素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

CHANGEの時はCHANCEの時

2012年04月01日 | 日記
「CHANGEの時はCHANCEの時」 は数え切れないほど使ってきた言葉である。特に、新年度の前後には強く思う。

 斉明6年(660)、朝鮮半島の百済が、新羅と唐によって侵略され、日本に支援を求めてきた。日本は、この支援要請を受けて軍を出立させた。斉明天皇、中大兄皇子とともに額田王も同行したという。その時の歌が数ある額田王の歌の中でも一番好きなものである。

熟田津(にきたつ)に、船(ふな)乗りせむと、月待てば、潮(しほ)もかなひぬ、今は漕(こ)ぎ出(い)でな

 熟田津(にきたつ)で、船を出そうと月を待っていると、「いよいよ潮(しお)の流れも良くなってきた。さあ、いまこそ船出するのです。」
情景と声が1400年余りの時空を越えて心に届いてくる。なにかいざ始めようとするとき、この歌を呪文のように唱えるとシャキッとするのである。

 この戦いで惨敗したことにより日本の統治機構の大改革がスタートすることになる。これによって官僚制度が確立され国としての基盤ができ外国から侵略されることなく長い歴史を築くことになる。勝負ごとの“勝ち・負け”は簡単には言い切れない側面がある。

 毎日新聞の日曜版も“日曜クラブ”となり新紙面となった。心療内科医である海原純子さんのエッセイが復活した。「新・心のサプリ」というコーナーで毎週日曜日に読むことができる。楽しみが増えた。再スタートにあたって、1年のブランクの中で、震災は大きかったという。震災以前とははっきりした変化を感じるのは、「じゃあ、またね」という言葉を発するときの心の持ち方であるという。この一言の重みが以前とは違う。それは一つ一つの出会いが当たり前ではなく、幸せなのだとの無意識の気づきが生んだものだと考えられる。

 そして、困難な状況に陥った人へのサポートの方法として四つあげている。

     ①直接的支援  ②情報による支援  ③共感による支援  ④援助への期待感に応じる支援

 ④が目新しかった。この期待感とは、「大変な状況でも、あの人がいるから何とかしてくれる。手助けしてくれるだろう。」という思いのことである。その安心感がそれぞれの困難な状況を乗り越える大きな助けになる。と指摘している。

 私の周りでも、新年度の船出をした人が多くいる。順風満帆とはいかないであろう航海に心配なことも多々ある。でも一緒の船に乗ることができない私にとってできることは遭難しかけた時いつでも避難できる港として灯りをともし続けていることかなと海原さんのあいさつがわりのエッセイを読んでいて思った。

    負けんとき月を見上げてひとりごと
コメント
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