サッカー日誌 / 2008年10月16日


個性を育てる放任と教育


土持功コーチのお話から
(10月10日、東京ヴェルディのビバ講座)

★河野広貴を育てる
 「よみうり・日本テレビ文化センター新宿」で開いている「東京ヴェルディのビバ!サッカー講座」第2期第2回の講師に「ヴェルディSS相模原」の土持功監督を招いた。東京ヴェルディの河野広貴を育てたコーチである。
 河野広貴は18歳、前年U-17の日本代表に選ばれ、ヴェルディのユースから一軍にあがった。年季の入ったファンからは「読売っぽいプレーヤーだ」と評価されている。ヴェルディの前身「読売クラブ」が1980年代に生み出したプレーヤーに似た雰囲気を持っているという意味だろう。
 「わくわくさせるテクニックを持っている」「激しさがある」「勝負にこだわる」。この三つが「読売っぽさでしょう」と土持さんは言う。土持コーチ自身、読売クラブ創設の1968年に読売クラブのユースに入ったプレーヤーだった。

★「読売っぽい」プレーヤー
 個性が強いのも「読売っぽい」プレーヤーの特徴だった。小見幸隆、戸塚哲也、都並敏史、松木安太郎などクラブ育ちで日本代表になった選手たちである。ドリブルにせよ、タックルにせよ、シュートにせよ、自分の得意なテクニックを持ち、それを遠慮なくフィールド上で発揮した。当時、日本のサッカーの主力だった学校育ちの選手たちは、よくいえば優等生で、悪く言えば型にはまっていた。そのなかで異色の顔触れだった。
 河野広貴は果敢にドリブルを仕掛け、勝負を挑む。それが1980年代の読売クラブの個性派を思い出させる。
 どのようにして、新しい個性派を育てることができたのか? 土持さんは言う。「中学3年までの子に、基本的には、教えない。自分でやれ、ですよ。得意わざが一つできればいい。いろんなことを教えたりはしない」。極端に言えば放任主義である。

★挨拶は教える
 勝手にやらせるだけで教育はしないのか?
「子どもたち同士の試合のなかに入って、足技で抜いたり、ドリブルをタックルで止めたりする。子どもたちは悔しがってムキになって立ち向かってくる。そんなふうですよ」
 挨拶だけは教えるそうだ。グラウンドのなかで練習や試合の前後に並んで挨拶するのに、町で出会ったときは満足に挨拶できない者が多い。顔見知りの先輩やコーチや友だちに会ったら、笑顔で「こんにちは」と自分から大きな声を出せるようでなくてはならない。グラウンドの中だけ積極的で世の中に出て引っこみ思案では個性も本物ではない。
 1か月前のドイツ・ツアーで「ボーフム」のクラブを見学したとき、プロの選手たちが、見知らぬぼくたちと目が合うと、向こうから「グーテンターク」と声をかけてくれたのを思い出した。

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