ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




蜷川家具店(現・素顔屋)。千葉県香取市佐原イ33396。2003(平成15)年7月20日

蜷川(にながわ)家具店は香取街道の忠敬通りの「佐原町並み交流館(佐原三菱館)」の向かい側にある。通り沿いには3棟の家が並んでいるのだが、右の洋風看板建築の家について言及されるのが普通である。大正初期に家具の製造販売の店として開業した。商売の発展に従って増築していったのだろうか。今は日本家屋のほうで「素顔屋(すっぴんや)」という和洋装品や小間物を並べた店を開業している。看板建築の家で家具店も続けているらしい。
素顔屋(すっぴんや)』には「明治後期と大正期にそれぞれ建てられた切妻平入りと、大正10年(1921)築の切妻妻入り洋風造りの3棟で営業いたしております」とあるから、出桁造りの2棟は明治後期と大正期に建てられたもので、その奥が家具の製作所になっていたのだろう。
写真では3棟とも家具が置かれている。




蜷川家具店。香取市佐原イ33396
2003(平成15)年7月20日

千葉県近代建造物実態調査報告書>40 蜷川家具店』によると、昭和5・6年の竣工、設計・施工者は不明、構造は木造2階建、切妻造瓦葺、外壁はモルタル塗りなどとある。ファサード上部の構成が小倉時計店〔昭和2年築、設計施工=大堀(大工)〕に酷似していて、影響を受けたのだろうという。『日本近代建築総覧』では施工者を「地元大工」としている。また、素顔屋のHPでは大正10年(1921)に建てられたとしているので、建物自体は大正10年で、昭和5・6年に正面を洋風に改装したのかもしれない。
佐原の町並みかわら版、第58号平成28年8月』のコラムに、最上部のアーチ型の中に書かれた屋号の「○サ」はサワラの「サ」、「一」はタンスなどの製作所が数ヶ所あったのでデパート部を一号と表示したのではないか、という当主の話が載っている。

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