素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

ジム用にニューシューズ!

2012年04月18日 | 日記
 今使っているのは二代目。といっても初代同様、勤めていた時に使っていた中古品。マシーンでの酷使に破れてしまった。三代目は新しく購入することにした。靴底にクッション性を持たせた厚底タイプのものが多い。マシーンでのランニングだと不具合を感じてきた。手頃なものはないかとウロウロしていてパッと目に入ったのだ“五本指のランニングシューズ”。去年の大阪マラソンのイベントブースでも見かけたが、マラソン超初心者には関係ないと素通りしていた。それ以後、雑誌でちょくちょく見かけるようになってきた。「裸足感覚で大地にフィット」というのがキャッチフレーズ。マシーンで使うのにはちょうど良いのではと直感し購入した。
  試し履きする時も小指が入らなくて苦労したが最初はちょっと履くのに苦労する。ジムでさっそく使ってみたが靴を履いている感覚がなく思っていた以上に快適。足袋、地下足袋とつながる日本文化を思えば当然かもしれない。そういえば小学生の頃運動会用の足袋があったなあと思い出した。また、中学で勤めていた時裸足で走りたがる生徒が必ずあらわれた。その時「危険だから」と説得して靴を履かせていたことも思い出した。今ならこのシューズを薦めるかな(笑)

 60分9.5kmを違和感なく走ることができたので合格。どんな違いがあるのかは1年間ぐらい継続してみないとわからない。

 今週のジム練習の時のお伴の本は平安寿子さんの『こっちへお入り』(祥伝社文庫)であった。以前朝ドラであった“ちりとてちん”の小説版。落語のネタをベースにした物語である。実在の素人落語教室の取材をもとにつくられたものである。

 随所にキラリと光るものを感じつつ全体的にはこなしきれていないのが残念やなと思った。特に、登場人物の描き方に荒さがあるように思える。

 随所にある古今亭志ん朝と柳家小三治を対比させての古今亭系と柳家系ネタの料理の仕方の違いは興味深かった。そして最後の章“さぁさ、こっちへお入り”では志ん朝と小三治に加えて柳家さん喬の「芝浜」の違いを語りつつ物語もサゲになるのだが、このあたりになると落語の噺と物語がしっくりかみ合っている。

 キラリと光ったうちの一つ。落語の世界に足を踏み入れたばかりの主人公江利と指導者である楽笑とのやりとり。「饅頭こわい」での稽古用高座で饅頭の食べ方で落語教室仲間に大うけした“やっ亭ごらん”さんの話しから始まる。

 「わたし、おいしそうにニコニコする顔できないから、苦肉の策で」
 「自分の柄(がら)を生かすコツを覚えましたね」
 楽笑に言われ、ごらんさんは困ったような複雑な表情になった。でも、目はしっかり、笑っていた。
 自分の柄を生かす・・・か。なるほど。わたしの柄ってなんだろう。
 江利は考えた。勢いがある、切れがいいと、楽笑は評してくれたが、それって「柄」なんだろうか。
 「柄って、個性ってことですか」
 質問すると、楽笑は答えた。
 「うーん。個性というより、人間性です。同じことみたいですが、違うと僕は考えるんです。個性というのは持って生まれたもの、人間性というのは生きてきた中でその人が培ってきたものという風に思います。ニンが出る、ニンに合うと、僕らの世界では言うんですよ。人と書いて、ニンと読む。その人の人間性が出たとき、噺は息を吹き込まれるんです」
 「人間性が、笑いにつながるってことですか」
 「そうです。一生懸命になればなるほど、滑稽になる。人が生きるとは、そういうことじゃないですか。客は、今の言葉で言えば『上から目線』で、落語世界の人物をバカなやつらだと見下して笑うんじゃない。自分と同じだから、共感して笑うんですよ。愛しいから、笑うんです」


 主人公江利のニン探しも物語の大きな柱。少し難をつけたが落語への新たな視点をもらったことは確か。
コメント
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