今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

戦場のコックたち

2023年04月22日 | 「本」のひきだし

ブクログより



合衆国陸軍 第101空挺師団第506パラシュート歩兵連隊第三大隊に所属するティムは管理部付きのコック、幼少から食いしん坊で、料理に興味があり、おばあちゃんのレシピ帖を持って入隊した。1942年のこと。

身分は五等特技兵、一般の兵士よりは少し軽んじられる身分だが、ノルマンディーに降下すると、限られた材料で、おいしい食事をとティムは頑張っている。
毎日食事だけ作っているかといえばそういうわけにもいかず、戦地は点々と移動し、しゃもじの代わりに機関銃を持つという風に戦況も変わってくる。

そんな中で、絹地のパラシュート生地を集めている仲間の謎や、粉末卵紛失事件や、自傷で戦列を離れようとする兵士たちにまつわる現象の謎、仲間だと思っていた兵士のスパイ容疑など、など。
ミステリー要素も満載。

だんだん厳しくなってくる戦況のなか、もうまともな食事さえ用意できず、次々に亡くなる仲間たち、すさんでいく気持ち、文中に年号が出てくるたび、もうすぐだよ、もうすぐ戦争は終わるからと語りかけている。

いよいよ戦いも終わり、帰郷の途中極めつけの出来事に遭遇する。
アルプス山麓で見つけた収容所、アメリカ人から見た収容所、まあ誰から見てもおぞましくて凄まじいものには変わりはない。生き残ったユダヤ人の手助けをし、薄めたコンソメスープを作り、少しずつ飲ませる。
やせ細った彼らの目にだんだん力が戻るのを見届け、収容所を後にする。そして懐かしい故郷、おばあちゃんの家へと帰る。

そしてエピローグ、生きながらえた戦友たちとの再会、結婚して養子として迎えた子供たち、明らかになっていく、明らかに。
ティム、なんていい奴なんだ!最高!!
体が震えるほどの感動。


戦場のコックたち / 深緑野分

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