ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ウィーン・フォルクスオーパー オペレッタ『こうもり』

2008-05-27 | オペラの感想
韓国演奏旅行記の続きを書かないといけないのですが、その前に日曜日に観たフォルクス・オーパーの「こうもり」の感想を。

<日時>2008年5月25日(日) 14:30開演
<会場>東京文化会館
<出演>
■ロザリンデ:ナンシー・グスタフソン
■アデーレ:ダニエラ・ファリー
■イーダ:マルティナ・ドラーク
■オルロフスキー公爵:ヨッヘン・コワルスキー
■アイゼンシュタイン:ディートマール・ケルシュバウム
■ファルケ博士:ミリェンコ・トゥルク
■アルフレート:ルネ・コロ
■フランク博士:カルロ・ハルトマン
■フロッシュ:ハインツ・ツェドニク
■ブリント弁護士:ゲルノート・クランナー
<演奏・演出>
■指揮:レオポルト・ハーガー
■演奏:ウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団・合唱団
■バレエ:ウィーン国立バレエ団
■演出:ハインツ・ツェドニク

最近セミナーが続いておりまして、話すネタや資料の準備で、ちょいとばかり本業の方でバタバタしております。(汗)
そんな中、「忙中閑あり」と開き直り、日曜日にフォルクスオーパーの「こうもり」に行ってまいりました。
席は3階のR列(B席)。
日曜日の午後ということもあり、チケットは完売です。
15分ほど前に席に着き、オペラグラスの調整をしながら客席に目をやると、みなさんとてもリラックスして開演を待っています。
「日本でも、オペレッタをこんな風に楽しめるようになったんだなぁ」と、妙に感心してしまいました。

そうこうしているうちに開演のベルがなり、場内が暗くなると同時に指揮者のハーガーの登場です。
いつ聴いても心躍るあの序曲で「こうもり」が始まりました。
ただ、少し響きが薄いかなぁ。オーボエなんかもまさにチャルメラそのものだし・・・。
少々心配です。
しかし、幕が上がると、そこはまさにウィーン・オペレッタの世界。
オケの響きのことは、まったく気にならなくなりました。
そして、はっと気がつくと、終演のカーテンコール。
少々大げさですが、まさにそんな感じだったのです。

それにしても、この日の歌手達はそろいも揃って、みんな芸達者!
フォルクス・オーパーの面目躍如といったところでしょうか。
何より嬉しかったのは、引退したはずのルネ・コロのアルフレードが聴けたこと。
10年前にベルリンドイツオペラが来日したときに、ルネ・コロがタイトルロールを歌った「タンホイザー」をみましたが、これでいよいよ見納めだと思いこんでいただけに、このサプライズは嬉しかった・・・。
70歳ということもあり、さすがに息が続かないような部分もありましたが、時折みせる「歌いまわし」は、まさにルネ・コロだけのもの。
あー、聴けてよかった!
それに、コワルスキーのオルロフスキー公爵は、とにかく存在感が凄い。
その他の歌手で印象に残ったのは、アデーレ役のダニエラ・ファリー。
容姿・歌唱ともにコケティッシュな魅力に溢れたアデーレを演じてくれました。
きっと多くのファンを掴んだことでしょうね。近々「ホフマン物語」のオランピアを歌うそうですが、まさにぴったりの雰囲気。大化けの気配濃厚です。

あと、グスタフソンのロザリンデも貫禄十分だったし、アイゼンシュタイン役のケルシュバウム、ファルケ博士役のトゥルクも好演でした。
ツェドニクの抱腹絶倒の看守フロッシュや、ドラーク演じる美貌のイーダと、脇役陣も充実していましたね。
先ほども書きましたが、今回のキャストは、歌もさることながら、表情の豊かさ、演技のうまさが際立っているように感じました。
やはり、「こうもり」はこうでなくちゃ!

それから、もうひとつ特筆しておきたいことがあります。
それは、字幕です。
とにかく自然で適切な日本語に訳されているので、初めて「こうもり」を見た人もきっと楽しまれたことと思います。
幕間ごとに飲んだシャンパンの味と共に、私にとって記憶に残る「こうもり」になりそうです。





