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大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

銀河太平記・212『先生のドッグタグ』

2024-03-27 16:19:14 | 小説4
・212

『先生のドッグタグ』ダッシュ 




 シュビィーン! ズズーン! ドゴゴーン! ダダダダ! ビビビビ! 

 パルス弾、実体弾、レーザー、ミサイル、ドローン、新旧様々な弾やエネルーギー波が飛び交う中で、壮絶な戦闘が繰り広げられている。


 静かの海は、月面の中では最も広く平坦な地面が広がっているところだ。それが静かに凪いだ海を思わせるところから古くから静かの海と呼ばれてきた。

 月は火星に先立つこと80年、21世紀の後半から開拓が進められてきた。

 南極条約に準じて、ベース以外では領土を設定しないことになっていたが、豊富な地下資源を目の前にして、紳士協定でしかない月面開発協約は空文化していた。
 各国は基地の概念を、それぞれのベースが置かれているクレーター全域に拡大し、月面の半分は事実上分割されていた。アメリカや漢明は50以上のクレーターを自国領にしている。扶桑幕府も遠慮がちにだが、パスカルやピタゴラスなど大小八つのクレーターを天領として保有してきた。

 クレーターは隕石の衝突によって形成されるが、衝突の衝撃で地層が攪拌され、鉱物資源が露頭していたり、地表近くに現れて採取や採掘が容易なんだ。

 しかし、静かの海とかの平坦地は、地下深くに資源が潜ったままで、21世紀の海底資源のように採掘が難しい。

 そこで、火星に比べて開発面積の狭い月面の状況を鑑み、日本のK首相が声高らかに『異次元の月面開発!』を提言したのが四半世紀前。

「大規模な共同事業で、月面開発の新時代を開こう!」

 月面有数の平坦地である静かの海は、地下資源は地中深くにあって、開発コストが高くつくため、各国ともに進出も開発も控えてきた。

 K首相は21世紀中葉、深海域に分布していたメタンハイドレードや石油の開発に成功し、一躍日本を資源輸出国に押し上げたように、資源革命を月で行おうとしたのだ。 

 K首相は、この月面最大の平坦地を共同開発することによって、地球では夢物語に終わったグローバリズムの世界を実現しようと提言し、地球各国の資本、技術、労働力を集約する旗頭になった。

『静かの海はうさぎの顔にあたります。みんなで力を合わせ、うさぎを笑顔にして美味しいお餅をつきましょう(^▽^)/』

 日本のスローガンを3Dホログラムにして全世界に広め、一応の事業計画はたった。

 みんなも知っていると思うんだが、静かの海がうさぎの顔に見えるのは日本だけだ。

 ヨーロッパやアメリカではカニの鋏だし、中東ではライオンの腰に見えている。

 誤解や曲解、思惑違いや思い違い、それに文化や宗教の違いに経済感覚の違い、互いに他力本願で他罰的な理想主義がぶつかるのは目に見えていた。

 実際、開発は資金や技術開示の問題、小さなところでは試掘プラントでの待遇や、食事メニューのもめ事で行き詰ってしまった。

 百年、二百年前の地球なら、全責任を日本に押し付けて撤退しておしまいになる。底意地の悪い一部の国は謝罪と賠償を要求したかもしれない。

 しかし、なまじ日本だけが本気で取り組んだために、技術的な見通しだけはついてしまった。

 各国は、事業からは撤退しながらも、将来の可能性に掛けて静かの海の部分的領有権や採掘権を主張し、20年前に壮絶な『静かの海戦争(日本では事変と矮小化して呼ぶ)』を引き起こしたんだ。


 その戦争の真っただ中に、姉崎先生は日本の開発区を守るための傭兵として、地を這うような戦いの中に居た。

 シュビィーン! ズズーン! ドゴゴーン! ダダダダ! ビビビビ! ドゴゴーン! ダダダダ! ビビビビ! シュビィーン! ズズーン! ドゴゴーン! ダダダダ! ビビビビ!

 パルス弾や実体弾が飛び交う中、俺たちが知っているよりもいくぶん若く、小気味よく駆けていく先生。

「すごい、ジャンプでパルス弾避けた!」

 ピシュンピシュン! ズズーーン!

「え、アサルトで実体弾破壊した!」

 いくぶん義体化はしているんだろうけど、その落ち着きと戦闘力は、軍警の俺が見ても超人的だ。

 ダダダダダ

 実体銃の射撃を受け、ジャンプと前転を繰り返して弾を避ける!

 え?

 ちょっとした違和感を感じてモニターを停める。

「え、どうかした?」

 ミクが二つ目のお握りに伸ばす手を停めた。

 数コマ戻して、先生の胸元をアップにする。

「おい、これを見ろ……」

 胸元で揺れているドッグタグを拡大する。

「え、なんで……」

 先生のドッグタグには『姉崎すみれ』というミスマッチだが慣れ親しんだ名前ではなく『山野勘十郎』という、見かけにはピッタリの、しかし、俺たちには馴染みのない名前が彫られていた。

 

☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
 
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銀河太平記・211『姉崎先生の死』

2024-03-23 09:57:05 | 小説4
・211

『姉崎先生の死』ミク 




「先生」「姉崎先生」


 額づいた姉崎先生に声をかける。

 ちょっと緊張する。在学中、こちらから声をかけるのは呼び出されて叱られる時ばかりだったので、こういうシチエ―ションでは条件反射で緊張が先に立つ。

 八年ぶりの後姿はピクリと動いたかと思うと、振り向くことなく、そのまま横倒しになった。

 ドサ

「「先生!」」

 仰向けになった髭面には生気がない!

 直感で、命の火が消えかかっているのが分かる。

 すぐに呼吸と脈拍を調べる。

「どうだ?」

「バイタルが弱い、めちゃくちゃ弱い!」

「救急要請するぞ!」

 ダッシュがハンベに呼びかけようとすると、先生の髭がピクリと動いた。

「懐かしいなあ二人ともぉ……」

「喋っちゃいけません、いま、救急車を呼びますから。取りあえず、酸素吸ってください」

 バッグから非番の時でも持っている携帯酸素吸入器を出す。

「……ムグ」

 吸入器を加えさせると、先生は救急要請をしようとしているダッシュの手を掴んだ。

「先生?」

 先生は声を出さずに自分の頭を示した。ハンベで脳波会話しろという意味だ。

――すまん……もう会話する力もない――

 すぐにハンベは、先生の意志を音声化したが、後が続かない。

 それでもハンベは先生の脳との会話をやめず、ダッシュも救急要請をやめず、病院に着いて脳死判定されるまで続いた。


 先生の頭脳の七割は人工頭脳だったことが検死で分かった。


 二十三世紀の今日、ロボットと人間の境目は曖昧だ。臓器や筋肉以外でも、脳機能の一部を機械に置き換えることは前世紀から行われている。人とロボットの差は『ソウルがあるかないか』というのが基準だけど、論理的にはロボットの人工頭脳に人のソウルを移植することも可能だと言われ、現に、日本の児玉元帥と漢明の劉宏大統領の先例がある。

