ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
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ヘルマン/金聖響&読売日響 「戴冠式」「英雄の生涯」

2006-06-11 | コンサートの感想
いよいよ読売日響のマチネーコンサートに金聖響さん登場です。

         

<日時>平成18年6月10日(土) 午後2時開演
<場所>東京芸術劇場(池袋)
<曲目>
■モーツァルト:ピアノ協奏曲第26番〈戴冠式〉
■R.シュトラウス:交響詩〈英雄の生涯〉
<演奏>
ピアノ:コルネリア・ヘルマン
指 揮:金聖響
管弦楽:読売日本交響楽団

前半は、ザルツブルク生まれのピアニスト、コルネリア・ヘルマンをソリストに迎えてモーツァルトの「戴冠式」です。
彼女の演奏を聴くのは初めてですが、素晴らしいピアニストですね。
アンドラーシュ・シフが「彼女は近年希にみる音楽性そして感受性に恵まれている」と評したようですが、実際に演奏を聴いて納得しました。
最初はやや緊張していたようですが、すぐにオーケストラと呼吸を合わせていきます。決して華麗な技術を前面に出してバリバリ弾くタイプではありませんが、しっとりした音色がとても美しい。聴いていてとても癒されました。
それにしても、この戴冠式というコンチェルトは音階が多い曲です。
上がったり下がったり大忙し。したがってこの音階の表現がとても重要だと思うのですが、色気を出すとバランスが崩れてしまうし、単調になると音楽が死んでしまう。
この日のヘルマンは、端正に弾きながらも微妙なニュアンスを湛えた見事な表現でした。
また、第2楽章以降結構自在に装飾音を使っていましたが、これがまた絶妙。
やはり天性の音楽センスを持っているんですね。
カデンツァはあまり私は聴いたことがないものでしたが、味わい深い素敵なカデンツァでした。

ところで、彼女は黒い眼・黒い髪からどことなく東洋風の印象を受けますが、それもそのはず、お母さまが日本人との由。
是非これからも定期的に来日して、素敵な演奏を聴かせて欲しいものです。

         

後半は、リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」。
冒頭から、力強くぐいぐい押してくる印象。
読響も持ち前の分厚い響きで、金聖響さんのタクトに応えます。
また名手ぞろいの読響だけあって、各パートのソロも素晴らしくリヒャルト・シュトラウスの豊麗な音楽を堪能させてくれました。
とくに、コンサートマスターのデヴィット・ノーランのヴァイオリンは絶品。
テンシュテットの一連のマーラー録音において、コンマスとして素晴らしい名演を成し遂げた片鱗を見せてもらいました。

金聖響さんと読響の相性はなかなか良いですね。
親友の下野さんが読響の正指揮者に就任したこともあり、このコンビで演奏する機会も多いことでしょう。
また、楽しみが増えました。




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10 コメント

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いいですね (親父りゅう)
2006-06-11 19:42:14
聖響さんの「英雄の生涯」、聴きたかったです。

彼がフルオーケストラを指揮するコンサートは、まだ聴いたことがないんですよ。

これからはそういう機会が増えるかと思いますが、東京で増えるだけじゃねぇ・・・。

また、聴きに行かれた時はレビューお願いしますね。



放送用の録音は録ってなかったですか?
今週聴きに行きます (ご~けん)
2006-06-11 21:43:40
romaniさん、私も今度の土曜日にリサイタルを聴きに行きます。彼女の演奏を生で聞きたいと思っていました。終わったらレポートしますね。
>親父りゅうさま ( romani)
2006-06-11 23:01:05
こんばんは。

金聖響さんの指揮は初めて見ましたが、男の眼から見てもかっこいいですね。

どこか若かりし頃の小沢さんや佐渡裕さんを彷彿させるところもありますが、音楽を身体全体で表現できるところが素晴らしいです。

ケーブルテレビでみたセンチュリーOとのハイドンは、むしろ古楽器風でしたから、私もこれだけパワフルな演奏には少々とまどいました。



ところで、昨日の芸劇はマイクが林立していましたから、放送録音あるいはCDという可能性もありますよ。

是非リリース(あるいは放送)して欲しいですね。
>ご~けんさま ( romani)
2006-06-11 23:06:34
こんばんは。

コルネリア・ヘルマン、素晴らしい才能です。

あれだけ落ち着いたモーツァルトを聴かせてくれるとは、正直思いませんでした。

リサイタルに行かれるのですか・・。

感想を期待しております。絶対素晴らしいと思いますよ。



P.S

コンチェルトがとても良かったので、シューマンとブラームスを入れた彼女のCDを会場で買ったのですが、サイン会もなくそれだけが残念でした・・・(笑)