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8 コメント

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Unknown (EINSATZ)
2008-05-28 21:56:12
この「こうもり」、いい顔ぶれですね。しかも指揮がハーガーとは!やはり、ちょうど私くらいの年代だとレオポルド・ハーガーやベルンハルト・クレー、テオドール・グシュルバウアーといった「永遠の偉大なる中堅」というべき指揮者には思い入れが強いと思います。
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一日ちがいでしたね (ご~けん)
2008-05-29 00:05:31
romaniさん、早速TBさせていただきました。字幕はなかなか笑えたのですが、セリフと合わないところが難点でした。私は3日間の真ん中でしたので、アデーレなど、2ndキャストと思うのですが、とても良かったです。同じタンホイザーを聴いた同志として、嬉しく拝見させていただきました。
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>EINSATZさま (romani)
2008-05-29 23:47:34
こんばんは。

今回、聴き終わって自分でも驚いたのは、すべてのキャストについて不満を感じなかったことです。
こんなことは、正直珍しい経験でした。
そして、全体をまとめあげたハーガ゛ーも、やっぱり素晴らしかったです。

>レオポルド・ハーガーやベルンハルト・クレー、テオドール・グシュルバウアーといった「永遠の偉大なる中堅」というべき・・・
素敵な表現ですね。どこか味のある、素晴らしいマエストロたち。私も大好きです。
ひょっとすると、EINSATZさんと同じ世代だからかもしれませんね。(笑)
また、彼らの共通点は、いずれもモーツァルトを得意にしていることでしょうか。

日曜日の昼下がり、ウィーンから素敵なプレゼントをいただきました。
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>ご~けんさま (romani)
2008-05-29 23:57:29
こんばんは。

ご~けんさまは、土曜日のプロに行かれたのですね。
「楽しかった」という表現が、最もぴったりくるような素敵な舞台でした。

ウィーン子が最も好きなオペラだという理由が、よくわかりますし、まさにそんな演奏だったと思います。
でも、コロをステージで再び見れるなんて、夢にも思わなかっただけに、嬉しかったです。

>同じタンホイザーを聴いた同志として・・・
まったく御意にございます。
ありがとうございました。

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ご無沙汰してます (yokochan)
2008-06-04 00:54:54
お久しぶりです。
しばらく更新がなかったものですから、ちょっと心配なんぞしてましたが、そういえば、韓国ギター演奏旅行のお話を拝見して思い出しました。
お忙しいのに、すばらしく充実されてますね。
エントリー拝見してて、右に同じ中堅好み、タンホイザー観劇組みとしては、まだまだ若い人に負けないぞ、という気分が漲ってきます(笑)
フォルクスオーパー良かったようですね!
やはり、今度こそ最後のコロをお聴きなられたことが羨ましいです。ツェドニクら芸達者ぞろいのフォルクスオーパー、私も懐が許せば行きたかった・・・・。
また何かご一緒しましょう。
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>yokochanさま (romani)
2008-06-05 00:40:20
こんばんは。

いつもありがとうございます。
更新をサボってしまい、ご心配をおかけしました。

>右に同じ中堅好み、タンホイザー観劇組みとしては、まだまだ若い人に負けないぞ、という気分が漲ってきます(笑)
わー、そう言っていただけると嬉しいなぁ。頑張りましょうね。

フォルクスオーパー、行ってよかったです。
2年前にウィーンへ行った時も、是非観たかったのですが、時間の関係で果たせませんでした。
何か2年前の忘れ物を、いま届けてもらった感じです。しかも、ルネ・コロの参加というスペシャルプレゼント付で・・・。

とてもラッキーでした。
また、是非ご一緒しましょう。
よろしくお願いします。
返信する
TBをはらしていただきました (フランツ)
2008-06-08 16:29:40
こんにちは。
TBをはらせていただいた道楽ねずみことフランツです。どうかよろしくお願いします。

私は24日の土曜日にこうもりを見ました。

ご指摘のように歌手が皆,とても演技力がありましたし,ルネ・コロも随分と歌をサービスしてくれましたね。

また,確かに字幕も工夫されていましたね。ただ,訳という性質上,歌手の歌っていないところまで,訳が出てきてしまうことが避けられず,そこで笑ってしまうと歌手の方に悪いかななどと考えてしまいました。
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>フランツさま (romani)
2008-06-08 23:30:31
こんばんは。

ようこそ、おいでくださいました。
「こうもり」のようなオペラ(オペレッタ)は、基本をしっかり押さえた上で、あれくらい自由に演じてもらうと本来の魅力が開花しますよね。
すっかり満喫させてもらいました。

秋は、いよいよ兄貴分のシュターツカペレですね。
フランツ様と同様、私も「コシ・ファン・トュッテ」に行きます。
ムーティ、フリットーリ、キルヒシュラーガーとくれば、絶対、名演になる予感が・・・。
楽しみです。
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