Tさんは3点日本画作品を完成されました。まとめてご紹介いたします。
「三千院の秋」 日本画 P10
苔の絨毯と古木が風格ある佇まいの本堂を包み込んでいるよう。
清々しく穏やかな空気が流れており見ていると心が落ち着きます。
丁寧に塗り重ねた色がかがやき響き合っている瑞々しい作品です。
近づいてみました。
質感を描き分け重ねた岩絵の具の味わい深さと厚みはありながら
Tさん独特の透明感とやわらかさはそのまま。大らかな刷毛遣いと
細やかな線描とのバランスも実に自然で美しく魅力があります。
「妙高山の秋」 日本画 F10
いもり池からのぞむ越後富士。その堂々たる姿は麓の森の紅葉に
彩られて輝きをましています。光景の雄大さと重々しさを意識した
筆さばきで描かれた作品はゆったりとして力強く見応えがあります。
近づいてみました。
今まで描いたものの中ではもっとも下地づくりに時間をかけられ、
その作業の大切さを実感された記念すべき作品となりました。
この地で受けた感動が見事に表現されエネルギーに満ちています。
「東大寺」 日本画 F6
様々な角度から何度も淡彩スケッチをされてきた東大寺。だからこそ
表したいイメージが明確でまっすぐ描き進めることができました。
春空と大仏殿が鏡池に映る平和で優雅な光景に心安らぐ作品です。
近づいてみました。
作品の主題でもある水の表現は、塗り重ねた岩絵の具を洗った
ことにより揺らぎが出て表情豊かになりました。伸びやかな筆致が
歴史ある古都のゆるやかな時の流れまで表しているようです。
過去の作品はHP「上郷の森 日本画教室」内の“作品集”の中の
Tさんのページに制作順に掲載されています。また、ご自身のHP
「水彩スケッチ紀行」には日本のみならず世界各国を旅した際に
描かれた作品が多数おさめられています。ぜひこちらもご覧下さい。