 先生の頭脳とハンベは脳死判定されるまで繋いでおいたから、かなりの記憶や情報がリンクしている養生所のサーバーに保存された。

 マッパ病のリスクがあるので、先生の遺体はパルス波で火葬にされた。

 遺骨を届ける親族を探さなければならなかったし、先生も最後に言い残すことがある様子だったので、半ば公務として先生の記憶を再現した。公務扱いなので、軍警のダッシュも任務として付き添ってくれる。

「なにか分かったのか?」

「うん、ここ見て」

 朝ごはんのお握りをパクつきながらモニターのスイッチを入れる。

 静かの海と思われる戦場、実体弾やレーザー、パルス波が飛び交い、そこここで炸裂、それを避けながら前進だか後退だかしている兵士。兵士のボディーカメラの映像、激しく揺れて、めちゃくちゃ見にくい。

「三人称視点にならないのか?」

「ああ、メカに弱いもんだから(^_^;)」

「ちょっと触るぞ……」

「おお、さすが軍警!」

「変換すると裁判とかの公的資料にはならないが、大づかみするにはこのほうがいい」

 ああ、そうだろうね。大昔のゲームは早い時期に一人称視点は廃れてしまう。疲れるし酔っちゃうし、そのへんの感覚は二百年経っても変わらない。

 三人称視点にすると、さらに凄惨さは倍増した。

「あんまり握り飯食いながら見る景色じゃねえなあ……」

「う、うん……」

 二個目のお握りはラップも解かずに袋に戻して続きを見た……。

 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
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銀河太平記・210『共同墓地』

2024-03-18 13:58:12 | 小説4
・210

『共同墓地』ミク 




 ちょっと息をのんだ。


 開拓初期に堀りつくした地下鉱山が史跡東京ドームほどの空洞になっていて、その空洞が丸ごと墓地になっている。

 印象は高校の修学旅行で傍を通った青山墓地。青々とした林の中に古色蒼然とした和式の墓石が並んでいる。

 医者であるわたしは基本的には生きた人間しか相手にしない。死者と関わるのは、検死で立ち会う、たいていはなりたてホヤホヤの死者。その先の葬儀や埋葬には立ち会ったことが無い。
 だから、墓地というのは今風のパルスコーティングした規格品が並んでいる無機質なイメージしかない。
 なんだけど、この共同墓地は、慎ましやかではあるけれど石でできた古典的な墓石だ。

「うわぁ、地球から持ち込んだ墓石もあるぞぉ……」

 時代劇に出てきそうな墓石には『〇〇家』とか『△△家墓地』とか彫られていて、側面には頭に『釋』『俗名』、お尻に『居士』『真女』が付いた名前が、少ないもので十数人、多いもので数十人彫られていている。

 中には没年が彫られているものもあって、そのいくつかは昭和・平成・令和があって、中には明治・大正や、教科書でしか見たことのない年号のものも混じっている。

「ひょっとして、地球から移してきたのかなあ」

「そうだろうなあ、みんな家とか血のつながりを大事にしていたんだ……」

 21世紀の終りから月や火星に移った日本人は家を大事にした。

 広い宇宙に飛び出して、自己を律すると言ったら硬いんだけど、アイデンテティーをしっかり持っていないと苦しい。

 人類とかコスモポリタンとかいう概念は括りが曖昧、大きすぎて心の拠り所にはならない。

 日本人は、心の要石として『ご先祖様』『お天道様』『天子様』を置いてきた。
 二百年前に流行ったグローバリズムやコスモポリタンという括りでは、アイデンテティーをティッシュペーパーのように薄くて脆いものにすることに気が付いたんだ。

 だから、火星に国家を立てる時に、ご先祖たちは幕府という大時代なものを作った。幕府であるからには、どこまで行っても日本の血脈であり、その最小単位である家族や一族を大切にすることに繋がる。そして、さらに、同時に宗主国の日本とは親和性を持ちながら一線を引くことができる。

 月の開拓は火星よりも早かったから、地球と一線を画すよりは、アイデンテティーの保持が大切で、ご先祖様を核とする繋がりを大事にしたんだ。それが、この青山霊園に似た墓地に現れている。

「木や草はフェイクだな、当たり前だけど」

「たとえフェイクでも、墓地に緑が必要と思う感性はいいと思う」

「お墓を探そう、案内板は……」

「あ、あそこにある」

 寄ってみるとA区画とあって、百基余りの墓所が記してあるけど姉崎というのは見当たらない。下の方には立花不動産のロゴとハンベナンバーが書かれていて、分譲や管理は不動産屋が請け負っているのが分かる。

 二つ目……三つ目……四つ目の区画で姉崎という墓所を発見、下の方を見るとあけぼの不動産、間違いない。

 林立する墓石の中ほどに、線香の煙が立ち上っている。

 もしやと踏み入ってみると、墓石に額づいている懐かしい後姿を発見した。



☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
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銀河太平記・209『恩師の消息・2』

2024-03-14 09:53:42 | 小説4
・209

『恩師の消息・2』ミク 




「先生、空港のメディカルゲートで引っかかって……」

「検査の途中で抜け出してしまったんです。あ、こんなナリですが、公務ではないんです。任務中にミクに呼び出されて、軍服のまま飛び出してきたもんですから」

「じつは……」

 空港からここまでの話をすると、オヤジさんは「そうですか」と腕組みしたまま立ち上がった。

「この界隈は訳ありのもんが多くて……」

 そう言うと、オヤジさんは棚から博物館にでもありそうなごっつい台帳を取り出した。

 バサリ

 開くと、風が起こってお茶の湯気をたなびかせ、紙の匂いが立ち上がる。

 なんだか、伝説の昭和を舞台にした古典映画の中に潜り込んだみたいだ。

「いっぱい書き込みがしてありますね……」

「アフターサービスというか……お世話させていただいたお客さんとは、その後も付き合っていただいてましてね。いろいろ書き込んでます。いやあ、まあ、はんぶん道楽です……ええと、やつのは……」

