ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




狸湯。墨田区墨田2-21。2019(平成31)年3月2日

当ブログ前回の通りからちょっと西へ引っ込んだ位置にある銭湯。下の写真の大嶋菓子店の横を入ったところが入口である。『東都よみうり>銭湯探訪』によると、大正12年に創建され、後に現オーナー(四代目)の初代に渡る、とあり、建物は戦災を免れたものという。「近くに鐘紡の大きな社宅やゴムなどの工場ができて、女湯の広い狸湯は人気が出た」というが、男は工場で風呂に入ってきてしまうため、客は女子供が多かったので女湯の方を広くして建てたようだ(『 REVIEW>2たぬき湯』)。
鐘紡の社宅というのは、戦前の地図に「鐘淵紡績会社住宅地」とある、鐘ヶ淵駅の南西、墨田2-12・42にあった大きな団地と思われる。



大嶋菓子店。墨田2-21。2019(平成31)年3月2日

写真奥のマンションは「ネオコーポ墨田」(1985年築、5階建98戸)という。そのマンションが建つ前は「東京護謨製作所」の工場だった。この辺りはゴムの工場が集中していたようで、1978(昭和53)年の地図を見ると、東京護謨から東武の線路の方へ「東都ゴム製作所」「長瀬ゴム工業株式会社第一工場、第二工場」「日興ゴム工業株式会社」と並んでいる。
1962(昭和37)年に「墨東ゴム工業会」が設立されていて、その『会報No.1』の名簿には、66社が挙げられている。その住所の主なものは、隅田町、寺島町、吾嬬町東、吾嬬町西、など。
1982年3月号の会報に各社の生産品目が載っていて、東京ゴム製作所のそれは「自動車用ゴム部品、医療ゴム、医療ゴム製品、一般工業用ゴム製品」。

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