3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

大村智先生のノーベル賞ー東大や京大でないところがいいよね

2015-10-06 13:09:32 | 現代社会論
1935年生まれ、80歳
山梨韮崎のご出身

実家は農家で、農家を継ぐということで、農作業を兄弟で子どものころからやっていた。
80歳で地方の農家の息子となれば、大きな農家であっても農家を継いで行くのだから、大学はなしだ。ふつうは。
しかし、大村先生のお父さんは大学に行きたいならと許してくれた。
お母さんはもと先生で養蚕のノートを丁寧に書いていたとか。

山梨大で農学を学び、墨田工業高校の定時制の先生になった。
定時制高校の理科の先生をしていた。高校生たちが油まみれになりながらも夜の授業に出てくる姿に心うたれ、
自分は大学に行かせてもらったのに、もっと勉強しなければとおもったという。
その後、教育大の研究生、理科大の大学院に進学し、それから、快進撃が始まる。

このころの墨田工業高校の生徒はえらい!
そのころの高校生は今何をやっているのだろう。
こういう定時制高校で大村先生のような先生に学んだ高校生は、その後、日本のものつくり技術大国の基礎になったのではないだろうか。
大学卒ではないけれど、日本のものつくりを支える人々。
こういう地道な信頼できる労働者が確かに日本を支えてきた。

80歳ぐらいの人たちは、行きたくても大学に行けなかった人は大勢いる。
能力があっても農家の後継ぎで終生農業従事者として働き一生を終える人たちがたくさんいた。
大村先生もそのままだったら、農業従事者でおわったかもしれない。
80歳ぐらいの人たちで大学に行った人とそうでない人のその後の人生の違いは相当なものである。
おとこの兄弟はそれでも大学に行かせてもらえたが、女は女学校でおしまいで、結婚していった。


ちょうど日本の産業構造が農業社会から工業社会へ移行する時期だった。
農業を離れ、工場労働者になっていった人もたくさんいるのだろう。
その後日本の農業は廃れていく。
いろいろなことを考えさせてくれる大村先生のノーベル賞である。

地方国立大学は今や沈没しそうである。
地方の優秀な高校生はどこへいくのか。
工業高校も今はなんとなく、暗い感じである。
大学は全入の時代。
日本の教育は混乱しているように思える。
どういう境遇の子どもでも思い切り勉強できる環境を整える必要があるだろう。


中村修二は徳島大学
大村智先生は山梨大学

かつての地方の国立大学の実力を見せつけられる大村先生のノーベル賞である。

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