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大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

小悪魔マユの魔法日記・50『フェアリーテール・24』

2019-10-01 06:26:34 | 小説5
小悪魔マユの魔法日記・50
『フェアリーテール・24』   


 
 ライオンが口をきいた……!!

「キャー、ライオン!」
 ミファが驚いた。
「ウワー……!」
 ライオンも驚いて、叫び声をあげ、「く」の字の奥の方へ逃げていってしまった。
「大丈夫だって! この子たちは、キミを助けに来てくれたんだよー!」

「ほんと……?」
「ほんと」
「ほんとに、ほんと……?」
「ほんとに、ほんと……だってば!」
「ウワー……怒鳴らないでよ」

 ライオンは、おそるおそる「く」の字の角から顔を出した。

「わたし、このジョルジュの友だちのミファ……」
「わたしは……二人の友だちのマユ」

「……どうも、ボクは、ライオン」
「でも、なんだか元気のないライオンさんね」
「ど、どうも……ボク頭はいいんだけど、勇気が無くて」
「入り口に、あんな仕掛けしたのキミ?」
 ジョルジュが、あきれたように聞いた。
「ああ、奥の方に別の出口があってね、入り口を塞いで、侵入者が驚いているうちに逃げだそうと思って」
「そうとうの怖がりんぼね」
「サンチャゴじいちゃんのライオンとは、かなり違うみたいね」
「え、ボクの他にライオンがいるの?」
「あ、おじいちゃんの夢の中にね」
「うらやましいね、夢がみられるほど眠れて」
「眠れないの、ライオンさん?」
「うん、いろいろ心配やら、怖いことが、頭に浮かんでくるんだ」
「羊の数でも数えればいいのに」
「だめだよ。だって羊が怖いんだもん」
「なんで、こんなライオンさんに関わったの?」
 ミファが、腕組みをした。
「だって、最初に会ったときは、こんなじゃなかったんだもん」
「あのときは、ハングライダーで降りてきたばかりで、テンションが高かったから」
「ハングライダーでやって来たの?」
「うん、たたんで奥の方に隠してある」
「……で、どういうわけでここに来たの?」
 
 マユが、肝心なことを聞いた。

「レミが、ここへ来るように教えてくれたんだ」
「レミが……?」
 マユは悪い予感がした。そもそもレミは、このファンタジーの世界のゴタゴタにマユを巻き込んだ張本人だ。
「レミが、ここに来れば、助けてくれる魔法使いがいるって」
「魔法使いって……」
「北の魔女のブリンダより優しくって、オズの魔法使い……ほど強くはないけど、力になってくれる女の魔法使いがいるって」
 ミファが、ゆっくりとマユの顔を見た。
「それって、ひょっとしてマユのことじゃない……?」
「いいかげんにしてよ。いま、サンチャゴじいちゃんの件かたづけたとこだよ。だいいち、わたしは魔法使いじゃないし」
「似たようなもんじゃない……」

 というわけで、今度は、ストローハットをかわいい飛行機にして空を飛んでいる。

 ライオンのハングライダーでは、二人は飛べないから。
 なんの用事かは、ライオンは言ってくれなかった。
「来てくれれば分かる」
 その一言で行く……ほど、マユは、お人好しではない。
「いいかげんに……」という言葉が口をついて、「してちょうだい!」という、残り半分の言葉が頭に浮かんだとたん、久々にカチューシャに頭を締めつけられたからなのだ。

 やがて、飛行機は黄色い道を見つけ、その道に沿って、低く飛んだ。
 そして、ポピー畑の真ん中で眠っている女の子を見つけた。

「どこかで、見たような……」
 そう思いながら、マユは、飛行機を、ポピー畑の側の黄色い道に着陸させた。
 飛行機を降りて、その眠っている子を見て気がついた……。


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