ワールドカップ12大会取材のサッカージャーナリストのブログ
牛木素吉郎のビバ!スポーツ時評
サッカー日誌 / 2010年07月31日
犬飼基昭会長退任の真相は?
日本サッカー協会理事・評議員会
(7月25日、東京・JFAハウス)
◇「健康上の理由」ではない
日本サッカー協会の犬飼基昭会長が1期2年で退任したのは意外なニュースだった。2期4年務めるものと思われていたからである。
退任が正式に決まった日にNHKテレビのニュースを見たら「健康上の理由で退任」とアナウンサーが言っていた。「本当かね」と、ぼくは疑った。翌朝の新聞をみると、やはりニュアンスが違う。
犬飼会長は役員交代の一連の会議に出席せず「重責を全うするための気力、体力を維持できない」という本人のあいさつ文が記者会見の席で配られた。田嶋専務理事は、犬飼会長欠席の事情を質問され「理由は聞いていないが」としながら「疲れ、体調不良」と説明した。「健康上の理由」というのは、欠席した理由についての田嶋専務理事の弁明に過ぎない。
犬飼会長が「やる気満々」だったことについては、多くの人の証言がある。「無理やり退任させられた」のが真相だろう。
◇朝日の伝えた推薦委員会の内幕
この人事についての報道では、朝日新聞が先行していた。
7月25日の理事・評議員会が開かれる前に24日付朝刊一面で報じ、そのなかで25人の理事による郵送による信任投票が行われていたことを特報している。信任投票はワールドカップ開幕前、つまり6月上旬までに行われていたという。
朝日は、さらに、7月27日付朝刊スポーツ面に潮智史・編集委員の解説記事を掲載している。理事・評議員会に先立って7月22日に開かれた「次期役員候補推薦委員会」の内幕を伝えたものである。推薦委員会の内容や投票結果は公表されていないのだが、潮記者が探り出して書いたわけである。
委員会で明らかにされた信任投票の結果では「犬飼前会長への投票はぎりぎり過半数にとどまった」という。また、推薦委員会では委員長の川淵三郎・名誉会長が「犬飼続投」を切り出したとも書いている。信任投票でぎりぎりながら過半数を得、委員長が提案しながら、続投を否決したのだろうか?
◇「犬飼降ろし」のシナリオ?
朝日新聞の記事は事実だろう。けれど額面どおりには受け取れない。
理事の信任投票は中身が問題である。朝日の潮記者の記事では、信任は「ぎりぎり過半数」としている。「ぎりぎり」であっても過半数を得たのだったら、協会の中枢で役職を担っている役員が支持しているのであれば続投できたはずである。
内実はその逆で、協会の主要役員あるいは影響力の大きい関係者の間で「犬飼降ろし」の動きがあったのではないか。投票を行なったこと自体が、その一環ではないか?
川淵委員長が最初に「続投」を「切り出した」というのも「本心」かどうか疑わしい。2年前に犬飼会長を推薦したのは前会長の川淵委員長自身だったのだから、自分から「退任」を提案するわけにはいかない。その立場上、一応、「続投案」を示した上で、他の委員の発言で退任へもっていくシナリオだったのではないか? そういうように裏を読むこともできる。
(7月25日、東京・JFAハウス)
◇「健康上の理由」ではない
日本サッカー協会の犬飼基昭会長が1期2年で退任したのは意外なニュースだった。2期4年務めるものと思われていたからである。
退任が正式に決まった日にNHKテレビのニュースを見たら「健康上の理由で退任」とアナウンサーが言っていた。「本当かね」と、ぼくは疑った。翌朝の新聞をみると、やはりニュアンスが違う。
犬飼会長は役員交代の一連の会議に出席せず「重責を全うするための気力、体力を維持できない」という本人のあいさつ文が記者会見の席で配られた。田嶋専務理事は、犬飼会長欠席の事情を質問され「理由は聞いていないが」としながら「疲れ、体調不良」と説明した。「健康上の理由」というのは、欠席した理由についての田嶋専務理事の弁明に過ぎない。
犬飼会長が「やる気満々」だったことについては、多くの人の証言がある。「無理やり退任させられた」のが真相だろう。
◇朝日の伝えた推薦委員会の内幕
この人事についての報道では、朝日新聞が先行していた。
7月25日の理事・評議員会が開かれる前に24日付朝刊一面で報じ、そのなかで25人の理事による郵送による信任投票が行われていたことを特報している。信任投票はワールドカップ開幕前、つまり6月上旬までに行われていたという。
朝日は、さらに、7月27日付朝刊スポーツ面に潮智史・編集委員の解説記事を掲載している。理事・評議員会に先立って7月22日に開かれた「次期役員候補推薦委員会」の内幕を伝えたものである。推薦委員会の内容や投票結果は公表されていないのだが、潮記者が探り出して書いたわけである。
委員会で明らかにされた信任投票の結果では「犬飼前会長への投票はぎりぎり過半数にとどまった」という。また、推薦委員会では委員長の川淵三郎・名誉会長が「犬飼続投」を切り出したとも書いている。信任投票でぎりぎりながら過半数を得、委員長が提案しながら、続投を否決したのだろうか?
◇「犬飼降ろし」のシナリオ?
朝日新聞の記事は事実だろう。けれど額面どおりには受け取れない。
理事の信任投票は中身が問題である。朝日の潮記者の記事では、信任は「ぎりぎり過半数」としている。「ぎりぎり」であっても過半数を得たのだったら、協会の中枢で役職を担っている役員が支持しているのであれば続投できたはずである。
内実はその逆で、協会の主要役員あるいは影響力の大きい関係者の間で「犬飼降ろし」の動きがあったのではないか。投票を行なったこと自体が、その一環ではないか?
川淵委員長が最初に「続投」を「切り出した」というのも「本心」かどうか疑わしい。2年前に犬飼会長を推薦したのは前会長の川淵委員長自身だったのだから、自分から「退任」を提案するわけにはいかない。その立場上、一応、「続投案」を示した上で、他の委員の発言で退任へもっていくシナリオだったのではないか? そういうように裏を読むこともできる。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
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田島氏が、いずれ会長になるのでしょうか?
犬飼氏の無念を思うと、涙が止まりません。