千引岩(ちびきのいわ)を挟んでイザナギとイザナミの言い合いになります。
元夫婦の神さまの言い合いなので、ただの悪態のぶつけ合いではすみません。
「このヘタレのイザナギ! こうなったら、あんたの国の人間を一日1000人ずつ殺してやるからね!!」
「な、なにをぬかす! それならなーーー! オレはがんばって、毎日1500人ずつ子どもを作っちゃうんからな!!」
この言い合いの結果、人間の世界では1500-1000=500で、毎日500人ずつ人口が増えることになりました。
そして、この 千引岩(ちびきのいわ)は島根県東出雲町に残っています。
島根県は古代の昔は、大和勢力に対抗していた出雲勢力の中心で、今でも神話の故郷であります。
『怪談』を書いたラフカディオハーンを魅了し、小泉八雲として日本に帰化させたほどに魅力に満ちた地方です。宍道湖を中心とするあたりはUFOが頻繁に見受けられ、現代においても楽しい謎とおとぎ話に溢れていますが、大国主命などで触れることになりますので、ここでは深入りしないことにいたします。
イザナギは言い合いに勝利して、人類をイザナギの呪いによる滅亡から救った後、筑紫の国(福岡県)に向かいました。
「あーー、きったねえ! 黄泉の国になんか行くから、あっちこっち穢れてしまって、かなわねー!」
橘の小門のアハギ原(タチバナノオドノアハギハラ)というところで、身ぐるみ脱いで清めます。アハギ原は福岡市博多区住吉の住吉神社付近の他に宮崎市塩路と鹿児島県曽於市末吉町の説がありますが、いずれも住吉神社に関係があります。住吉神社については改めて触れることがあると思います。
でもって、脱いだ服やら杖やらから、いろんな神さまが生まれますが、煩わしいので省略します(^_^;)。これらの神さまは、このあと生まれてくる大事な三人の神さまの露払いであります。分かりやすく言うと、真打が出てくる前の前座、紅白歌合戦のの前半に出てくる新人や初出演にあたると思えば正解です。
そうして、紅白ならオオトリの森進一や松田聖子(古いなあ(*ノωノ))にあたるのが、以下の神さまです。
イザナギが左の目を洗うと現れたのが天照大神(あまてらすおおみかみ) 右の目を洗った時に現れたのが月讀命(つくよみのみこと) 鼻を洗った時に(いささか汚いですが、ウンチやオシッコからも生まれる神さまがいるので、ま、良しとしましょう)建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)であります。天照大神が左目から生まれたのは意味があります。日本では古くから左が上位とされてきたことの現れです。右大臣より左大臣が上位ですし、明治の途中まで雛祭りの男雛は左側に飾っていました。
イザナギはアマテラスに天上の世界を、ツクヨミに月を象徴とする夜の世界を治めさせます。
「じゃ、スサノオ……」
スサノオの方を向くと、男の子のくせにビービーと泣いてばかりです。
「これはしばらく、オレの手元に置いておくしかないか」
と言って育てました。
しかし、スサノオは大の大人になって髭が伸びるようになっても泣きわめいてばかりです。
スサノオの馬力はものすごくて、スサノオが泣いただけで、地震や嵐になってしまいます。
「こりゃ、なんとかしなきゃ、どーにもならないなあ」
「そうだ!」
イザナギはいいことを思いつきました!