塩哲の色不異空

日々の思いを気の向くままに

ミュージアム巡り 光悦の大宇宙 蓮下絵百人一首和歌巻断簡_1

2024-09-03 05:41:06 | ミュージアム巡り_2024
 続いて、「蓮下絵百人一首和歌巻断簡」(江戸時代、本阿弥光悦筆、
彩䇳墨書、33.1/60.5cm、一幅、東京・サントリー美術館所蔵)、同
(33.4/54.5cm) は、光悦の代表作と評される和歌巻の一つ。
元は「百人一首」の100首すべてを揮毫したと見られている長大な作
品であったが、明治時代に分割が進み、さらに大正12年の関東大震
災で60首分が焼失。しかし、焼失した内の57首分のコロタイプ版複
製が残っており、各所に分蔵されている断簡を会わせ、計92首分の
内容が知られている。
 俵屋宗達筆という説が有力な金銀泥の下絵は、冒頭が蓮の葉が浮
かぶ水面の景色から蕾、ほころぶ蓮華、風にあおられ飛び散る蓮弁
と場面が連続し、最後に再び白蓮華画開くという蓮の一生が描かれ
ている。
 これに呼応する光悦の書は、前半に一首ごと2〜3行の延べ書き、
後半から行間を広くとり散らし書きだ。出品された六幅はいずれも
後半部の断簡である。
 上部は西行「嘆けとて 月やはものをおもはする かこちがはなる
我涙哉」、下部は寂蓮「村雨の 露もまだひぬ 槙の葉に 霧たち上 
秋の夕暮れ」の一首。下絵は密集した葉の間から蕾が伸び、二輪
の蓮華が開く場面。
 そして、二条院讃岐の「我袖は 塩干に見えぬ 沖の石の 人こそ
しらね かはく間もなし」の一首。
TNM(台東区上野公園13-9)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする