Nonsection Radical

撮影と本の空間

何が読ませるのか

2013年04月26日 | Weblog
沢木耕太郎の「馬車は走る」を読み終えた。
これまで沢木本は数冊読んでいる。
ノンフィクションやルポルタージュが昔から好きで、小説を主に読むようになる前はほとんどノンフィクションものばかり読んでいた。
その中でも沢木本は、自分にとっては他とちょっと違う印象を持ち続けている。
その違いをキチンと考えたりはしないのだけど、”違和感”が常に伴っているのはいつも感じる事だ。
それは悪い意味での”違和感”ではない。
”距離感”と言い換える事の出来るものか。
対象者との近づいたり離れたりしながら付き添う距離感が、常には一定ではなく、それが逆にリアルで、かつ簡素な文章で綴られているので引きつけられるのだ。
練りに練られた文章が、簡素に一見思えるまでに装飾を削ぎ落として、組み立てられる。
それを読み進めるうちに、自分の中で著者と同類の感情で対象者と寄り添っている気にさせるのだ。
だからと言えるが、読み終えた気分は爽快というよりも疲労感が漂う。
ふ~とため息をついて、「人間って大変だなぁ」と思うのだ。
そういう感想を持つので、沢木本は続けて読む事が出来ない。
”人間関係”に疲れてしまうのだ。
でも、しばらくするとまた別の本を手に取り読み始めてしまう。
あたかも、再び人間社会に飛び込んで行くように。




旭町から寺内町 奈良県御所市


新井薬師門前町栄会 東京都中野区
コメント
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