ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




聖母美術院。文京区本郷1-1。2007(平成19)年4月7日

駿河台から神田川越しに撮った最近の写真。赤く塗られた建物の横と後ろの木立は元町公園で、その後ろには元町小学校だった建物が見える。建物の前の外堀通りがお茶の水坂で、左手の水道橋方向に下がっている。建物右の横丁が建部坂(たけべざか)。本郷1丁目と2丁目の境である。江戸時代には元町公園と小学校の地は旗本建部氏の屋敷があったという。
正面中央の玄関上に「財団法人聖母美術院」の文字がある建物は「聖母美術院ビル」というらしい。聖母美術院は文化庁が所轄する特例民法法人で、「美術に関する調査研究を行うと共にその普及を図る」のが目的だそうだがHPでは実績が分からず、実態が分からない。なぜ「聖母」なのだろう? ぼくは今まで、美術教室のようなところと思っていた。
建物は入り口上部のアーチの飾りや壁と一体になった窓の庇などで、かなり古いものに見える。形と色で、小石川植物園にある旧東京医学校本館(1877(明治10)年)が思い浮かぶ。

左:1988(昭和63)年10月14日、右:2000(平成12)年11月23日

1986年の住宅地図ではこの建物に「聖母美術院、お茶の水医院、トーキョー書店、アテネ書房」の記載。
建築散歩>27/本郷1・2丁目へ』では、入り口の階段が歩道に飛び出ているのに注目している。言われるまで気がつかなかったが、確かに変だ。歩道を広げたために階段が取り残されたのなら、外堀通りを整備する前からあった階段になる。まったくの空想だが、聖母美術院の設立が1923(大正12)10月30日、つまり関東大震災直後で、その建物として回りの整備が整わないうちに建ててしまったのかもしれない。元町公園を造るときにはこの建物をどかすのも大変なので、よけて造園されたとすれば、建物の立地も説明できそうなのだが。

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