サッカー日誌 / 2010年10月24日


ソウルの韓日戦から(下)


試合の流れを読むこと

韓国 0-0 日本
(10月12日 ソウル・W杯スタジアム)

◇ザッケローニ監督の驚き
 ソウルの韓日戦のあとの記者会見で日本代表チームのザッケローニ監督は「われわれのチームの課題は試合の流れを読むことだ」と話した。
 「縦パスだけでやるのも、横パスだけでやるのも、よくない。しっかりした状況判断をして、それに応じた戦術でプレーしなければならない」
 岡田前監督は前年までは「すばやくパスをつないで攻めることを強調し、選手たちは、そのとおりにプレーしていた。ザッケローニ監督は「ボールを奪ったら、まず前線へ出すことを考えよう」と言い、選手たちは忠実にそれに従っていた。
 ザッケローニ監督は、日本のトップの選手たちが素直に監督の言葉を守ってプレーすることに驚いたのかもしれない。横パスが多すぎる傾向を、ちょっと是正しようとアドバイスをしたら、今度は速攻狙いばかりになったと感じたのではないか?

◇速攻と遅攻の使い分け
 ザッケローニ監督の話は「もっともだ」と思った。ぼくが試合を見ながら考えていたことと似ていたからである。
 ソウルでの試合で、日本はパスをつなぐサッカーを、まったくしなかったわけではない。まず縦へ出そうとしたが、韓国のはやい出足ときびしい詰めにあって攻めきれなかった。そのために、後ろでパスをつないで攻めを立て直す場面が、かなりあった。ただし、これは相手に追い詰められて、やむなくパス回しをしているので、自主的に状況判断をして攻めを組み立てるのとは違う。
 一方、韓国側は、ほとんど前へ放り込む攻めで、ゆっくりパスをつなぐ場面は、あまりなかった。
 状況に応じた「速攻と遅攻の使い分け」は、ともに得意ではないようだ。

◇勝負どころを見つける力
 後半が始まってから間もなく、韓国の攻勢が10分余り続いた時間帯があった。日本のクリアを拾った後方からの放り込みをきっかけに揺さぶり、ゴール前でヘディング・シュートを2本連発した場面があり、また、左隅近くのフリーキックからのチャンスにヘディング・シュート、ゴールキーパー西川がこぼし、長友が辛うじて蹴り出した場面があった。
 この時間帯に、韓国の選手たちは、流れが自分たちに来たのを読んで、ほとんど全員が
攻めの姿勢で前がかりになっていた。逆襲で裏をとられる危険はあっても、チャンスには畳みかけるように攻め続ける。これも勝負の勘所である。
 全力で90分間、動き続ける。そういうサッカーが日本では評価されがちである。しかし流れを読んで勝負どころを見つける力が、勝つためには必要だ。その点では、日本のほうが劣っている。後半はじめの時間帯に、そのことを考えていた。

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