今は5万台にも満たない。
一方、日本のピークは1979年の31万台で、今は17000台まで
落ち込んでいるそうです。

今のヤマハやカワイは東南アジアへの進出に力を入れている。
そこで好調なのは電子ピアノの方でしょう。
安いし音も抑えられる。
昔の日本のように、みんながやるから、とか見栄のために、
子どもにピアノを習わせる、自分自身は特にピアノに興味のないような親には、
安さは魅力だろうと思う。
でも日本には本物のピアノがあふれていた時代があったわけです。
年に30万台ですよ。
日本人がピアノを習いはじめた時、
電子ピアノのない時代でよかったんじゃないかな。
わたしが子どもの頃、ピアノを習っている子は本当に多かった。
家にピアノのある子はみんな、電子ピアノではなく本当のピアノだったんだと思うと、
すごいなぁと思う。
年間30万台ピアノが売れてた時代・・・。ほんとうにすごい。

と、音楽もピアノも全然わからへんくせに、
ピアノを愛する人のようなことを書いてしまいました。
さて、今度のお休みには、ピアノでクリスマスソングでも弾こう。

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