 パサリ……パサリ……

 二度ほどページをめくったところで手が停まる。

「ここです」

「「え?」」

 戸惑った、指さされたそこは『姉崎』という苗字ではなかった。

 そして、それは住居ではなくて、開発初期に造成された共同墓地の一画だ。

「これは……?」

「すこし長い話になりますがね……」

 月に赴任してから扶桑本国では思いもつかない事例や事件にでくわした。日々起こる事件や病人怪我人、死者と向き合うことも度々だ。この四年で書いた死亡診断書や死体検案書は100枚近い。わたしもダッシュも少々のことでは驚かなくなっていた。

 でも、姉崎先生のそれは経験も想像も超えていた。

 二杯目のお茶を飲みほし、オヤジさんにお礼を言うと、駐車場に戻って高機動車で共同墓地を目指した。

 

☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
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銀河太平記・208『恩師の消息・1』

2024-03-09 10:06:13 | 小説4
・208

『恩師の消息・1』ミク 




 ゴールデン街は月面開発の初期にできたバラック街がもとになっているので、スリッパのあるメインストリート(と言っても道幅は車がやっと通れる程度)以外は狭いし込み入っているし、月に来て四年にしかならないわたしにはメインストリート以外はラビリンス同然。一緒に歩いている三等軍曹のダッシュも似たり寄ったり。

 まあ、それでも示してもらったあたりは記憶にあるので、なんとか……と思ったけど、甘かった(^_^;)
 
「ええ、ハンベじゃこの先も道のはずだぞ」

「マップなんて役に立たないわよ、かえって混乱するから見ない方がいいわよ」

 と言いながら、わたしも戸惑っている。

 周温雷のオッサンを案内してから間は無いんだけど、もう様子が変わっている。かつて路地だったところに大人のおもちゃの店ができてるし、荷物なのかゴミなのか分からないものが放置されていたのが半分片づけられていると思ったら、その後ろに路地が続いている。

「スリッパの子、ここを通って通ってるんだろ、よく通えるなあ……」

「住み着いちゃえば楽勝なんでしょ……まあ、だいたいの方向は教えてもらったから……あ、こっちだ」

「ほんとか?」

「たぶん(^_^;)」

 二度ほど迷いかけて、少し開けたところに出て、やっと目標の不動産屋が見えてくる。

「「おお……」」

 まるで時代劇のセットのような二階建てには『あけぼの不動産』の看板がかかって、店のガラス張りには、物件の写真や図面たちが呪物のように貼り付けられている。

「ごめんくださぁい……」

 ガラス戸を半分開くと店は無人なので、奥に向かって声をかける。

「はい、いらっしゃい」

 モグラを思わせる小柄なオジサンが出てきた。

「ああ、お客じゃないんですけど……」

 来意を伝えると、気分を害することもなく、パーテーションの奥の応接セットに「どうぞ」と進められる。

「ほう、あなたたちでしたか、姉崎さんの教え子さんというのは」

 あらかじめ女将さんが連絡してくれていたようで、すぐに用件に入ることができた。

「それで、先生は、こちらの方には?」

「うん、ええと……それで、あれの居所を知って、どうしようというんですか?」

 微妙に挑戦的になった言いように、わたしもダッシュも少し面食らった。

 

☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 

 

 


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銀河太平記・207『恩師を探してゴールデン街』

2024-03-03 09:53:14 | 小説4
・207

『恩師を探してゴールデン街』ミク 




 高機動車は軍用車両なんで、駐禁の制約なんかないんだけども、大人しくピタゴラス第二駐車場に停める。
 第二駐車場はゴールデン街最寄りの駐車場で利用者が多い。こんなところで軍用特権を使うと、微妙に不満を持たれ、その積み重ねが市民の不満をかってしまい、有事の軍事行動の障りになる。

「派出所からまわるか?」

「ううん、心当たりがあるから」

 パーキングメーターにハンベをかざして登録を済ませ、ダッシュと二人、駐車場の出口に向かう。

「やっぱり裏筋からあたるのか?」

「あ……なんとなくの勘」

 そう応えながら、この捜索はなるべく記録に残らない方法をとらなければと思っている。

 半年前に知り合った周温雷を思い出す。気持ちのいいオッサンだったけど、通信ケーブル点検のバイト中に姿を消した。ピタゴラス東の実験プラントのすぐ近く、作業車や近くの岩場にパルス弾の銃痕が残っていた。

 先生の思い出をたどってみても、厳しくて変わり者の教師という属性しか出てこない。だけど、ダッシュの資料を見てみると、急な退職、給料の半分をマースバンクに入れていたことや、月での履歴などひっかかるところがある。

「あ、替わってる」

「え、なにが?」

「あ、ああ、流れてる曲」

「月面宙返りだろ?」

「うん、ちょっと前までは『やんちゃなアルテミス』だったんだけど……」

 月面宙返りの曲はリリースされる度に繰り返し聞いて、おそらく全部知ってるんだけど、この新曲は気づかなかった。
 どうやら、流行り病からこっち諸先輩同様、仕事の虫になってきているのかもしれない。

 先生の件が済んだら、久々にライブに行ってみようと思った。

 月面宙返りの新曲を聞きながら、ゴールデン街の最深部に向かった。


「女将さん、この人なんだけどぉ……」


 ハンベの画像を見せると「ああ」と覚えのある声を上げた。

 ゴールデン街の噂を仕入れるなら居酒屋スリッパの女将さんだ。

 周温雷のことでは世話になったし、多少のお役にも立った。もし、先生のことが不発でも、ここを外しては「水くさいじゃないか」と言われそうなので、まずは居酒屋のスリッパを訪れた。

「うん、二度ほど来たよ。前の周さん同様にいかつい……まあ、うちのお客はこのタイプが多いんだけどね。見かけによらず、根はすごく優しい人って感じだった」

 姉崎先生を――優しい――と形容する人は見たことない。女将さんの感性は独特なんだけど、わたしもダッシュも学校時代の先生を思い出して、つい苦笑してしまう。

「高校時分の担任の先生なんです。急に学校辞めて月にやって来て、それで探してるんです」

「なんか訳あり?」

「あ、マッパ検査で、少し病気っぽいものが見つかって検査入院してたんですけど、居なくなってしまって」

「それは、心配だねえ……二回目に来たのが、あれは……ねえ、ちょっと!」

『はい、女将さん?』

 女将さんは、店の女の子を呼んで、覚えのある特徴を伝えた。

「あの人なら、奥の不動産屋の御隠居さんですよ。帰り道の不動産屋さんなんで憶えてます」

「ああ、そうだ。その不動産屋なら」

 ハンベの地図を出して「ここだよ」と教えてくれる。

「ありがとう、さっそく行ってみます!」

「ありがとうございました!」

 ダッシュとふたり、きちんとお礼を言う。

「いいよいいよ、今度来る時は、プライベートでおいで、その軍曹さんの彼氏といっしょに」

「「あ、ちがうんです!」」

「おお、息もあってるじゃないかぁ(^▽^)」

「はい、カップル割引券(^▽^)」

 間髪を入れず割引券をくれるお店の子。

「あ、いや、だから」「アハハハハ」

 あいまいに笑って、次の不動産屋に向かった。



 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
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銀河太平記・206『恩師の素性とガタガタ道』

