Nonsection Radical

撮影と本の空間

オトナの「発達障害」

2012年05月11日 | Weblog
親の愛情の不足が発達障害の原因になる。との観点から、家庭教育への行政からの支援を盛り込んだ大阪市の条例案が、「事実誤認との批判を受け撤回された件」に関し、発達障害とはなんだろう?と思っていると「こんな放送」があった。
もともとの条例案」は、大阪維新の会の市議団が提出予定していたものだけど、読んでみると家庭教育支援条例と言いながら、親の役割、つまり父の役割、母の役割を規定するのだから、当然子育ては母親の役割であるという前提で作られている。
そして骨子は、子供が「昔と違って」おかしい、これは家庭教育が悪いからだ、だから親に教育を施し、「まともな」子供を育てさせなければ「あるべき」日本を背負う人間がそ育たない、てなもんだろう。
その条例案の中に、「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因であると指摘され、また、それが虐待、非行、不登校、引きこもり等に深く関与していることに鑑み、その予防・防止をはかる」というのがあって、これが今回の「騒動」を引き起こしたわけだ。
乳幼児期の「愛着形成」の不足が、今回問題になった発達障害を誘発する大きな要因だから、愛着形成をしっかりすればそれにつながる虐待、非行、不登校、引きこもりなどがなくなるんだ、つまり母親がしっかりと愛情を持ってスキンシップをもたないからそんな社会的迷惑なガキができるんだ、だから、父は外で仕事、母は家で子育て、祖父母と共にしっかり「家」を守っていく事でより良き社会ができるんだというわけだ。
ほとんど「大阪維新の会」というよりも「オトコ威信の会」だね。
まあ、そのオトコ目線の条例案が、何十年前の通説を元にしていたために前提条件がくずれてしまい、「虐待も非行も不登校も引きこもりも」母親の愛情不足の結果だとは言えなくなってしまったわけね。
お前らが(母親たちの事ね)しっかり面倒を見ないから変なガキがうろつくんだ!と、どう考えても子育てに関わっていなさそうな人たちが頭の中でだけ考えた「思い込み」に都合のイイ「説」を持ってきて勇ましい条例を作ろうとしたんだけれど、オトナの「発達障害」が露見しただけだったね。

子どもには「勉強しろ」と言うくせに、オトナは学校を出ると、まったくと言っていいほど勉強しないんだよね。
する事と言ったらテレビを視るぐらい。
そのくせ「テレビばかり視てないで、勉強しなさい」と自己矛盾をはらんだ発言をくりかえすわけだ。
世の中は、当然のように進歩し、新しい思考、発見、発展が繰り返し現れてくるんだけれど、オトナはそんなものからは背を向けているからちっとも「発達」しないんだよね。
だから、昔の古い「説」、それも今では否定されているようなトンデモ話なんかでも平気で持ち出してくる。
となると、今回の条例案自体が、「発達障害」をおこしているオトナの考えたトンデモ思考から出てきたものではないのか?と思えてきても仕方あるまい。

条例案の前文には、戦後の高度成長期以来の核家族化によって、さまざまな不具合が現れてきたので、戦前の「より良き」家族形態に戻すことによって、(戦後の核家族化によって成し遂げた)高度成長を再び成し遂げるんだという、もうメチャクチャ矛盾した思考を元にこれからの社会を展望しているオトナの姿が垣間見えるわけね。
まあ日本社会の作戦として、「二匹目、三匹目のドジョウをねらい続ける(つまり同じことの繰り返し)」というのがあって、柳の下でばかり何度も何度も、たとえドジョウがいなくなってもなお、ドジョウをすくい続けるという「発達障害」が社会の衰退を招いたのだけれど、これも変化していく社会を柔軟に取り入れることができない勉強不足の結果だともいえる。
そういう点では、大阪市だけの問題ではなく、日本人の思考自体がガラパゴス化しているんじゃないの?



神戸 元町3丁目商店街
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする