宇宙戦艦三笠・47
[小惑星ピレウス・4]
[小惑星ピレウス・4]

同じジャングルのいくらも離れていないところにテキサスは着陸していた。
「こんな近くで、どうして探知できなかったんだろう?」
「こんな近くで、どうして探知できなかったんだろう?」
クレアが、半ば不服そうに言った。
「三笠の倍の航路をとって、惑星直列になるのを待ってピレウスに来たの。三笠程じゃないけど、レイマ姫が時間をかけてステルスにしてくれたから」
「他のアメリカ艦隊は?」
修一が艦長として聞くと、ジェーンは視線を修一に向けたまま言った。
「敵と大規模な戦闘になることが避けられないので、戦略的に撤退したの。で、テキサスだけが大回りしてピレウスに着陸、三笠と連携して作戦行動をとるの。日本とは集団的自衛権を互いに認め合っているから、合理的な判断よ」
「ハハ、アメリカ人が自信満々で言う時は、どこかに嘘か無理があるんだよな。要はアメリカが全面撤退した中で、ジェーンはオレタチとの義理のために単独行動しているってことじゃないの?」
「違う! 義理じゃなくて友情よ。作戦行動計画も正式なもの」
アメリカにとっては正式かもしれないが、日本代表たる三笠には何も知らされていない。しかし、ジェーンの友情には変わりのないことだろう。修一は、それ以上このことに触れるのはよした。なによりも、地球寒冷化装置を独り占めにしないで三笠を待っていてくれたのだから。
「一つ分かんないことがあるんだけど」
樟葉が儀礼的な微笑みのまま聞いた。
「ピレウスは、グリンヘルドとシュトルハーヘンと同じ恒星系にあるのに、どうしてグリンヘルドもシュトルハーヘンも、この星への移住を考えないの。地球にくる何百倍もお手軽なのに」
ジェーンは沈黙し、レイマ姫は静かに息を吸ってから、こう言った。
「話をするよりも、実物を見てもらったほうがいいべ。こっちさきてけんにか」
テキサスを出ると、直ぐ近くになんの変哲もない岩が苔むしていた。
「この岩?」
「ここが入口だす」
「他のアメリカ艦隊は?」
修一が艦長として聞くと、ジェーンは視線を修一に向けたまま言った。
「敵と大規模な戦闘になることが避けられないので、戦略的に撤退したの。で、テキサスだけが大回りしてピレウスに着陸、三笠と連携して作戦行動をとるの。日本とは集団的自衛権を互いに認め合っているから、合理的な判断よ」
「ハハ、アメリカ人が自信満々で言う時は、どこかに嘘か無理があるんだよな。要はアメリカが全面撤退した中で、ジェーンはオレタチとの義理のために単独行動しているってことじゃないの?」
「違う! 義理じゃなくて友情よ。作戦行動計画も正式なもの」
アメリカにとっては正式かもしれないが、日本代表たる三笠には何も知らされていない。しかし、ジェーンの友情には変わりのないことだろう。修一は、それ以上このことに触れるのはよした。なによりも、地球寒冷化装置を独り占めにしないで三笠を待っていてくれたのだから。
「一つ分かんないことがあるんだけど」
樟葉が儀礼的な微笑みのまま聞いた。
「ピレウスは、グリンヘルドとシュトルハーヘンと同じ恒星系にあるのに、どうしてグリンヘルドもシュトルハーヘンも、この星への移住を考えないの。地球にくる何百倍もお手軽なのに」
ジェーンは沈黙し、レイマ姫は静かに息を吸ってから、こう言った。
「話をするよりも、実物を見てもらったほうがいいべ。こっちさきてけんにか」
テキサスを出ると、直ぐ近くになんの変哲もない岩が苔むしていた。
「この岩?」
「ここが入口だす」
一瞬目の前が白くなったかと思うと、目の前に長い廊下が現れた。
歩くにしたがって、様々な大きさのクリスタルが廊下の両側に並んでいるのが分かった。
クリスタルの中身は、すぐそばまで行かなければ見えない仕掛けになっていて、好奇心の強い美奈穂が先頭に歩いていたが、見た順に美奈穂は悲鳴を上げ、他の面々も、怖気をふるった。
「……これは人工生命の失敗作ですね」
クレア一人が冷静に見抜いた。
「んだ……ピレウス人の遺体から採取したDNAを操作して、いろいろ作ったんだども、みんな魔物みたくなっちまっで……納得したら、あんまし見ねえ方がええだす」
「人間らしいものもあるけど……?」
気丈な樟葉は、その先のクリスタルを見て言った。
「それは、ピレウスの調査に来たグリンヘルドとシュトルハーヘンの人たちだす。ピレウスに来るど、三日と命がもたねえんだす」
「それで、あいつらはピレウスには手を出さないのか」
「昔のピレウス人の最終戦争で使われたのが、この結果だす。みんなDNAに異常をきたして死ぬか魔物になっでしまうんだす」
グリンヘルド、シュトルハーヘン、ピレウスの秘密に愕然とする三笠のクルーたちだった。
「あ……ということは!?」
歩くにしたがって、様々な大きさのクリスタルが廊下の両側に並んでいるのが分かった。
クリスタルの中身は、すぐそばまで行かなければ見えない仕掛けになっていて、好奇心の強い美奈穂が先頭に歩いていたが、見た順に美奈穂は悲鳴を上げ、他の面々も、怖気をふるった。
「……これは人工生命の失敗作ですね」
クレア一人が冷静に見抜いた。
「んだ……ピレウス人の遺体から採取したDNAを操作して、いろいろ作ったんだども、みんな魔物みたくなっちまっで……納得したら、あんまし見ねえ方がええだす」
「人間らしいものもあるけど……?」
気丈な樟葉は、その先のクリスタルを見て言った。
「それは、ピレウスの調査に来たグリンヘルドとシュトルハーヘンの人たちだす。ピレウスに来るど、三日と命がもたねえんだす」
「それで、あいつらはピレウスには手を出さないのか」
「昔のピレウス人の最終戦争で使われたのが、この結果だす。みんなDNAに異常をきたして死ぬか魔物になっでしまうんだす」
グリンヘルド、シュトルハーヘン、ピレウスの秘密に愕然とする三笠のクルーたちだった。
「あ……ということは!?」
トシが声をあげた。同じ思いはみんなの心の中で湧きあがった……。