DOLL FACTORY、次は「JK21」が出て来た。大阪で活動するグループで、定期公演を行なっていて、公演のための常設会場もあるというライブアイドルである。実はTIFの第一回目から出場していて、私はずっと観させてもらっている。
JK21は何度かメンバーチェンジがあった過去を持っていて、TIFで会う度にメンバー構成が変わっているくらいなのだけれど、ステージのほのぼのとした雰囲気は不変だ。第一回目で観た時以来、「はっちゃけてるほど明るく元気という訳ではないけれど、ふわっとした心地よい明るさのあるグループ」という印象を持っている。この「ふわっとした」という部分が大事で、ガンガン明るさを押し出している訳ではないので、ステージも妙に過剰な煽りに走ることもなく、客席も平和に楽しく行きましょう!というノリが支配している。
そういう雰囲気なので、メンバーの話す言葉と会話の妙味に大阪らしさを府外者が感じても、そんなにコテコテを前面に押し出している訳ではなく、簡単に言えば下町っぽさは薄い。関西に馴染みがない人にはわかりくい例えかもしれないけれど、大阪と言っても阪急沿線な雰囲気を自分は感じるのである。これは良い意味でという印象だ。そういえば、普段の公演を行なっている会場は地下鉄駅が最寄駅だが、阪急の駅も近隣にある。
一人のメンバーが天然トーク的な挨拶を自己紹介で行なったけれど、すかさずツッコミが入りまくるというほどでもなく、そこからの笑いの持って行き方はオーソドックスなのだ。でも、これがスタンダードなのであって、関東人のイメージする大阪らしさは大げさ過ぎるのだろう。しかし、そんなイメージのズレなど些細な事であるかのように、メンバーは可愛らしく、ひたすらほのぼのとステージをこなしていく。観ていて自然と笑顔になれるような平和な空間が居心地よい。
レシピ JK21
JK21を観終えた私は外に出た。SMILE GARDENは時間が押しているようで、タイムテーブルと約10分ほどのズレが発生しているようだ。ステージ上では機材セッティングが始まった。このあと、いよいよTIF史上初めて「モーニング娘。のOG」がステージに立つのだ。
セッティングが終わり、「LoVendoЯ」(ラベンダー)が登場した。芝生席の前方はリストバンドを着けている人が入れる有料エリアなので前方に入ってみた。ライトブルーの田中れいなTシャツを着たヲタもチラホラいる。
歌が始まり、会場にれいなの声が響き渡る。れいなの歌声を野外で聴くのは新鮮な気分。とても伸びやかなボーカルで、娘。時代よりも声量が大きくなったように聴こえた。楽器の迫力に負けないようなボーカルになっている。いたずらっ子のような笑顔を浮かべて客席を煽るれいなの姿が正直かっこいい。サマになっている。れいなは歌うことが大好きなのだなと改めて感じる。
動画で観ていた時にはツインボーカルである強みはあまり感じられなくて、ハモリはいいよねというぐらいな感想だったけれど、実際に生で歌を聴くとツインボーカルがハマっている。ちゃんとれいなの歌声に合う人が選ばれたのだなという事だ。このバンドの良さのひとつが、このツインボーカルなのだという事をライブ体験して理解出来た。声の絡みと音の絡みが違和感なくて耳に気持ちいい。
会場はライトブルーのTシャツだけでなく大勢の人が楽しみ、音に合わせてノッている。れいなは端で観ている観客にも手を振りながら、野外な会場の開放感にふさわしい伸びやかな歌を遠くまで届けていた。ある程度の大きさの会場の使い方は、さすがちゃんとわかっている。それを観ながらなんだか懐かしいような気持ちになっていく。過去の記憶の中にあるモーニング娘。の楽しかったコンサートの映像が甦ってくる。
私は、ふと思った。私はいつだって、田中れいなの居たステージを楽しいと思っていた。れいなの持っている良さに気づいたのだってコンサートの時だった。見える景色は違っても、今も田中れいなが立っているステージは楽しい。それを再確認しながら、青空に拳を突き上げた。
LoVendoЯ イクジナシ (ikujinashi / 意気地無し) live on July 2014