後半は、ブルックナーのロマンティックです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/81/3263d24e7291a8622c1691fec7e59ebd.jpg)
1stヴァイオリンのメンバーのひとりが少し遅れて入場すると、コンマスの入場と勘違いして拍手が起きました。くだんのヴァイオリニストは恥ずかしそうに聴衆に頭を下げていましたが、その光景がまた微笑ましくって、みんなリラックスできたのではないでしょうか。
マエストロが登場して、いよいよブルックナーが始まりました。
原始霧といわれる弦のトレモロに導かれて現われる冒頭のホルン。
アルプスの山に思いをはせながら、目を瞑って聴いていたのですが、何と裏返ってしまいました。
名手ブルーノ・シュナイダーにしては本当に珍しい。
野球に例えれば、まさに出会いがしらの先頭打者ホームランを打たれてしまったというところ。
しかし、ここからがこのオケの真骨頂。
「なーに、こんなのすぐに取り返してやるよ」といわんばかりに、オーボエ・クラリネット・フルートが完璧にリカバリーしてくれました。その後は、ホルンもパーフェクト。
素晴らしいチームワークいやアンサンブルで、第1楽章が終わりました。
第2楽章は、感動的な音楽でした。
全員がアバドの音楽を心から感じて、しかも初めてこの曲を演奏するかのように懸命に弾いている。この名手たちがですよ。
それをみるだけでも、胸が熱くなります。
弦も木管も最高の演奏でした。
第3楽章は少し早めのテンポ。しかもアバドは、かなり細かめにデュナーミクを付けていくので、演奏する側は大変だと思います。しかし、名人達はまったく苦にしません。爽快さと豪快さを併せ持った表現でした。
そしてフィナーレ。
全員がこのフェスティバルの最後の音楽であることを意識している。アバドと一緒に演奏できるのも、この音楽が最後だと知っている。そして、ホールを埋め尽くした聴衆もそのことを知っている。
もう、サントリーホールの全員がひとつになった瞬間でした。
ブラスも木管も弦も、アバドのために持てる力を全て出し切り、最高の演奏で応えてくれました。
コーダでは、名残惜しそうに今まで登場したテーマを振り返ったあと、こみ上げてくる感動をかみ締めながら力強く登り詰めてエンディング。
完全に音が消えても、アバドはタクトを構えたままです。
しかし、重力に従うかのように、ゆっくり本当にゆっくりとタクトが下がっていき、ついに静止しました。
その間、ホールからは何の音も聴こえません。拍手も起きません。
拍手がこの素晴らしい音楽の余韻を消すのを怖れているかのようです。
何秒経ったでしょうか。
自然発生的に拍手が起こり始めました。
興奮して手を叩くのとは全く違います。感謝の気持ちが、自然に拍手という形になったのです。
感動的な音楽でした。
そして、この素晴らしい瞬間を共有できた素晴らしい聴衆にも大ブラヴォーです。
13日に聴いたマーラーのときは、感動で口も利けないくらいの放心状態になってしまいましたが、この日のブラームスやブルックナーのように、じわーっとこみ上げてくる感動も、これまた素晴らしいものですね。
終演後、yukochanさんと落ち合って、アバドファンの集いに参加させていただきました。
みんな、とにかく熱かった。
でも、私も皆さんの気持ち、思いっきりよく分かります。
「大病を克服した後のアバドは、ライブで聴くべし」、それが今回の最大の印象でした。
とにかく何かが起こります。
「ルツェルンが来日するのは初めで最後」という声も当初ありましたが、来年もきっと来てくれる予感が・・・。
いや、必ず来てくださいね。
待っていますよ、マエストロ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/81/3263d24e7291a8622c1691fec7e59ebd.jpg)
1stヴァイオリンのメンバーのひとりが少し遅れて入場すると、コンマスの入場と勘違いして拍手が起きました。くだんのヴァイオリニストは恥ずかしそうに聴衆に頭を下げていましたが、その光景がまた微笑ましくって、みんなリラックスできたのではないでしょうか。
マエストロが登場して、いよいよブルックナーが始まりました。
原始霧といわれる弦のトレモロに導かれて現われる冒頭のホルン。
アルプスの山に思いをはせながら、目を瞑って聴いていたのですが、何と裏返ってしまいました。
名手ブルーノ・シュナイダーにしては本当に珍しい。
野球に例えれば、まさに出会いがしらの先頭打者ホームランを打たれてしまったというところ。
しかし、ここからがこのオケの真骨頂。
「なーに、こんなのすぐに取り返してやるよ」といわんばかりに、オーボエ・クラリネット・フルートが完璧にリカバリーしてくれました。その後は、ホルンもパーフェクト。
素晴らしいチームワークいやアンサンブルで、第1楽章が終わりました。
第2楽章は、感動的な音楽でした。
全員がアバドの音楽を心から感じて、しかも初めてこの曲を演奏するかのように懸命に弾いている。この名手たちがですよ。
それをみるだけでも、胸が熱くなります。
弦も木管も最高の演奏でした。
第3楽章は少し早めのテンポ。しかもアバドは、かなり細かめにデュナーミクを付けていくので、演奏する側は大変だと思います。しかし、名人達はまったく苦にしません。爽快さと豪快さを併せ持った表現でした。
そしてフィナーレ。
全員がこのフェスティバルの最後の音楽であることを意識している。アバドと一緒に演奏できるのも、この音楽が最後だと知っている。そして、ホールを埋め尽くした聴衆もそのことを知っている。
