ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




大橋眼科医院。足立区千住3-31。1983(昭和58)年10月

北千住駅西口から国道4号線に向かう「きたろーど1010」という商店街にある西洋館の医院。これだけの建物だから注目される。北千住の名物建築といっていいだろう。以下、『東京建築懐古録』(読売新聞社編、読売新聞社、1988年、1600円)による。
昭和57年に建ったRC3階建ての家である。つまり上の写真は竣工して間もない頃だ。ぼくは撮影時はなにも知らなかったから古い洋館と信じて撮っている。写真右のビルは三菱信託銀行千住支店、写真左は「稲葉園(茶)、希宝軒(中華)、山崎商店、マキ靴店」の長屋(現在はマンション)だったらしい。
建て替える前は、大正6年に建った洋館の医院があったが、その家のイメージを引き継ぐように建てたものである。医院の経営者である鈴木氏は、「三角屋根のお医者さん」の家を小学生たちが並んで写生しているのを見て、自分の少年時代の西洋館への憧れを再認識したらしい。氏は昭和30年頃かららしいが、建て直すときに使おうと、取り壊される古い洋館の部品を集めることを始めた。4基の街灯は昭和通りにあったもので高さを1m縮めてある。医院の入り口の上のバルコニーは東大赤門前にあったたばこ屋のもの。集めた部品は100か所から千点以上というが、全部は使いきれないだろう。どこかにしまってあるのだろうか。
この医院で検眼なんかをした子供がディズニーランドへ行ったら、「ここはお医者さんの家なの?」と聞くのかもしれない。

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