2024-02-25 14:04:29 | 小説4
・206

『恩師の素性とガタガタ道』ミク 



 扶桑の月世界は狭い。

 まあ、月自体が地球よりも火星よりも小さいんだけどね。

 その中でも扶桑自治領は、代官所のあるプラトンの他は、初期開拓地が拡大発展したアルキメデス、ピタゴラス、そして鉱山が集中してるパスカルの三つ。

 あとは、開拓村とかラボという程度のドーム集落があるだけで、ほかの国々の自治領と比べると見劣りがする。

 扶桑は幕府の体制をとっているのに、なんで、パスカルとかプラトンとか、古代ギリシャめいた名前が付いているのかというと、人類が月に到達するずっと前から、そういう名前が付いていたからよ。

 ウソだと思ったら、検索してみて。

 扶桑は、火星こそ自分流の地名や名称を付けたけど、それ以外は元々の名称を大事にする。大事にすることで侵略的というか帝国主義的な領土欲は持っていないことを地味にアピールしている。

 その狭い扶桑自治領でも、火星からフラ~とやってきたオッサン一人見つけるのは、ちょっと骨折り。

「ちょっと調べてみた」

 ピタゴラスに向かう街道に入って、高機動車をオートに切り替えると、そのまま指を車載ハンベのダッシュボードに伸ばして画面を出した。

「え、これって、姉崎先生の勤務評定……税務調査……医療記録……え、マースマーケットの購買記録に通信記録……って、個人情報全部じゃん!」

「ああ、空港からの足取りがつかめないと分かった時に調べたんだ」

「って、いくら警備隊でも、ちょっち違法なんじゃないのぉ?」

「プロファイリングしなきゃ、そうそう絞れねえからな」

「あれぇ、先生、給料の半分マースバンクに振り込んでる」

「うん、誰かに貢いでるか仕送りしてるかだろうと思う」

「ああ……でも、誰の口座に送ってるとかまでは分からないみたいね」

「ああ、俺の権限では、そこまでしかな」

「若いころは月で力仕事ばっかり……」

「まあ、あのガタイだからなあ。Bの8を見てくれ」

「Bの8……あ、パスワードいるよ」

「〇〇〇の〇〇〇〇」

「〇〇〇の〇〇〇〇……え、ダメだよ」

「じゃあ、〇〇〇の〇〇〇〇」

「……え、これもダメ」

「それじゃあ……」

 七つ目でヒットした。

「ああ……軍隊に入っていたんだ……」

「静かの海紛争の直後に除隊してる……それから地球で大学に入りなおして教員免許とって、うちらの学校に来てる……ええ! 音楽と家庭科の免許も持ってるんだ!」

「え、ほんとかよ?」

「ええぇ、てっきり体育の、それも格闘技専門かと思ってた」

「他には、なにか無いのか?」

「ええと……現役の軍人だったころは、飲み代の出費が多かったみたい……うわあ、ピタゴラスの主な呑屋踏破してるっぽいよぉ……」

「どんな呑屋だ……」

 ガックンガクガク ガックン ガックン

「ウワ!」

「キャ! ちょ、なんでこんなに揺れんのよ!?」

「工事区間だ」

「あ、でも人口重力は効いてるみたい」

「不安定なんだ、メンテナンスが間に合ってないんだ、イヘッ(>.<) ……舌噛んだ」

 月には大気が無いんで、太陽風や紫外線的な、時には隕石やらデブリやらがそのまま降り注いで、人工物でも自然物でも劣化が早い。

 数年前にテルが考案して、真っ先に月で試されたんだけど、やはり、月面の過酷な条件では寿命が短いんだろう。

 今度はパルス病のワクチンも作って大活躍の同窓生、流行り病が落ち着いたら、人口重力の安定化にも頑張ってほしいと思うデコボココンビだった(^_^;)

 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
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  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
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  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
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銀河太平記・205『行方不明の恩師とワクチンと』

2024-02-20 11:17:26 | 小説4
・205

『行方不明の恩師とワクチンと』ダッシュ 



 逃げられました!


 看護手帳を渡しにいってやると、Mナースは子どもっぽく口をとがらせた。

 Mナースというのは、見習い女性看護師の頭文字Mに女性看護師を現すナースを接着した言葉だ。ちなみに、正規女性看護師は正規看護師の頭文字Sを付けてSナース。
 いちいち見習女性看護師と言っていては長いのでMナース。もっと縮めてMと呼ぶこともある。SナースはMの資格も併せ持っているんでSMナースと呼ぶすることもある。

「ドクターに対してはM、患者に対してはSなのかもな」

 ふざけるダッシュははり倒しておく。

 バシ!

「現場じゃ一律にナースよ!」

 で、落とし主のMナースは腹を立てている。

「まだ三つも検査が残ってるんですよぉ、ドクターもパルス性多臓器不全になる可能性があるって言ってるのにぃ!」

 場所が休憩室で、わたしが診療所の医者なんで気を許したんだろう、忘れ物の手帳のお礼をいっぱい言った後、男子がサボったのを先生に言いつける女子児童という感じでまくしたてた(^_^;)。

 それから、担当医にも聞いてみた。

 姉崎先生は、パンデミックの寸前にプラトン空港に着いた火星航路船に乗っていた。
 メディカルゲートで引っかかって検査にまわされると、190センチのマッチョにもかかわらず、いろいろ不具合が見つかって強制入院になってしまった。最終検査をしなければ、最悪、数カ月の命だろうと、こちらはお手上げの顔で言われた。


「ごめん、せっかくの非番なのに」


 助手席に座ると、すぐに侘びを入れる。ダッシュも心配なんだ「いいや」と一言言ってアクセルを踏んだ。

 何と言っても高校二年と三年、担任と生徒だったんだ。修学旅行が中断された時もシャトル船を一人で操縦して連れて帰ってくれた。
 口で言うより……という先生だったけど、時には子どもっぽくて、先生でありながら本気でムカつくオッサンだったけど、やっぱり恩師、放っておくわけにはいかない。

