サッカー日誌 / 2008年10月14日


ユース育成は成果を上げていない


古沼貞雄先生のお話から
(9月26日、東京ヴェルディのビバ講座)

★ユース代表出身が少ない
 毎月2回、第二、第四金曜日の夜に東京の「よみうり・日本テレビ文化センター新宿」で、東京ヴェルディに協力してもらって「ビバ!サッカー講座」を開いている。9月26日には、古沼貞雄さんを招いてお話を聞いた。
 古沼さんは帝京高の監督として高校サッカーで大きな業績を残し、現在ヴェルディのユース育成アドバイザーをしている。だからユース年代の選手育成については高校の状況も、クラブの実情もよくご存じである。
 いろいろなお話をうかがったなかで、とくに興味深かったのは「日本代表にクラブ・ユース出身が少ない」という指摘だった。ワールドカップ予選を戦っている岡田監督の日本代表先発メンバーでも、U-23の北京オリンピック代表でも、Jリーグ・クラブのユース出身は少ない。多くは高校、大学で育った選手だということである。

★協会の育成は成功していない
 「日本サッカー協会の若手育成が成功していない」という指摘もあった。U-15日本代表の合宿を見に行ったときの感想である。
 「練習を始めたときは、こんな練習のやり方でいいのか」と思ったという。長年、高校生を指導してきた目から見ると、練習方法にもの足りないものがあったのだろう。
 「でも、あとで紅白試合をしたのを見て驚いた。選手たちはみな、すばらしく巧い。高校で、こんないい選手を集められたことはない」
 つまり、いい素材を選抜しているのだが、サッカー協会のコーチの指導はよくないということである。
 協会の指導者は、高いレベルのコーチ研修を受けて理論武装はしているのだろうが、高校年代の若者を扱う経験は足りないのかもしれない。

★「集中育成策」の誤り
 古沼さんのお話を聞いて、いわゆる「トレセン方式」は実を結んでいないのではないかと考えた。
U-15, U-18の代表選手が、上の年代の代表チームに順調に上がって来ていないのであれば、協会の「集中育成策」は失敗だと言えるだろう。
 協会による「集中育成」は弊害を伴う。優秀な指導者がいないと集めた英才をみなつぶしてしまう。あるいは同じタイプの選手ばかり育って個性が伸びない恐れがある。
 ぼくの考えでは、各地のクラブによる「分散育成」のほうが望ましい。各クラブが競争すれば指導が多様化し、コーチのレベルが上がる。英才が全部つぶされる可能性は少なくなる。そう考えていたのだが、クラブ・ユースからも、いい選手が出てこないのであれば、コーチの「集中養成」である指導者資格制度に問題があるのかもしれない。

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