もう、サントリーホールの全員がひとつになった瞬間でした。
ブラスも木管も弦も、アバドのために持てる力を全て出し切り、最高の演奏で応えてくれました。
コーダでは、名残惜しそうに今まで登場したテーマを振り返ったあと、こみ上げてくる感動をかみ締めながら力強く登り詰めてエンディング。
完全に音が消えても、アバドはタクトを構えたままです。
しかし、重力に従うかのように、ゆっくり本当にゆっくりとタクトが下がっていき、ついに静止しました。
その間、ホールからは何の音も聴こえません。拍手も起きません。
拍手がこの素晴らしい音楽の余韻を消すのを怖れているかのようです。
何秒経ったでしょうか。
自然発生的に拍手が起こり始めました。
興奮して手を叩くのとは全く違います。感謝の気持ちが、自然に拍手という形になったのです。
感動的な音楽でした。
そして、この素晴らしい瞬間を共有できた素晴らしい聴衆にも大ブラヴォーです。
13日に聴いたマーラーのときは、感動で口も利けないくらいの放心状態になってしまいましたが、この日のブラームスやブルックナーのように、じわーっとこみ上げてくる感動も、これまた素晴らしいものですね。
終演後、yukochanさんと落ち合って、アバドファンの集いに参加させていただきました。
みんな、とにかく熱かった。
でも、私も皆さんの気持ち、思いっきりよく分かります。
「大病を克服した後のアバドは、ライブで聴くべし」、それが今回の最大の印象でした。
とにかく何かが起こります。
「ルツェルンが来日するのは初めで最後」という声も当初ありましたが、来年もきっと来てくれる予感が・・・。
いや、必ず来てくださいね。
待っていますよ、マエストロ。
>どうやら遅れてきた人をコンマスに仕立てたのは私の女房殿のようです
えっ、そういうことだったのですか。
でも経緯を拝見して、これはやむを得ないですよね。
結果的に、張り詰めた緊張感が、いい意味での和やかさに変わったのですから、奥様はあの日の一番の立役者です。(笑)
コメントを拝見して、ベルナルト様ご夫妻の温かい雰囲気が伝わってきて、何だかとても嬉しいです。
ありがとうございました。
少し興奮気味に書いてしまって、いささか恥ずかしい思いをしております。(汗)
でも、それくらい感動しました。
私の今までのコンサート体験の中でも、間違いなく5本の指に入ります。
アバドは、73歳なんてとても思えないような若々しさでした。
あの大病を克服した直後は、なんだか痛々しい感じがしましたが、もう大丈夫です。
ベルリンフィルのシェフを離れて、かえって音楽が自由にかつ生気溢れるようになったのではないでしょうか。
今回は、コンサートアリアを含めて、全部暗譜で振ったのですよ。
やっぱり天才です!
ブルックナーのロマンティッシェ、大っ好きなんですよね・・・。
しかもアバド&ルツェルン!
ウィーンフィルのコンサートを10回蹴ってでも聴きたかった・・・。
・・・いいなぁ。
でも想像を掻き立てられるエントリ、感謝です♪勝手に妄想(いやいや想像 笑)して楽しませていただきました♪
ありがとうございました。
今回の一連のコンサート、最初は室内楽だけと考えていたんですが、オケも行ってよかった。
2つとも聴けたのは、ラッキーとしかいいようがありませんが、本当に素晴らしいコンサートでした。
このオケは、アバドが中心というよりもアバドそのものです。ホールに響くあの雰囲気は、まず録音には収まらないでしょう。
アバドが実演でこれだけの音楽を聴かせてくれるとは、失礼ながら想像していませんでした。
来年もきっと来てくれると勝手に確信しておりますが、もし来たら是非聴きに行きましょうね。
ありがとうございました。
ルツェルンの様子、全編に渡ってとても楽しく読ませて頂きました♪
(その時の様子を勝手に想像しながら・・・(笑))
お客さんが感謝の気持ちで拍手を送るような演奏会なんて、とても素晴らしいですね。
来年こそは・・・聞きにいけたらいいな。
そうでしたか。ひょっとすると、この日の一番の功労者はあのヴァイオリニストかもしれません(笑)
でも、あまりクラシックを聴かれない方も混じっていたとすると、あの日の聴衆の集中力の高さは本物ですね。
私も素晴らしい時間を共有できて幸せでした。
もし、kikiさんとご挨拶できれば、ほんとに最高だったかもしれませんが、それはまた次回のお楽しみということで。
ありがとうございました。
>今回も聴衆も重要な役割を担ってましたね。本当に素晴らしいシリーズでした。
まったく同感です。こんな集中力のあるコンサートも珍しいですね。
yokochanさんが話されていたように、次はこのメンバーでマーラーの9番を是非聴きたいですね。
きっと凄いことになると思います。
何だか KiKi のエントリーとかなり似通った感想を romani さんが書かれているのを拝読して、ちょっとほっとしています(笑) KiKi の耳もまだまだ衰えていないんだなぁ・・・・と。
それにしてもあのニセ・コンマスのシーンはyokochan さんも仰るように笑えました。 KiKi の左右の座席のコンサート・デビューのおじ様方も一気にアレでほぐれましたから!(笑)
あの瞬間に皆さんと同じ場所で同じ音楽空間を共有できたこと、心から嬉しく思います♪
あのニセ・コンマスのシーンは笑えましたね。
トイレでも行ってたんですかね。
肝心のブルックナーは雲ひとつない、明快な演奏でした。今回も聴衆も重要な役割を担ってましたね。本当に素晴らしいシリーズでした。