「でも、先生、なんで月に来たんだろう? 動物的勘?」

 先生はマス漢と戦争になった日、もっと詳しく言うと、戦闘が起こる10分前に出発する航路船に乗っている。

「出発の三日前には学校も辞めている。まあ、定年明けの非常勤講師だから、いつ辞めても問題は無いんだけどな……」

「先生らしくないよねぇ……」

「調べてみたんだけど、先生、火星にやってくる前は月に居たんだ」

「何年前?」

「25年前、静かの海紛争のころだ」

「静かの海紛争!?」

「ああ、今世紀に入っての月世界最大の紛争」

「その戦闘に加わって?」

「分からねえけど、可能性は高いよな。なんせ、あのガタイだ、昭和時代風に言えば甲種合格だろうからな。ま、でも予断を持つのは控えよう」

「うん、そうねぇ……」

 ……黙っていては、悪い想像しか出てこない気がして、車載のモニターを点ける。

『……番組の途中ですが、扶桑養生所からの発表です。扶桑科学研究所の教授で養生所の委託博士研究員である平賀照教授が、急性パルス病のワクチンの製造に成功しました。消息筋によりますと……』

「テル、またやったね(^▽^)!」

「すごいやつだなぁ」

 第一の捜索地、ピタゴラスに着くまで、友だちの成功と疫病の終焉に頬を緩ませた。

 

☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
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  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
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銀河太平記・204『新米看護師の落とし物』

2024-02-15 10:04:39 | 小説4
・204

『新米看護師の落とし物』ダッシュ 





 月の夜がようやく開け始めたころ、やっと未来から合格をもらった。


 火星や地球の感覚だと「おお、わずか一晩で合格とは!」と感心されるかもしれないが、なんせ、月の夜は二週間もある。

 他の仲間は早々に合格をもらって検査や検疫業務に入っているのだから、絶対に早い方じゃない。

 それで、合格したころには検査も山場を越えて、あえて新米が入る必要も無いので、わずか三日で元の警備担当に回された。

「なんとか2500で済んだぁ」

 倉庫兼カフェでマスプレッソを楽しんでいると、同じのを持って未来が横に腰を下ろした。
 
 プッ

 下ろしたケツ圧で、クッションが鳴る。

 学生の頃なら「ちっとは遠慮しろよ」とか「失礼ねえ!」とかじゃれ合うんだけど、そんな余裕はない。峠を越えたとは言え、任務が厳しいことに変わりはない。それに、そういう子どもじみたじゃれ合いをするには微妙に歳をとってしまった。

「他の所じゃ一桁上をいってるんだろ?」

「ああ、うん、養生所の指導が早くて的確だったから」

 意図してではないんだろうけど、謙遜だ。

 幕府はパンデミックが起こる40時間前に、ことの重大さと対処方法を扶桑全域と月の自治州にも伝えてきた。むろん幕府の対応は他の火星諸国や地球、月世界の知るところとなった。しかし、死者の数を2500に抑えられたのは、現場の力だ。

 キャーー アハハハハ

「ちょっとそこ! うるさい!」

 一つ向こうのテーブルで新人たちが騒ぎ出したのを一喝する未来。

「「「す、すみませぇん(;'∀')!!」」」

 慌ててトレーを片付けて出て行ってしまった。

「おまえ、もうお局さまかよ」

「うっさい、ああ、もう看護手帳落としてるしい」

 扶桑と言うのは良くも悪くも『昔』を残していて、記録はデジタルやパルス以外にアナログで残すことにこだわりがある。兵隊も看護師もハンベの他に、ポケットに手帳を入れている。

「感心感心、業務はちゃんとやってるみたいねぇ……」

 おお、チェックする姿は、まるで生活指導の先生だ(^_^;)

「え……」

「おい、あんまり見てやるなよ」

「この子の担当患者に……姉崎すみれっていうのがいる」

「え?」

 姉崎すみれ……高校で、俺たちの担任の名前だ。

「同姓同名なんじゃないのか」

「だろうけど……」

 ハンベで調べてみると、それは、まごうかたなき七年ぶりの姉崎先生のプロフィールに違いなかった。


 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
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銀河太平記・203『フィロラオスクレーター検査場』

2024-02-09 15:48:34 | 小説4
・203

『フィロラオスクレーター検査場』ダッシュ 




 火星で大きな戦争は起こらないだろうと思っていた。


 この二百年で火星は二度の大戦争を経験し、直近の大戦では、火星人類の一割が死んだ。

 戦後、火星に見切りをつけて地球に戻ったり月に再入植する者もいて、戦後二年目にはさらに一割が減った。
 前後して二割の人口が減ったので、戦後の復興は大変で、やっと戦前の水準に戻ったのは、親の世代が成人したころ。

 火星には連合国・マス漢・扶桑を始めとする13の国があって、国連的な組織こそ作らなかったけど、この数十年の間、まあまあ平和にやってきた。

 昨年、扶桑とマス漢の間でミサイルを撃ち合う紛争が起こった。

 ミサイルの数には限りがあるので、派手な打ち合いは半月も続かなかったけれど、どういうわけか変な病気が流行り出した。

 どうやら、野生化したチーチェ(半機械生物)が戦死者にある種のウィルスを植え付けることで発症するらしい。
 最初はロボット。感染した戦死体、後には健康なロボットや義体にも感染するようになった。
 感染すると、まさにアンデッドというかゾンビ化して、次々に人やロボットを襲って仲間を増やしていく。

 正式にはマースパルスウィルス、縮めてマッパウィルス、マッパウィルス病。もっと略してマッパとかマッパ病というようになった。

 確率は低いのだけど、義体化していない人間も感染すると、軽くて発熱、重症化すると脳を侵されて死亡にいたるケースもある。こののち変異体が出現する可能性も高く、マス漢や連合国は地球との往来が絶えることを恐れて、未だにパンデミックを認めていない。

 しかし、扶桑の宣言で知れ渡り、地球も月も火星への渡航を禁止した。

 月の防疫は一段と厳しくなり、渡航してきて一年に満たない火星人はパスカルに近いフィロラオスクレーターのキャンプに隔離された。

「もう、呑み込み悪いなあ」

「ちゃんと教えろよ」

「もう、あんたは明日、やん直し。これから検査業務に入るんだからね。ああ、もう二分遅れてる! ダッシュで行かなきゃ……」

 そう言うと、未来はマスクをつけて訓練ブースを出て行った。

 検査をやる医者や看護師が足らないので、軍の兵隊にも即席に訓練を施して検査要員に差し出すことになった。
 もう二回もレクチャーを受けているんだが、俺の担当になった未来は簡単にOKを出さない。
 訓練は、二名の医者や看護師から受けて、二名ともの合格をもらわなければ現場には出られない。
 
