ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




海老原歯科医院。文京区本郷6-15。1986(昭和61)年5月

旧森川町の六叉路(五叉路としているサイトも多い)の角にあった元歯科医院の家。写真右奥への道が本郷館への、左奥への道が清水橋へ行く。『日本近代建築総覧』には「海老原進邸(旧海老原歯科)、M41、施工:吉井某」となっている。
『下町残照』(村岡秀夫著、朝日新聞社刊、1988年)によると、海老原進氏の父が明治42頃に開業したと進氏が語っているから、開業時に建てた家らしい。進氏は夏目漱石夫人や徳田秋声が治療に来たと聞いている。当書には内部の写真が2枚載っていて、その説明によると診療室と待合室は2階である。「夏目漱石を訪ねる カメラ散歩>第4回」でその写真を見ることができる。外観は明治期の小学校などに見られる和風屋根に下見板の洋館で、明治末に建てられたものだから驚く。そういえばこの辺りには本郷館を初めとして棚沢書店、旧大西質店、徳田秋声旧居宅などの明治期に建てられた家がいまだに見られる。歯科医院は昭和50年代末には廃業したという。


1988(昭和63)年2月21日

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