サッカー日誌 / 2008年09月04日


子どものサッカーについての大演説


クラマーさんへの感謝の旅(3)
8月28日(木)夜 ライト・イム・ヴィンクル


★クラマーさんがホテルへ
 デュッセルドルフ空港からミュンヘンへ飛んで、ミュンヘンから貸切バスでクラマーさんの住むライト・イム・ヴィンクルへ。ザルツブルクへ向かうハイウエーを飛ばし、キムゼー湖のほとりから南へアルプスの山のほうに入る。オーストリアの国境のすぐそばまで、ミュンヘンからバスで約2時間。夏は避暑と観光、冬はスキーのリゾート地である。
 午後8時過ぎ、宿舎のビルクホフに着いたら間もなくクラマーさんが訪ねてきた。クラマーさんの自宅はここから歩いて4~5分だという。
 ここは中条一雄さんが、クラマーさん取材のために、過去10年間に3度、それぞれ1週間ずつ滞在したホテルである。その膨大なインタビューをもとに『デットマール・クラマー、日本サッカー改革論』(ベースボール・マガジン社刊)ができた。その本を持って中条さんとビバ!サッカー研究会の有志が、ツアーを組んで訪れたわけだ。
 
★幼児期の扱いの重要性
 ツアーの一行が夕食をとっているのに付き合って、クラマーさんは赤ワインのグラスを前において、いろいろな話をしてくれた。
 クラマーさんは、もともと話好きだが、最近はますます話が長くなっている。食事が終わりに近づいたころ、仲間の一人が「子どもたちにサッカーを教えるには、どういうことが必要か」と質問したら、クラマーさんの長広舌に火がついた。
 大事な、示唆に富む内容だったが、ここで詳しくは紹介しきれない。
 ポイントは、からだと脳の発達の段階に応じてテクニックや判断力を伸ばしていかなければならないということである。テクニックを身につけさせるには、少年期、つまり6歳から12歳くらいまでが重要な段階である。それに加えて、最近では3歳から5歳くらいまでの幼児期の扱いが注目されている。

★5歳児がシュートに興味
 いろいろな事例が出てきたなかで、クラマーさんのご子息が5歳くらいだったときの例がおもしろかった。
 小さなコートに小さなゴールを2つ置いて、小さなボールを与えた。すると子どもは、近くにあるゴール目がけてシュートした。右にあるゴールでも、左にあるゴールでも区別がない。その話を聞いて、幼児は敵味方で争うことを知る前にゲームそのものの面白さを見よう見まねで覚えるのではないかと思った。必要なのは、やり方を教え込むことではなく、幼児が興味を持って行動する環境を作ってやることではないだろうか?
 そういう話を、ときには椅子から立ち上がって、身振り手振りをまじえながら、1時間以上も続けた。クラマーさんのただ一人のご子息は数学の先生だったが、昨年(2007年)病気で亡くなった。その寂しさが、お話をますます長くさせているようだ。

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