でも、CDの演奏は今日聴きましたが、とってもよかったです。
カデンツァ (カンタータ)
2006-06-12 21:14:59
ETUDEさま

はじめまして。カンタータと申します。コンサートの感想をいつも読ませていただいております。ところでコルネリア・ヘルマンの弾いたカデンツァについて情報提供させていただいて宜しいでしょうか。あれはパウル・パドゥラ=スコダの手になるカデンツァでした。とっても素敵なカデンツァでしたね。パドゥラ=スコダは嘗てフリードリヒ・グルダ、ヴァルター・クリーンと並んで「ウィーン三羽烏」と囃された優れたピアニストです。因みにこの三羽烏はそれぞれモーツアルトの協奏曲のために素晴らしいカデンツァを付けています。飛び込みで失礼いたしました。
読響マチネー (zauber-ton)
2006-06-13 00:39:18
こんばんは☆

ステキなコンサートだったようでなによりです☆

『英雄の生涯』、聖響さんのブログによると、この曲は彼が長年やりたくてずっと温めてきた曲だそうなので、さぞステキな演奏だったのでは・・・と思います。

ところでひとつお伺いです。

実は夏、2ヶ月間まるまる日本なのですが、7・8月と読響のマチネーもしくは夜のコンサートって何かお勧めありますか?

今あまりネット状況が良くないもので調べられなくて・・・

あれば行きたいなと思うのですがもしご存知でしたら教えて頂けますか?

>カンタータさま ( romani)
2006-06-13 00:39:18
初めまして。

ようこそ、おいでくださいました。

あのカデンツァはスコダの作でしたか。

とても素晴らしいカデンツァでした。ひょっとするとコルネリア・ヘルマンの自作かと思ったりしておりました。(笑)

「ウィーン三羽烏」はいずれも素晴らしいモーツァルト弾きであり、また自作のカデンツァも残していたんですね。大変勉強になりました。

貴重な情報をいただき、本当にありがとうございました。

今後とも、どうぞよろしくお願い致します。



>Zauber-tonさま ( romani)
2006-06-13 00:52:28
こんばんは。

パソコンが不調との由、大変でしたね。

私もあまり慎重な性格でないものですから、いつその日が来るかと不安です。



ところで、夏は帰国されるのですね。

読響マチネの情報ですが、7月は9日、8月は例年どおり休会です。

ただ9月のマチネは2日にありますので、一応ご案内しておきますね。

もし、行かれるようであればご連絡ください。

7月のプロはとても魅力的だと思います。



☆7月9日(日) 午後2時開演 東京芸術劇場(池袋)

指揮:パオロ・カリニャーニ

チェロ=ピーター・ウィスペルウェイ

■チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲

■ブルッフ:コル・ニドライ

■ベルリオーズ:幻想交響曲



☆9月2日(土) 午後2時開演 東京芸術劇場(池袋)

指揮:広上 淳一

ヴァイオリン=藤川 真弓

■ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

■チャイコフスキー:交響曲第5番



読響マチネー (zauber-ton)
2006-07-07 19:42:27
こんばんは。

はっきりしないお天気が続きますがお元気でしょうか。

結局私は帰国してからまるまる一週間寝込んでしまいました・・・。

ので、読響のマチネーのチケットをどうこうする間もなく今日に至ってしまい、いまだ行こうか決めかねています・・・。

しかし、明日の日フィル&下野さんのコンサート(横浜のみなとみらいで6時から)には行こうと思っています。romaniさんはこちらにはいらっしゃらないですか?

オールシューマンプロでなかなか興味深いですよ♪

もししらっしゃるようでしたらお知らせ下さいね。
>Zauber-tonさま ( romani)
2006-07-07 23:51:11
こんばんは。

体調はいかがですか。一番疲れやすい季節だと思うので、無理は禁物ですよ(自戒の念をこめてです(笑))

ところで、明日のシューマン・プロ、とっても面白そうですね。冒頭のコンチェルトシュテュックを含め大好きな曲ばかり!田部さんのピアノも好きだし。

でも、本当に残念なんですが、明日は用事があって行けないんです。感想を楽しみにしていますね。

素晴らしいコンサートでありますように・・・。

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