 まあ、しかし、キャンプの警備も重要な任務だ。

 万一の感染を恐れての事だが、カルデラドームの外縁から収容者を見下ろすのは気持ちのいいもんじゃない。

 軍の上層部からは銃のセーフティーを外して常に構えておけと言われているが、司令は「市民に銃を向けられるか!」と言って、担うだけにしてある。

 いざとなれば、担えの姿勢からコンマ一秒で射撃に移れる。

 背後が薄暗いと思ったら、この任務に就いて二度目の日の入りになる地平線が見えた。

 

☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑月面軍三等軍曹、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑幕府北町奉行所与力 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     ピタゴラス診療所女医、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑科学研究所博士、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
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  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
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  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
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 ※ 事項
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銀河太平記・202『孫大人と鍋を囲む』

2024-02-01 13:21:20 | 小説4
・202
『孫大人と鍋を囲む』越萌マリ 





 日漢友好の釣り大会になった時には居なかった。

 孫大人。


 世界を相手に商売やってる男だから、ちょっと姿を消しても不思議ではないんだけど、島のエライさんたちが大統領との友好に務めているところ、それも大好きな釣りをやろうかという時に姿が見えないというのは大人らしくない。

 大人の乗り物は筋斗雲というパルス機。軍事用に作られた試作機だけど、メンテナンスがむつかしく、コストも高くつくので実用試験に通りながら正式採用にならなかった名機。それを開発した技術者ごと買ってきたというぜいたく品。筋斗雲一機で火星航路の新造船が作れるという。

 その筋斗雲が夜中に戻って来て、孫大人はお岩食堂にわたしを呼んだ。

「いやあ、やっぱり畳敷きのちゃぶ台はいいアルなあ、お岩さ~ん」

「ああ、釣り大会のネタがいっぱいあるからね、勝手に冷蔵庫から出してやっとくれぇ」

 釣り大会の残り物の魚でしっぽりと鍋をつついている。お岩さんはテーブル席でリアルタイムの動画を観ながら一人で晩酌。苦労人だけあって、人との距離の取り方、TPOをよく呑み込んでいる。

 座敷のレトロテレビは、昼間の劉宏大統領の西之島訪問の特集を流している。こちらは環境映像化された番組で、ニュースとしては半日遅れている。

「それで、筋斗雲に乗って須弥山にでも行ってきたの?」

 締めにご飯を入れておじやにしながら聞いてみる。

「うん、それがなぁ……うちの倉庫が気になってなあ」

「倉庫……どの?」

 孫大人の倉庫というのは幾つもある。漢明だけではなく、世界中、月や火星にもあるという噂だ。

「奉天の倉庫アル」

「奉天といえば、ガラクタばっかりの?」

「失礼アルよ、いずれは本物の北大街作ろう思て、大事なものしまてアルよ」

「孫大人がアルアル言葉使う時は、美人を目の前にした時かよっぽど困ったときアルよ」

「あ、ああ……その両方アルよ(^△^;)」

「なに?」

「あ、卵は、あまりかき混ぜないで入れて欲しいアルよ」

「はいはい……それで、いったい何があったというんですの?」

 甲斐甲斐しく溶き卵を鍋に入れながら、大人が苦手な完全越萌マリバージョンで聞いてやる。

「実は……JRが盗まれたアル」

「JR……!?」

 一瞬大昔の鉄道を思い浮かべたけど、そうじゃない。

 どこから手に入れたのか敷島博士がJQの次に作った超ロボットあるいは超義体。火星から地球に戻るUSのクルーザーで孫大人と出くわした時に大人が紹介してくれた舞姫だ。地球で演舞集団『北大街』のスターにすると鼻を高くしていた。

「他の事業にかまけて、しばらく倉庫にしまっていた。気になって戻ったら、別のロボットにすり替えられていたアルよ」

「それ……ひょっとして……」

「ハイぃ、そうアルよ、今朝劉宏大統領に会って――あれ?――思たアルよ。いろいろ変えられてるけど、これ、ひょとしてJRちがうアルかぁてね」

「いや、しかし、あれは元々は王春華よ。王春華は岩田首相が劉宏と秘密会談したときに通訳同士で出会ったし、この島でも戦ったわよ。はい、できたわよ」

 おじやをよそってやるけど、さすがに箸をつけようとはしない。

「……あれは、いろんな個性をpiやらPIして成長したものっぽいアルよ」

「確証はあるのか!?」

 思わず児玉元帥の声が出てしまった。

「いや、それは……」

「それは……どうしたのよ?」

「ハァ(*´Д`)」

「なによ、らしくないわね」

「間違いないアル、あれは……」

「うん?」

「いや、なんでも……アッチぃ!!」

 大人はみごとに舌を火傷した。

 水を飲ませてやると、アルアル言葉も止めていつもの孫大人に戻ってしまった。

 やれやれと視線を外すと、鏡に映ったお岩さんが酒呑童子みたいな大口を開けて叫んだ。

「え、火星でパンデミックだってぇ!?」



☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑第三高校二年、一をダッシュと呼ばれることが多い
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  • 緒方 未来(おがた みく)     扶桑第三高校二年、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
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  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
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  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
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  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
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  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
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 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
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銀河太平記・201『え、あ、ちょ(#'∀'#)』

2024-01-26 11:24:46 | 小説4
・201
『え、あ、ちょ(#'∀'#)』メグミ 




 わたしが言うのもなんだけど。


 人間にしろロボットにしろ、コロコロあるいはコロッと外見を変えてしまうのはいかがなものか。

 そう思うよ、この漢明の大統領を見ていると。

 元は大統領の秘書兼ガードであった王春華のボディーにPI(パーフェクトインストール)したので、外見は女性だ。
 それも、サロペットにバッシュなんか履いてるものだから、王春華だったころよりも小柄なツィンテールの少女に化けおおせている。

 連絡を受けて、島の主だったエライさんが食堂前に集合した。

「メグも並んで」

 殿下(氷室社長)に言われて、その一番端っこに立っている。

 殿下から始まって、及川市長、市会議長のマヌエリト、義勇兵部隊の幹部、そしてラボの責任者のわたしがケツにくっついている。他にも島のエライさんで相応しい者がいるんだろうけど、急な訪問なので取りあえず間に合う者を集めた感じ。

「こないだは、心ならず戦うことになってしまいましたが、みなさんの戦いぶりには感心していました」

 握手に差し出した手を両手でくるむように挨拶された義勇兵部隊の幹部は、マジで感動している。大統領は幹部の息子が初戦で戦死したことをちゃんと知っている。また、その息子が親友の息子を引き取った義理の関係であることも承知していて「うちの胡盛媛中尉も同じでした」と言ってフーちゃんを呼んで握手させたり、当意即妙に状況を演出する。

 根っからのナバホインディアンであるマヌエリトさえも驚きの色を目に浮かべている。

「ナバホインディアンはみな戦士、戦士は平等、平等に戦う、平等に互いを気遣う。しかし、劉宏大統領のように完ぺき、できない。こんな小さな少女できてる、感動だ(-_-;)」

 みんなあ、こいつの正体は身の丈190はあろうかというマッチョ将軍なんだぞぉ!

