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今年最後のコンサート、そして今年最後の出張が終わった。
これで、ようやく一息つけそうだ。
23日は読響の第九を聴いたあと、翌日に備えてそのまま大阪へ。
画像は、泊まったホテルのロビーで私を出迎えてくれた大きなクリスマスツリー。
イルミネーションが何とも鮮やかで、見入っているうちに気持ちもすっかりリフレッシュすることができた。
その甲斐あって、翌日のセミナーは盛況のうちに終了。
最後の出張を無事終えることができて、本当に良かった。
それでは、23日に聴いた第九の感想を。
今年のマエストロはオスモ・ヴァンスカだ。
読響とは、ベートーヴェンのシンフォニーで数々の名演奏を残してきたヴァンスカだけに、大いに期待して芸劇へ向かった。
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<会場>東京芸術劇場
<曲目>ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調op125〈合唱つき〉
<演奏>
■ソプラノ:林正子
■メゾ・ソプラノ:林美智子
■テノール:中鉢 聡
■バリトン:宮本益光
■指揮:オスモ・ヴァンスカ
■読売日本交響楽団
■新国立劇場合唱団
オーケストラは、予想通り両翼対抗配置。
古典派のシンフォニーについては、私は両翼配置が好きだ。
第1楽章が始まった。
小細工なしの悠然とした雰囲気がいい。これでこそベートーヴェンの音楽は活きると思う。
あえて難を言えば、ときに音の密度が薄くなるように感じられたことだろうか。
これは毎日のように大曲を演奏し続ける弊害かもしれない。
商業ベースには乗らないが、一期一会の第九を聴いてみたいものだ。
続く第2楽章は力感あふれる演奏。
ティンパニが8度音程でリズミックに大暴れする箇所では、4回フォルテでたたいて5回目は少し落とす演奏が多いが、ヴァンスカは5回ともフォルテで叩かせていた。スコアには5回目もピアノではなくdim.としか書かれていないので、この解釈もありだと思う。
温かな響きで満たされた第3楽章アダージョを経て、アタッカではつながず少し間をおいてフィナーレへ。
バリトンが歌いだすまでで興味深かったのは、何度か登場するレチタティーヴォの部分。
徹底したインテンポで絶対粘らせない。そっけないくらいの冷たい表情だ。
一方で歓喜の歌のテーマが登場すると、ふわっと柔らかな暖色系の表情に変わる。
このコントラストが実に面白かった。
歌手陣は、全体的に少し疲れているかなと感じる箇所もあったが、やはり上手い。
なかでも、テノールの中鉢さんが、声の威力に頼らず精緻に表現しようとしている姿勢に心うたれた。
そして特筆大書したいのが新国立劇場の合唱団。
もう圧倒的に素晴らしい。
高い技術は勿論のこと、何よりも気持ちの入った歌唱が、ベートーヴェンの書いた「第九」という特別の音楽の価値をさらに高めてくれた。
星空のかなたに~二重フーガのあたりにくると、私はもう涙を抑えることができなかった。
それから、終演後に挨拶のためにステージに登場したソリストをみて驚いたのは、メゾソプラノの林美智子さん。
何となくお腹がふっくらとしていたし、お腹を庇っているようにも見えたから。
後で彼女のブログをのぞいてみると、やはりおめでたで妊娠6カ月だとか。
3月まで仕事をされるそうだけど、体を大切にして可愛い赤ちゃんを産んでください。
そんなこんなで、この日のヴァンスカの第九は、今まで聴いた読響の第九の中でも私にとって特に想い出深いものになった。
それにしてもヴァンスカ。私はこの読響とのコンビのシベリウス4&5番を聴いて、一気にシベリウスに開眼したもので、かなり信頼をおいております。きっとベートーヴェンもヴァンスカの凜とした妥協のない音楽作りが反映したものだと推測します。聴きたかったなぁ~。将来読響の音楽監督あたりやってくれないかと淡い期待を抱いております・・・。
ヴァンスカ、とてもいい指揮者ですよね。
小細工せず音楽そのものに語らせようとするので、素材の味わいが美味しく感じられます。
とくにお国もののシベリウスは素晴らしいです。
>将来読響の音楽監督あたりやってくれないかと・・・
全く同感です。両者の相性もとてもいいので是非実現してほしいですね。
また親しい関係だったラザレスも日フィルにとられちゃったし、その意味でもヴァンスカに期待するところ大です。
>1982年のヘルシンキ・フィル来日時ではクラリネット奏者として参加していました・・・
そうでしたか。各々のフレーズの扱いが、非常に丁寧でまろやかなのは、そのせいかもしれませんね。
指揮者としてもブザンソンラインの人ですし、日本にも浅からぬ縁があるように思います。
私もお気に入りのマエストロなので、これからが楽しみです。