今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

設計者

2013年08月05日 | 「本」のひきだし

ブクログより


ちょっと帯を読んでみると、韓国の作家によるハードボイルドらしい。
韓国の作家のハードボイルド?ぴんと来ないし全く想像できない、逆に興味がわいてきて読んでみた。

まず題名の設計者について、普通、設計者と聞いて想像するのは、建造物や何か物作りを完成させるために、計画をたてたり図面を起こしたり、具体的に指示を出す人の事を思う。
この場合も間違いはないのだが、建物やものを作るのではなく、暗殺の設計をする人、のことである。
この時点で、こういう事が小説の題材になる韓国って怖いなぁ、と思った。
しかも、そういう団体がいくつもあってしのぎを削るというか、抗争が絶えなく、明日は我が身か?と戦々恐々の毎日なのだ。

暗殺者は、設計者に逆らえず、設計されたとおりにただひとりの人間を暗殺する。
その設計者というのは、大学の教授だったり、コンビニの店員だったり、ごく普通にまわりにいる人たちなのだ。
怖い・・・
どこにでも闇社会はあると思うのだが、韓国のそれはずっと深くて暗い感じ。

本編は、設計についてとか暗殺の経緯とかについてではなく、設計者と暗殺者とのやりとり、暗殺者どうしの探り合い、心の葛藤・・・
主人公の青年は暗殺者、生まれたときから施設で育ち、しかるべき人物に引き取られ、しかるべき暗殺者に仕立て上げられた。その運命は生まれたときから決められていたかのように、素直に受け入れ淡々と暮らしている。
投げやりでもなく、自分の立場をわきまえているこの青年は、大いに好感が持てる。
最後は、この暗黒の世界を変えたいと思う設計者と、クーデターを起こすが、彼にとってはこのクーデターも結局はどうでも良かったのかもしれない。

不思議な読後の作品だった。


設計者 / キム・オンス
★★★★☆

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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珍しい (風花老師)
2013-08-06 08:27:22
あさひさんがハードボイルドとは、珍しいですね。

ワタシも久々に読んでます。
外国人による戦前の日本旅行記です。
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わりと読みます (あさひ)
2013-08-09 14:32:05
こんにちは。
こう暑いと読書もはかどりません。
私、こうみえてハードボイルドとか、
探偵小説とか好きです。

「外国人による戦前の日本旅行記」
また感想聞かせて下さいませ。
返信する

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