「あ、メグミさんね!」

 ク、テンション上げてきやがった(;'∀')

「はい、あの……」

「知っています、元は天狗党の……でも、今はしっかりとラボの所長で、島の金融界のドンでいらっしゃる!」

「いやぁ、ドンでもないですぅ」

「まあ『ドンでも』だなんて、洒落ていらっしゃる!」

「アハハ、緊張してカンだだけです(^_^;)」

「あのう、うちの連絡員たちの口座を作っていただけないでしょうか?」

「え?」

「連絡員たちの給与や手当、恥ずかしながら漢明の金融を通すとまともには届かないこともあるんです。届いても、すごく時間がかかったりで。西之島銀行は本土の金融からも独立していて信用も高いです。休戦状態とは云え敵同士、無理なお願いだとは思うんですけど、所員の中には実家に仕送りしている者もおります。お願いできませんか?」

「え、ああ……」

 完全に意表を突かれ、殿下たち島のエライさんたちに目配せ。

 みんな、とっくに劉宏にホダされて、速攻でOKが出る。

「はい、あとで頭取に言っておきます」

「うわあ、ありがとう!」

「え、あ、ちょ(#'∀'#)」

 ベッチョリ、ハグされてひたすらオタオタ。

 日漢双方から暖かい笑い声が起こる。

 
 それから、島の人間と漢明連絡所のメンバー、劉宏大統領も加わり、神社裏の岩場で釣り大会。一時間足らずでみんなの魚籠は一杯になって、そのままお岩食堂でさばいてもらい、煮たり焼いたり刺身にしたり、それをみんなで頂いた後は、入江にフロートを浮かべて日漢大ドンケツ大会。

 その間、大統領のオイドは島のみんなに公開され、そのレトロな乗り物を楽しんだり、分解したがったシゲ老人を押しとどめたり、楽しく一日を過ごしてしまった。

 

☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑第三高校二年、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑第三高校二年、 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     扶桑第三高校二年、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑第三高校二年、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
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  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
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  • アルルカン             太陽系一の賞金首
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  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
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 ※ 事項
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銀河太平記・200『お岩食堂の物干しにて』

2024-01-20 11:02:44 | 小説4
・200
『お岩食堂の物干しにて』越萌マイ 





 わあ…………ほどよい見晴らしだねぇ!


 挨拶する前に劉宏は感動した。

 お岩食堂の物干しは天井の高い店舗部分の上に継ぎ足しで作られた二階部分のその上にある。
 普通の建物の基準で言えば四階建の屋上にあたるから、学校の屋上ほどの高さ。

「士官学校も物干場(ブッカンバ)は屋上にあってね、ちょうど高さもこんな感じ……あ、ブッカンバというのは物干しのことね。日本語の言語設定にすると軍隊用語のまんまで……ちょっと変えるね」

 コクンと頷くような仕草。

「オフの時は、このボディーのデフォルトにしてるの」

「元は、王春華なのよね」

「うん、春華も大統領秘書なんかやってたから大人ぶってたけど、ベースはこんな感じ。春華はもういないけど、せめてオフの時はね」

「そうね、それがいいわね」

「身に合わない高さから見てると……」

 判断を誤る?

「疲れるでしょ……洗濯物の匂いも素敵、シキシマ石鹸かな?」

「日本の洗剤も分かるの?」

「士官学校では青島石鹸使ってたの。青島石鹸はシキシマが漢字の敷島だったころに技術移転したから同じなのよ。絹物とかには向かないけど木綿や化学繊維には絶大な洗浄力。なんと言っても安いしね」

「そうなんだ、青島っていえばビールかと思ってたけど、洗剤もあったのね」

「わたしはね……漢明と世界の関り方を見直そうと思ってるの」

「関わり方?」

「うん、中国というのは古来統一と分裂を繰り返してきた。今の漢明は東北部や西部を手放しているわ」

「え、ひょっとして、今度は漢明じゃなくて大唐帝国にでも拡大するつもり?」

「ああ、それはナイナイ(^〇^;)」

 両手をワイパーのようにハタハタさせる、この可愛さは反則だ。

「ただね、離合集散は東アジアの生理みたいなものだから、大統領のわたしがドーコー言っても抗えるものじゃないと思うの。日本が古来から一つにまとまっているのも生理だと思う。それと同じ、っていうか、現象的には真逆だけどぉ、これから一つになっていこうとするのを押しとどめるのは、かえって漢明にも、周囲の国々にも良くない気がする」

「うん、半分分かるかなあ……」

「それぞれの国や地方が自治権を持ったままで、ゆるやかな国家連合的な?……みたいな?……ぽいもの? そんな感じ」

「アメリカ的な?」

「南北戦争とかはしたくないし」

「むつかしいねぇ……」

「まあ、その第一歩として西之島といい関係でありたいわけですよ」

「それは同感……でも、なんで、そんな話をわたしに? 食堂の物干し場で話すことでもないような気がするけど?」

「あ、そうね。石鹸の匂いが同じなんで、ついね、話が膨らんじゃった(^_^;)」

「フフ、よかったら、あとで釣りでもする? 神社の裏良く釣れるし、魚はこの食堂でいくらでも調理してくれるし」

「あ、うん、いいね!」

「よし!」

 話がまとまったところで、下からお岩さんの呼ぶ声。


 お偉いさんが、みんな集まって来てるよお!


