塩哲の色不異空

日々の思いを気の向くままに

ミュージアム巡り 光悦の大宇宙 漁父辞

2024-09-09 05:43:42 | ミュージアム巡り_2024
 続いて、「漁父辞」(寛永9年・1632、本阿弥光悦筆、彩䇳墨書、36.5
/278.2cm、1巻)は、光悦が中国・戦国時代末期の詩文「漁父辞」(楚国
・屈原やその弟子が作った詩文“楚辞”に収録)を書写したもの。その内容
は、政治家・屈原が国を追われた後、隠遁者であった漁父との問答を通
して、不遇な境遇を綴ったエッセイ。巻末にある自署から、本作が寛永
9年1月7日、光悦75歳の作と判る。
 寛永期、光悦晩年の一連作品には、巻末に年紀、鷹峯隠士大虚庵、年
齢が書かれている。この鷹峯とは、光悦が元和元年(1615)に徳川家康か
ら拝領した京都・洛北の地名である大虛庵で、また光悦の号であり、さ
らに茶室の名でもある。
 光悦の晩年の作品には、中風の影響があり線に震えがみえ、本作にも
筆を持つ力が足りないためか、筆線に乱れが目立つ。
TNM(台東区上野公園13-9)

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