ブクログより
ちょっと帯を読んでみると、韓国の作家によるハードボイルドらしい。
韓国の作家のハードボイルド?ぴんと来ないし全く想像できない、逆に興味がわいてきて読んでみた。
まず題名の設計者について、普通、設計者と聞いて想像するのは、建造物や何か物作りを完成させるために、計画をたてたり図面を起こしたり、具体的に指示を出す人の事を思う。
この場合も間違いはないのだが、建物やものを作るのではなく、暗殺の設計をする人、のことである。
この時点で、こういう事が小説の題材になる韓国って怖いなぁ、と思った。
しかも、そういう団体がいくつもあってしのぎを削るというか、抗争が絶えなく、明日は我が身か?と戦々恐々の毎日なのだ。
暗殺者は、設計者に逆らえず、設計されたとおりにただひとりの人間を暗殺する。
その設計者というのは、大学の教授だったり、コンビニの店員だったり、ごく普通にまわりにいる人たちなのだ。
怖い・・・
どこにでも闇社会はあると思うのだが、韓国のそれはずっと深くて暗い感じ。
本編は、設計についてとか暗殺の経緯とかについてではなく、設計者と暗殺者とのやりとり、暗殺者どうしの探り合い、心の葛藤・・・
主人公の青年は暗殺者、生まれたときから施設で育ち、しかるべき人物に引き取られ、しかるべき暗殺者に仕立て上げられた。その運命は生まれたときから決められていたかのように、素直に受け入れ淡々と暮らしている。
投げやりでもなく、自分の立場をわきまえているこの青年は、大いに好感が持てる。
最後は、この暗黒の世界を変えたいと思う設計者と、クーデターを起こすが、彼にとってはこのクーデターも結局はどうでも良かったのかもしれない。
不思議な読後の作品だった。
設計者 / キム・オンス
★★★★☆
ワタシも久々に読んでます。
外国人による戦前の日本旅行記です。
こう暑いと読書もはかどりません。
私、こうみえてハードボイルドとか、
探偵小説とか好きです。
「外国人による戦前の日本旅行記」
また感想聞かせて下さいませ。