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ミュージアム巡り 光悦の大宇宙 光悦謡本 上製本

2024-07-27 01:24:49 | ミュージアム巡り_2024
 続いて、「光悦謡本特製本」(江戸時代、紙本雲母摺絵本版、24.1/
18.2cm、5帖・100帖の内、東京・法政大学鴻山文庫所蔵)。
 嵯峨本のうち、光悦流書体の本文と豪華な雲母摺り料紙を用いた観
世流謡本を「光悦謡本」と称する。これらは装幀や料紙などから細か
く分類されており、「上製本」と呼ばれる一種は色替り表紙に宗達風
の雲母模様を摺り、本文料紙は具引き斐紙2枚針の帖装本。
 本文は1行に13文字で片面7行、光悦流書体の木活字で版組だ。表
紙の雲母文様は47種を数え、全体で65種ほどを使用する「特製本」
と比べると少ないものの、この特製本が省略形とみられる図様を使用
する。一方、「上製本」では原形をとどめ、初期に刊行されたと考え
られる。
 印刷部数は多く伝本も各所に存在するが、その分版木の消耗も著し
く活字の補修も行われ、初期版と後期版では活字の見え方に差がある。
謡の流行に伴って優美な外観もあり広く流付した。寛永年間(1624〜
44)頃までは光悦謡本と同型の詞章をもった観世流謡本が多い。
 「景清」表紙にも見られる「梅が枝」の雲母摺りを直接意匠とした
「梅蒔絵硯箱」も、その影響下にあった作例と考えられる。

 そして、「光悦謡本 上製異装本」(江戸時代、正本雲母摺絵木版、
23.9/18cm、4帖・19帖の内、東京・法政大学鴻山文庫所蔵)。「光悦
謡本」のうちの「上製本」は、表紙のみ雲母摺りがみられ、本文料
紙には染紙も雲母摺りも使用しないことが特徴。本作は「上製本」
と同版で本文料紙にも雲母文様を摺り、一部に染紙も使用する装幀
上の相違から「上製異装本」と分類される。
 また本作は、「上製本」と「特製本」の間をつなぐ存在とし、現
存例が20帖しか知られて折らず、広く頒布するものではなく思索的
に製作された考えられる。
TNM(台東区上野公園13-9)
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