 ふたり、手を振ったり頭を下げたりして下りていった。


 
☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑第三高校二年、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑第三高校二年、 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     扶桑第三高校二年、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑第三高校二年、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
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銀河太平記・199『劉宏のファッション』

2024-01-15 07:39:35 | 小説4
・199
『劉宏のファッション』越萌マイ 




 アポロキャップにポニーテール。

 オーバーオールの下にはチェックの赤シャツ、首にはブルーのバンダナ巻いて、足もとはカーキのバッシュ。

 妹がお姉ちゃんのお下がりを貰ってようやく身についたという出で立ちは、ファッションとして斬新なものではないけど、この似合い方は新鮮だ。

 レトロ……モダン……トラディッシュ……カジュアル……カントリー……

 相応しい形容詞が浮かぶけど、どれも不十分、全て合わせるとレトロモダントラディッシュカジュアルカントリー……なんと長ったらしく陳腐なことか。

 いっそ、そのまんまにリュウコウ……うん、流行にも通じてぴったりだ。

 リュウコウルック リュウコウファッション 

 さて、どっちがいいか……メイに教えてやったらシマイルの商品開発に役立ちそう。まずは観察させてもらおう。


 オイドから降りてきた劉宏はPIして王春華のボディーになっている。


 王春華とは昨年、ちょうどこの場所で戦った(157『邂逅する者たち・5・王春華』)

 あの時の印象は、完ぺきな女性型ロボットファイター。わたしのコスモスボディーよりもスペックが高く、こっちの経験値が高くなければ危ないところだった。

 視覚的な印象が一回り小さい。

 戦闘モードではないこと、ソウルが劉宏に置き換わっている、劉宏の巧みな自己演出のなせる業かもしれない。
 
 まあ、もうしばらく、このお岩食堂の物干しで観察だ。

 劉宏の視察を知った島民や兵隊が続々と集まりつつある。しばらくは気が付かれないだろう。


「大統領、本日の視察まことに名誉なことで、連絡所隊員一同感激に耐えません!」

 所長の中佐がカチカチの敬礼をする。

「いやぁ、済まない。別の視察が中止になって思い付きでね、視察とは名ばかりの骨休めみたいなものだから、どうか、気を遣わないで。軍服も着てないしね(^_^;)」

「ハ、承知しております。自分は不器用な職業軍人ですので、以後の案内は広報担当の胡盛媛中尉にいたさせます。中尉!」

「ハ、ハイ!」

 所長以上に緊張して敬礼する胡盛媛中尉、いやフーちゃん。

「ああ、キミがフーちゃんかぁ」

「はい、胡盛媛中尉、本日大統領閣下のご案内役を務めます」

「お世話になります、ナイショで来ようと思ってたんだけどね、バレてしまって(๑´ڤ`๑)テヘ 」

「い、いいえ、大統領閣下のご案内を承り、胡家末代までの栄誉であります!」

「そうだね、お父さんは、ここで戦死されたんだよね……あ、ごめん」

 フーちゃんは答礼してもらえないので敬礼のしっぱなし。ようやく気付いた大統領が、そこだけビシッと敬礼を決めて、元の笑顔に戻る。

「まず、所員一同をご紹介します」

「うん」

 後ろで並んでいる所員を一人一人紹介、これにはファッション寄りの柔らかさで応える。

 次に劉宏は氷室神社に向かう。ちょっと意外。

「うわ、ちょ、爺ちゃん! うちの神社に行くよ( ゚Д゚)!」

 ハナが慌ててエプロンと襷を外し神主のシゲ老人を引っ張っていく。

 型通りきれいに拝礼し、シゲ宮司の挨拶を受けると、振り返って手を振った……え?

 視力を光学八倍に上げると、その視線は、ハッキリとわたしの顔を向いていた。

――いまから行くよ(^▽^)――

 口の形で気持ちを伝えると、スタスタとこっちに向かって来る。

 今度は、わたしが慌てる番だった!

 

☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑第三高校二年、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑第三高校二年、 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     扶桑第三高校二年、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑第三高校二年、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
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銀河太平記・198『オイドが島にやってきた』

2024-01-07 15:53:54 | 小説4
・198
『オイドが島にやってきた』氷室睦仁 




 ウムムムゥ……


 思わず唸ってしまった。

 連絡所のフーちゃん(胡盛媛)がアタフタとお岩食堂に助けを求めて、お岩さん初め食堂の関係者や近場のカンパニーの者たち(氷室カンパニー、つまりうちの従業員たち)がやってきて、大統領の受け入れ準備を始めた。
 漢明はメンツを重んじる国なので、たとえお忍びといっても、清掃、飾りつけ、撮影記録係の準備と配置、タイムテーブル作成とやることがいっぱいある。

 あ、思わず唸ったのは、その準備のことじゃない。

 準備は、アタフタしながらも微笑ましく効率的にとまではいかないけど、日漢仲良くできた。

「いやあ、フーちゃんの人徳だねえ」

 ランチの準備をわたしと二人でやりながらお岩さんが目を和ませる。

 そこへ孫大人まで出てきて、細かいところに目の行き届かないうちの従業員を指導してくれる。島の要人たちはようやく劉宏大統領訪問の知らせを受けたところだろうか。孫大人の情報の早やさと行動力は大したものだ。

 で、唸ったのは、孫大人に対してでもない。

 受け入れ準備が、ほぼ整うと同時に上空に現れた大統領のプライベートボート。

 なんと、さっき食堂のニュースで見たばかりのマイドだ。

 グィーーン……と静粛性を誇るマイドは音なんかしないんだが、そんな可愛らしい擬音が浮かんでくるような長閑さで、漢明連絡所の上空を一周する。
 浪人時代に東大阪工業団地のオッチャンたちと手作り同然に手掛けた機体なので思いもひとしおなんだ。

「「おお」」

 今度はお岩さんも加わって声があがってしまった(;゚Д゚)。

「アハハ、まるでオケツじゃないか!」

「オ、オイドだ(;'∀')」

「オイド、古い日本語でケツのことだね」

 それはマイド・009という試作機だ。性能に問題は無いんだが、そのあまりにオケツめいた外観から二機でお蔵入りになった、いわば出来損ない。お蔵入り決定になったときオッチャンたちが『オイド』という固有機種名を付けた。

「ニュースで見た時は、あんなフォルムじゃなかったんじゃないのかい?」

「後ろのボディーを改変したんだろうねえ、恥ずかしいから(^_^;)」

「でも、なんで、あんなフォルムなのさぁ?」

「製造費を抑えるため、安価なV6エンジンを二つ積んでるんだ。V6は信頼性も高いしパルスバイクを当て込んで在庫も多かったからね、小型機用のV8を載せるよりも安くついた」

「あ、下りてくる」

 オイドは重心が後ろにある、そして、調整しきれていないのか、まるで子供がお尻を振って座るような感じで降下してきた。


 プスン プププ プ プ プ


 圧も未調整なようで、待ち受ける日漢の者たちの微笑ましい笑いが起こる中に、オイドは着地した。

 カチャ

 ウォオ……

 ハッチが開いて出てきた劉宏大統領は、反則なくらいに可愛くて、日本側から素直なため息が漏れた。


☆彡この章の主な登場人物
  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑第三高校二年、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑第三高校二年、 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     扶桑第三高校二年、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑第三高校二年、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書
  • 胡 盛媛 中尉           胡盛徳大佐の養女
 ※ 事項
  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
  • 奥の院      扶桑城啓林の奥にある祖廟
 
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